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「中途半端」のススメ


皆さんは一日にいくつ「目標」を持っていますか?「5時に起きる」「ジムに行く」「読書する」「英会話レッスンを受ける」など、達成可能性の高いゴールを設定して、さらに達成までのステップを細切れに。「読書する」という目標なら、「25分おきに5分休憩を入れる」「25分で50ページ読む」「一日トータル3時間」という風に、小さな目標のプロセスを具体的に立てます。

「次に何やるんだっけ?」と行動に迷った瞬間から、人のモチベーションは急激に下がると言われています。そのメカニズムを知っていれば、少しでも行動に迷いが出ないように、あらかじめ具体的な対策を立てて置くべき。「早起き」のために早く寝すぎるのはよくないですが、すぐに寝つける工夫は必要です。スマホは寝室には持っていかないほうがいいですね。

小さな目標とそのプロセス。このチャンクをいくつも持っていると、一日中モチベーションが継続して質の高い意思決定やアウトプットが約束されるはずです。ですが目標が高すぎたり、プロセスにメリハリがなければ集中力は続きません。前者は言わずもがな。そして後者はシンプルです。

集中と緩和。ひとつの情報だけに意識を向け、必死でインプットしたりアウトプットしたりする状態と、脳をリラックスさせ、脳内の複数の情報を結びつけようとする状態。緩和モードのおかげで、仕入れた情報が点から線になって、より応用が利く知識へと生まれ回ります。25分ごとに5分休憩は「ポモドーロテクニック」と呼ばれ、その効果は科学的に認められています。

大学受験のとき、数学の問題とにらめっこしていると時計の針は24時。解けるまでやめない!といってがんばり続けるか、あっさりあきらめて寝てしまって翌朝解いてみるか。効果的なのは後者だと言われています。インターリービングは「挟み込む」という意味ですが、勉強の合間に睡眠を入れると緩和モードの働きが活性化するというもの。

やりきらないとスッキリしない!という声なき声が聞こえてきそうですが、中途半端な状態は「あの問題ってどうやって解くんだろう」と無意識下で脳が情報を処理し始めて、起きたあとに解を導きだせます。リヨン大学が、インターリービング・スリープは数ある睡眠法の中でも特にその効果が証明されたと結論づけました。

逆に「区切り」をつけてしまうと、脳が「やりきった」と誤認して、あたかも何かをやりきったと勘違いして情報処理をサボり始めます。大晦日と正月を境に、昨年の問題がリセットされたような気になりますが、明確な区切りがもたらす脳の錯覚には注意したいところです。日中の仕事、もしくは一日の最後はいつも「中途半端」で終えることを心がけるべきです。

締め切りは守らなければいけませんが、締め切りまでのプロセスは自由に使ってOK。毎日をやりきらずに終えて、うまくモチベーションを管理して、緩和モードを利用した記憶の定着を次の日の生産性アップに使うほうが効率的です。なので私は毎日中途半端、そして土日もちょっとずつ仕事をし続けるようにしています。

完璧主義な人にはちょっと気持ち悪い「やりきらない」仕事術、勉強術。おすすめです。

久保大輔




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