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場づくりはデータに頼らず「余白」を残して


コンテンツマーケティングとは、

自分自身に関心が向く顧客に対して、
ビジョンと世界観をベースに、

商品やサービスの背後にある
ストーリーを語り、引き寄せて、

エモーショナルな関係を築くこと

であると昨日の投稿で
まとめてみました。

今日は

エモーショナルな関係性

について、

感情を共有する
という文脈でもう少し詳しく説明します。

■「試合」以外の価値を活用する

サッカークラブが
結構やってしまいがちなのが、

「サッカー」ばかりを強調して
売ろうとすること。

最近はかなり減ってきている
ような気はしますが、

それでも一部、

かたくなにサッカーという
「競技性の魅力」に焦点をあてて

コンテンツ作りをするクラブが
少なくないようです。

でもこれのどこが問題なのでしょうか?

「試合」というコンテンツを例にあげて、
以下箇条書きにまとめてみました。

■試合後、誰かと試合について話す価値
■試合そのものだけが価値ではない
■語る場所がある

試合には

スタジアム、選手、監督、応援、
飲食、イベント、友人、家族など、

今思いつくだけでも
これだけたくさんの要素が紐づいています。

ひっくるめて抽象化すると

コミュニティ

が形成されているということ。

とすると、

スタジアムという場に
人々が集まって、

試合そのものだけを楽しんでいる
と解釈するには少し無理がありそうです。

試合の前座に、

ピッチでミニゲームをする息子を応援するために
スタジアムを訪れる両親は、

その日の対戦相手や
選手の名前を知らない可能性は十分ありえますが、

ビールを飲んで、たこ焼きを食べながら
試合を観て、

ゴールが決まったときに
隣の知らない家族とハイタッチしたり、

帰路もしくは晩ご飯のときに
前座のことや試合のことを話題に、

イケメン選手にテンションが上がるお母さん、

ゴールを決めた選手の
プレーのすごさを熱く語る息子と、

一眼レフ「キャノンEOS 5Ds R」を片手に、
息子のプレー写真を自慢げに見せるお父さん

の様子が
解像度高くイメージできますが、

この日、この家族が感じた
「楽しかったこと」とは、

当然のことながら、
試合だけを指すものではありません

スタジアムを訪れた家族が感じる

試合の価値

が、競技性だけに依存していない
ことは明らかです。

そして、

家族だったら自宅だし、
サポーターだったら近くの居酒屋だし、

ファンによっては、
選手バスがスタジアムを発つまでゲート前で待機し、
そこでできる「小さなコミュニティ」が

語る場所

になるかもしれません。

その試合(がある一日)について
語ることがたくさんあるからおもしろい

つまり、感情をシェアできて、
心が満たされる
ことによって、

「楽しかった」という感想が
口をついて出てくるんだと思います。

この感度が
サッカークラブにあれば、

人々が試合後に集って
感情をシェアする「喫茶店

をコンセプトにしたコンテンツが
開発されるはず。

顧客とエモーショナルな関係性
をつくるツールとしての場づくりは、

「90分間の試合」

から少し離れた視点が不可欠です。

■データに頼らない

試合以外にも価値がある、
という解釈をもって、

だからこそスタジアム場外での
イベント、飲食の充実を図るのは今や常識。

試合以外の雰囲気づくりに無関心なクラブは
探す方が難しくなりました。

来場者のアンケートを取って
属性分析をして、

ガールズデーとして
女性向けのサービスを展開したり、

子どもの日や夏休みなどをテーマに、
など

顧客の性年代をキーに企画して、
コンテンツを提供するケースは非常に多い。

そしてここで、
もう一歩踏み出して取り組んでほしいと思うのが、

上述したような、
感情を共有できる場所づくりです。

クラブのことが好き、
という理由で来場する顧客には、

クラブの応援や選手に会いたい
というモチベーションがあるのと同時に、

他のファンがどんな人なのか、
一度話してみたい、共通の話題で盛り上がりたい、

というニーズが
確実に存在しています。

クラブスタッフに
興味を示すファンも少なくありません。


公園法などの規制によって
火器が制限されているので難しいのですが、

個人的には「BBQ」が、

感情をシェアする最高の「場」
になると思っています。

クラブスタッフと、ファン、
そしてファン同士が、

炭に火をつけて、野菜を切って、
ビールをついで、という

めんどくささ

を体験することで
一気に心理的距離が縮まるはず。


利便背の高いコーヒーメーカー
はたくさんありますが、

レトロな手動コーヒーミルで
豆を挽いて、

セラミックのコーヒーフィルター
豆をに入れ、

コーヒーポットでお湯を入れて
コーヒーをつくるという

めんどくささ」を好むお客さんがいます。

役に立つ、デザインも似たり寄ったりの
コーヒーメーカーを買って時間を節約するより

こだわりの品をそろえて
あえて時間を消費することに価値を置く人がいます。

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売店で食べ物を受け取るだけではなく、

手間のかかるBBQを
みんなで一緒につくるというニーズはかなりあるはずです。


課題は「前例がない」こと。

過去のデータや
「うまくいく」情報がありません
し、

公園法というハードルを越える
労力のコストを考えると、

実施に踏み込みにくいかもしれません。

同じ場づくりをするにしも、
もう少し角が取れたものに落ち着くかもしれません。

でもだからこそ、
チャンスがある
と確信しています。

■「余白」があるから参加しやすい

もうひとつ
BBQを推したい要因は、

お肉が焦げても
誰も文句をいわない
ところ。

これが売店だったらクレームになりますが、

みんなで一緒につくったお肉の
焼き加減をとがめられることはありません

つまり、
不完全だからこそ

お客さんが入る「余地」があるということです。

品質が高ければ喜ばれる、
というロジックが当てはまらない
事例は

他にもよく見受けられます。


YouTubeでポピュラーな

料理」系の動画や、
DIY」系の動画を見ていても、

豪快に「失敗」することは多々。

でもそれが親近感を抱かせてくれますし、
気楽にコメントできたりもします。

失敗することを逆に期待してしまう、
というパラドックス
もあったりして、

でもそれって

ユーザーがコンテンツに参加する「余白」
に他ならないと思っています。

そしてそんな「失敗がデフォルト」のYouTubeでも、
数十万単位の登録者数に応援されているのです。

もちろん、

編集や内容の質が悪いわけではなく
むしろむちゃくちゃ高く
て、

親近感がプラスされた質は、
単なる質を凌駕することの証左だと思っています。


エモーショナルな関係をつくる
コンテンツづくりのポイントは、

感情を共有する場所づくり
データよりも感性で
余白をつくって顧客を呼び寄せる

BBQはあくまでも具体例。
以上抽象化した概念としてまとめておきます。


※本稿は以下文献を参考にしました。
ぼくらの仮説が世界をつくる(佐渡島庸平)




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