"着るひと" vol.1

Sachiko Oshima / artist

現在、アルフレックス東京で日本では初となる個展を開催中の大島幸子氏。
主張し過ぎず、柔和で温かい作品の数々がアルフレックスのインテリアに自然に溶け込んでいる。

"Aperitivo"

絵を描き始めたきっかけ

4年程前、自分の家に飾りたい絵がなかなか見つからなくて、ならば自分で描いてみよう、ということが始まりです。
そこから私の作品を目にした友人や、ご紹介を通して「私の家に飾る絵を描いて欲しい」とオーダーを受けるようになり、本格的に絵を描き始めました。

ギャラリーではなく、インテリアショップでのエキシビジョン

10代の頃から父の海外赴任や夫の仕事の都合で、香港・イギリス・フランス・日本・アメリカ・そして現在はギリシャに拠点を置いており、とても移動の多い生活をして来ました。
そのような中、家族にとって「居心地の良い空間を作ること」が私のミッションでもあり、楽しみでもありました。
世界中どこにいても家がリラックス出来る場所であるよう、家具選びから配置、そしてそこに飾るアートは私にとって必要不可欠なものでした。
元々興味のあったインテリアについて、学校に通って専門的に学んだこともあり、インテリアとアートは私の中では切り離せないものでした。
ここ数年で、日本で実際に見ることはできないのかと聞かれることが多くなり、「生まれ育った東京で個展をする時は、ご覧になる方が、アートのある暮らしをご想像できるよう展示がしたい」という思いが通じ、今回理想的な形で開催を実現することができました。
住み手の個性を引き立たせるためにインテリアとアートを融合し、より居心地の良い空間作りを提案されている「アルフレックス東京」で、作品をご覧いただけることを大変光栄に思います。

"Liberty"

「NOTICING THE UNNOTICED」に込められた思い

"日常の中でつい見過ごされてしまうような些細なこと、気づかれないことに気づく”という意味で、今回のエキシビジョンのタイトルをつけました。
世界各国に拠点を移していく中で、それぞれの土地特有の季節の移り変わりや、自然が醸し出す色彩や模様、ささやかで見過ごされがちでありながらも、喜びを与えてくれる情景が、絵を描く上でのインスピレーションとなっています。私の作品の中には、何か特別な情景というより、ささやかな日常にフォーカスした作品が多くあります。
それは、移動の度にスタート地点に立ち、家事や育児をして行く中で、日常に点在している小さな喜びや美しさに気づくことによって、気持ちをポジティブに持って行くことができたからかもしれません。
ご来場いただいた方からは共通して、どこかしら懐かしかったり、心が落ち着くと言われます。
リアルな描写ではないので、インテリアに馴染み、ご自分の今の気持ちや、季節や時間帯によって印象が変わってくるのが面白い、長く見ていたいというご感想も頂いて、とても嬉しく思っています。

アートを通して感じる、日常のささやかな喜び

カスタムオーダーでご依頼を受けるのは、ご自宅に飾る絵がほとんどなので、実際にご自宅に伺い、インテリアや周りの景色を見て、ご家族の好きなものや好きなことをお聞きします。
直接伺えない場合は、写真や動画を送っていただいたり、zoomなどで会話を重ねて作品作りがスタートします。
何気ないきっかけやインスピレーションであっても、人の感情に寄り添い、時には心を動かすという、パーソナルな思いを映し出した作品作りを心がけています。

今後の活動

これまで通りカスタムオーダーを続けながら、インターナショナルアートフェアに出展したり、ホテルや公共の施設など、スペースと集う人々を繋げるような活動もやっていけたらと思っています。

"Wabisabi"

インタビューを終えて

大島氏の作品は、何層にも重なったレイヤーの中に、様々な景色とストーリーが編み出されている。
インタビュー中も、慎重に言葉を選び紡いでいく大島氏に、謙虚さと柔和さ、慈悲深さ、グローバルな環境にありながらも古き日本女性の凛とした芯の強さを感じた。
アルフレックスのインテリアに実にしっくりと馴染んでいる作品の数々は、そっと寄り添い、穏やかな癒しを与えてくる、彼女の人柄と重なった。

大島 幸子 Sachiko Oshima
東京生まれ。父親の転勤により、17歳の時に香港に移住した後、イギリスの大学に進む。東京にてホテル業界・ファッション業界で経験を積んだ後、夫の転勤に伴い、ロンドン・パリ・東京・シカゴ・アテネに拠点を置く。旅先や、20年以上に渡り数多く見てきた物件・手がけたリノベーションの過程で、インテリアデザインに興味を持つ。2018年、アートの制作活動を開始し、翌年からカスタムオーダーの依頼を受け始め、現在に至る。

大島幸子 作品展「NOTICING THE UNNOTICED」
■ 日程:9月15日(木)−10月4日(火)
■ 時間:11:00-18:00
■ 会場:アルフレックス東京
 *水曜定休
https://www.arflex.co.jp/topics/202208_oshima

[撮影協力]
アルフレックス東京
東京都渋谷区広尾1-1-40 恵比寿プライムスクエア1F
tel. 03-3486-8899

商品:撥水スエードワークジャケット/ タイトフィット / ブラック
「無駄な買い物をしない」という彼女の服選びの基準は「定番・良質・着心地・長旅に重宝するもの」。
薄くて柔らかいスエードが自然体の大島氏にすっと馴染む。



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