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独占状態が、良いことと悪いことの両方を生むメカニズム


今日はまず
サッカーの話から。

ちょっと退屈かもしれませんが
(しかも長い!)がんばって書きますので

少しだけお付き合いいただけると
めちゃくちゃうれしいです。


■スペインの

プロサッカーリーグ
「リーガエスパニョーラ」には、

日本人選手が多数所属。

久保建英、乾貴士、
岡崎慎司、香川真司、柴崎岳など(敬称略)

そうそうたる面々です。

レアル・マドリードは
僕の大好きなクラブですが、

ライバルのバルセロナを抑えて
今シーズン優勝を飾りました。

資金面、実績、所属選手のレベルなど
を考慮すると実質「2強」状態。

ここ15年間、

2強以外での優勝は
7年前に1度あっただけです。

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■2強+18クラブ

というリーガの勢力図を
経済にたとえていうならば、

グーグルやアマゾンに代表される
ごく一握りの超巨大企業とその他大勢

といった感じ。

商店街にあるような
小さな商店や企業が

大企業にのみこまれる構図は
(シャッター街、最近よく目にします)

一見景気が後退しているよう
見えなくもありませんが、

統計的にみると
間違いなく繁栄しています。


そしてリーガの2強。
昨年の売上は

バルサが8億4000万ユーロ
レアルは7億5700万ユーロ

欧州1位と2位を独占しました。

一昨年は

レアルが7億5000万ユーロ(1位)
バルサが6億9000万ユーロ(2位)

ちなみに8億4000万ユーロは
1000億円越えですね。

(Jリーグトップは神戸の114億円)

2強以外はちょっぴり寂しい
感じがしなくもありませんが、

全体的にはめちゃくちゃ伸びてます。
スペインリーグ、活況を呈しています!

そしてこれが

「いいのか悪いのか」

という話。


■生態系の分野では、

少数の種だけが異常に繁殖して他の多数の弱小種を駆逐し、種の寡占化(かせんか:特定の領域を少数のものだけで独占するようになること)が進んでいる状態。

を「悪い生態系」であると
評価されることがあります。
(漢字が多すぎで読みづらい)

全体として

種が相互依存や食物連鎖によって
バランス
をとっているところに、

強い種が割って入って、

強い者同士で均衡状態をつくってしまうと、
他の弱小種は衰退してしまう。

外来種が湖の弱小種を
食い荒らすイメージです。

外来種が繁殖して数自体は増加

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経済でいうと、

多くの企業が相互依存関係で
バランスをとっていたところに、

超巨大企業と
超巨大機関投資家が登場して

資金の流れを独占し、

末端に資金が回らなくなって
壊死(えし)していく感じでしょうか。


中心部が栄えて
全体としては量的に大きくなったとしても、

エコシステム全体としては
劣化している。

リーガも

同じような現象になってやしないかと、
ちょっと心配になった次第。


■生態系

のことを
もう少し突っ込んで書いてみます。


「バランスの良い」生態系が、

それぞれの種が他の種に及ぼす
微妙な相互依存関係の上に成立している

ということはつまり

突然変異や自然淘汰をくり返して
長い年月を経てようやくつくり上げられた

奇跡的ともいえる絶妙なバランス!

という表現もできます。
要は非常に「希少性が高い」ということで、

このバランスは

たったの1パターンしかありえない
といっても過言ではありません。

これは経済の世界でも
同じことが言えると思います。


対して、

2強だけがバランスを取って
あとはどうでもいい、という状態は

「希少性」

という意味では相当分が悪い。

メイン以外は
ランダムでいいわけなので、

許されるパターンは
何千通りにもなるはずです。


そういう見方をすれば
リーガも、

バルセロナとレアル・マドリードの
両クラブがお互いに利益を享受しあっていれば、

他の18クラブがどんな組み合わせであっても
全体としての繁栄は約束されますので、

リーグ全体の希少性

という文脈では
実は「下がってきている」

といえなくもありません。


■話が長くなってしまうのですが、

もうちょっとだけご辛抱を。
もうちょっとで終わります。。。


今度は物理の話。

希少性の高い状態から希少性の低い状態
に移行するとエネルギーが引き出される

とは「エントロピー増大の法則

燃料を燃やす場合、

燃やしたあとの燃えかすは
価値のないゴミ(希少性低)であり、

燃やしていない燃料は
貴重な資源(希少性高)

