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「すごい人」かつ「いい人」に

人は理屈では動かない。

Noteで何度も書いてきた、人間心理を的確についた言葉です。いくら正しいことを理路整然と並べられても、心が動かなければやる気になれません。筋トレをして食事をちゃんと摂ればやせることくらい、今どき小学生でもわかる理屈です。ですが、だからといってそれを実行できるかどうかは別次元の話

やせた自分。やせて異性からモテている自分。学校で人気者になったり、仕事でちやほやされたり。さらには高収入を得て豊かな人生を送る。そんなビジョンが、あたかもフルカラーのVTRを見せられるかのように、今とは違う自分がありありとイメージできれば、ワクワクして心踊って動かざるを得なくなるでしょう。

逆に、「やせ方」を論理的にわかりやすく説明されると、まるで自分自身を否定されたかのような錯覚に陥るときがあります。バランスのいい食事を指導されれば、今の食事習慣にダメ出しをもらったような気にさせられるかもしれません。毎晩、がんばって自炊している人にとってはグサリと心をえぐられるような気になるかもしれません。運動の指導もしかり。走ったり筋トレしたりすればスタイルが良くなるのはもはや周知の事実。でもそれは、「スタイルが悪い自分」をあぶり出し、自暴自棄を誘発してしまう可能性があります。矛先が「指導者」に向くことだってあり得なくはないでしょう。

仕事においても例えば、社内プレゼンを通すために、ありとあらゆる情報をかき集めて、専門書を紐解きながら、何時間も何日もかけて理論武装をしたとしても、幹部決裁を逃してしまうことだってあります。社外に対しても同様。もはや反論の余地がない完璧なプレゼンをしたからといってクライアントから必ず発注がもらえるとは言い切れません。

そんなとき、ちょっとずるいかもしれませんが、「根回し」をして幹部の心を握っておくとどうでしょう。もしくは普段から、力のある人に対していろいろ取り持っておくとどうでしょうか。あたかも藤吉郎が信長に取り入ったように、打算的にでも上の人に好かれるような行動を積み重ねていると、大事なプレゼンの成否にどんな影響があるでしょうか。

仕事や人生でもそうですが、いろんなことを勉強して、知識を吸収しておくことは必須。周囲から見れば「すごい人」と思われるような、森羅万象なんでもござれというくらい情報をたくさん持てるよう、日々努力をしておくことは無駄ではないと思います。

ですが一方で、藤吉郎よろしく、頼まれればなんでもやってあげたり、周囲の人の世話を焼いて「いい人」だと思われるような取り組みも、知識が豊富で理論的に話ができることと同じくらい、仕事や人生で成果をあげる上で大事なことだと思っています。

すごい人といい人。合わせて「すごいい人

そんな人になれれば強いだろうなと感じることがよくあります。クライアントを動かすことを生業としている者として、理屈で人は動かないことくらい、コンサルの「いろは」の「い」として知悉しているつもりでしたが、まだまだ「いい人」活動が不足していると思うこと多々。「すごい人」になるべく勉強もおそろかにはできませんが、立身出世を遂げて秀吉になる、つまり「すごいい人」になるべく、日々精進していきたいとあらためて感じる秋の夜長です。

久保大輔




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