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計画と宣言はなぜ効果的なのか?

クライアントとお金の話。最近は、「稼ぐことの大切さ」を語る人や書籍が少なくないですが、そこで語られるような難しい話ではなく、シンプルに売上と経費と利益を毎月管理しましょうという話です。

私が知るかぎり、年間のPLを月単位で計画することは多くの経営者がやっている当たり前の作業です。売上はいくらで、この売上の詳細はどうで(どこからいくら稼ぐのか)、原価はいくらで販管費はいくらか?それぞれの経費の詳細(旅費交通費、通信費、水道光熱費など)も事細かに計画。12か月の合計がいくらになるという誰でもできる計算です。

年間計画が終われば、月初ごとにその月の「予定」を立てます。経営状況は刻一刻に変化しますので、年間計画に対して月間予定も当然変化させます。計画に対して予定が下がれば、その対策を社内でディスカションしてカバーするためのアクションが実行されます。

月末になると、計画に対して「実績」が明らかになります。年間計画では利益100万、月初予定では60万、実績はゼロということもありえます。年初に立てた計画では100万円が会社に残る計算だったのに蓋を開けてみれば一円も残らなかったなんてことは決して珍しくないでしょう。ですが経営は待ってくれませんので、翌月にいかにして改善できるかを考え、その繰り返しによって年間の成績が決まります。

極めて当たり前のことであって、わざわざ書くことでもない内容なのですが、割と少なくないクライアントがこのシンプルな計算をおろそかにしていて慌てて指摘することがあります。期初から数か月たって500万円のショートに気づくより、毎月の実績を翌月に少しでも対応を施す方が楽。傷口が浅いうちに対処する方が治療しやすいのは医療に限らず、早期発見、早期治療は経営の基本です。

年始には、年間の数値計画を立てて、その計画を実現するために何をどのように行うのか、具体的な方策を社内でプレゼンするなどの「宣言」も効果的。言ったことに対して結果が伴わない場合、認知的不協和が働いて「合わせにかかる」からです。

かつて中国軍が、捕虜に対して「共産党を称賛するメモを書かせた」話は有名。たったこれだけで、この作業を続けさせるだけで捕虜が中国軍に寝返ったのは、「書いたことと自分の思想のギャップ」に違和感が募り、合わせにかかる(共産党が素晴らしいという思想に変化させる)からです。

数値計画も同じ理屈。計画と宣言を意図的に取り入れることで、何もせずどんぶり勘定で放漫経営をするよりは効果が現れるはずです。

久保大輔




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