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このように

希少性の高低差
がエネルギーを生むわけですが、

リーガでも
同じような現象が見られます。


頭ひとつ飛び出した2強
に目をつけた放送会社が「放映権」を購入、

2強の試合放送だけを独占して
視聴を有料化すればどうなるでしょう。

人気クラブの試合を観たい!
という大勢のファンが殺到して

高騰した放映権料が
放送会社と2強に流れ込みます。

巨万の富がという「エネルギー」
を放出した結果、

またたくまに各クラブの
経済バランスがくずれて

寡占化が
加速度的に進行しました。

バランスのあるリーグ(希少性高)
→2強突出リーグ(希少性低)

のプロセスで
エネルギー(巨額の放映権料)が発生した

という流れです。

阪神と巨人だけ有料放送にして
阪神と巨人に放映権料が入って

2チームに有力選手が集中して
他の10チームを圧倒するイメージ。

野球界が経済的には潤っても

消費者としては
なんかシラケませんか?


■そして最後に

心理学的な側面から
考察してみます(残り2段落です!!)

たとえば皆さんが
タバコを吸っていたとします。

タバコを吸いたい!
と思うのは「短期的願望」といわれてて、

禁煙をして健康になる!
と考えるのは「長期的願望」

吸いたい!(目先の快楽)
がまんして健康!(年をとっても元気)

という理屈ですが、
この二つは矛盾する関係にあり、

一般的には

「目先の快楽」の方が強力で、
「何年か先の健康」は圧倒されがち。

人は往々にして、
目先の利益を優先してしまいます。

ダイエットが難しい
というメカニズムも同じ理屈で説明ができます。


なので、

長期的願望は
人々にとって貴重
であり、

短期的願望は
誰でも簡単に選択できるので貴重ではない

と考えられなくもありません。

短期的願望は
希少性が低いので容易に乱発が可能であり、

短期的に見ると楽しくて気持ちよくて
プラスに思えなくもありませんが

長期的に見ると
健康が損なわれます
ので

実は劣化が進んでいる
という成り行き。

なんとなく理解していただけますでしょうか(汗)

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■まとめると

希少性が低い状態はつまり

タバコを吸うこと(ストレス発散)であり
燃えかす(エネルギー発生)であり
2強とその他大勢(トータルで繁栄)であり

希少性が高い状態とは

将来の健康(がまんがまん)であり
資源(エネルギーゼロ)であり
バランス(トータルの繁栄は犠牲)

ということになり

どちらとも
ポジティブなところがあって
ネガティブなことがないわけでもなく、

どちらがいい
とは端的に答えられませんが

少なくとも「人」に焦点を当ててみると

モノや情報がカンタンに手に入ってしまう
便利な世の中において

楽をしたい

という短期的願望が幅を利かせて
劣化を招いてしまわないか?

ビジョンのような長期的願望
しっかりと明確に持っておかないと

欲望の波に呑み込まれて
大破局に陥らないとも限りません。


これらは

「縮退(しゅくたい)」

という概念でまとめられており
特に経済界では問題にされています。

サッカー界における寡占化
どう評価すべきでしょうか?

一部の選手やクラブは
裕福になっていいのですが

その他大勢の選手やクラブ、
そしてサッカーファンや地域住民は?

解釈次第ですが
このまま縮退が進行していいものかどうか?

このモヤモヤを
どうしても皆さんにシェアしたくて。

長くなってすみません!

今日も最後までお読みいただき
ありがとうございます!

それではまた明日。
おつかれっした!




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