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高田馬場で一番おいしいと認定するサンドイッチとティラミスとその後

10月7日土曜日。ChicagoのSaturday in the parkを聞きながら駅まで向かった。公園は横目で見た。
丁度一週間前の9月30日、9月最後の日は、Earth, Wind&FireのSeptemberを聞き納めた日だった。10月に入って、Septemberのようなナイスな曲が聞きたいと飢えていた私だったが、週半ばくらいに夫が、学生時代通学中にずっと聞いてた時期があったんだよな、と何気なくこの曲を教えてくれた。土曜まで待ちきれず、実は今週水曜くらいから聞き始めてしまった。別にいいのだけど、なんか悔しい。ちなみに8月の終わりくらいから、Septemberも待ちきれずに聞き始めてしまったが。

今晩は高田馬場で予定がある。
高田馬場といえば、「清龍」というやっすい居酒屋(2,980円の飲み放題コースがある。早稲田生なら全員知っているというが本当だろうか)とフィリピンパブにしか行ったことがない。これらはそれぞれ会社の忘年会で2回ほどお世話になった。これ以外の用事で高田馬場に降り立ったことがないので、この街にはかなり不慣れだし、何とも言えない思い出が染みついた町なのだ。
予定までどこかでのんびりしようと思い、事前に目星をつけていた、「コットンクラブ」というカフェレストランに向かった。コットンクラブといえば丸の内のライブレストランが思い浮かぶが、高田馬場にもあったとは。

お店は都内各地にあるイタリアンレストラン、「カフェ ラ・ボエム」を思い出す雰囲気だった。それと同時に、開放感のある感じが、なんとなくパリのカフェレストランを彷彿とさせる。Wi-Fiが使えるということもあり一度入店するも、ここは一人でくるより数人で来たほうが楽しそうだなと思い、一度席につくも恐縮ながらお店を出た。さっそく不慣れさを発揮してしまった。

実はコットンクラブに行く途中、気になるイタリアンカフェを発見していた。気になって一度店内に入り、ショーケースを眺めていたのだが、一人の店員(お若いと思うが、差別化を図るためにこれ以降はシニア店員と呼ぶことにする)が、新入りの店員に厳しく指導している声が聞こえた。ピッチャーのお水の管理方法等について、云々言われている。なんとなくいたたまれなくなりお店を出てしまった。
しかしコットンクラブから出た後、このイタリアンカフェが急に気になってしまい、再び足が赴いた。

再度入るとやはり新入り店員が厳しく指導されていた。しかし店内は先ほど訪問したときより人が増えにぎわっている。何よりデリのサンドイッチがおいしそう。ということで意を決して(そこまでの意を決する必要はないが)、最後の一点となっていた、「国産牛ローストビーフと木の子のパニーニサンド」をゲット。あとホットコーヒーも。セットで250円引き。お得だ。

そんなお店の名前は「deli flattoriano(デリ フラットリアーノ)」。イタリアンレストラン「フラットリア」に隣接するカフェだ。

店内奥に入ると、意外とキャパがあり、何より机が大きいのと隣の席との間隔も広いので居心地が良い。最近できたのだろうか、店内を作りこみすぎていない感じも良い。床の無機質な感じに対し、ところどころに観葉植物と、木製の家具が温かみを足している感じが、絶妙に調和がとれていて良いのだ。

お水を汲みに行くとお水がなかった。店員さんを探すと、慌ただしく仕事をするシニア店員と目があった。お水ですね、お待ちください~と早口に答えると、先ほど指導していた新入りではなく、別の男性店員にお水おねが~い、と依頼をしていた。新入りが後でまた怒られないことを祈る。

肝心の食事だが、案の定というか案の定を超えてサンドイッチがおいしい。全粒粉のバンズは、触感がものすごくしっとりしている。
調子にのって、食後に普段絶対頼まないティラミスを頼んでみた。いつもならチーズケーキかプリンというわかりやすいデザートを頼むけれど、お店一押しというので勢いで注文。これがまた、おいしかった。ティラミス評論家でも何でもないので、これ以上ティラミスを言語化できないけれど、とにかくおいしかった。

非常に安易だが、高田馬場で一番おいしいサンドイッチとティラミスであると認定させていただく。ちなみにティラミスを食べた回数は片手に収まるくらいしかない。

と書いておきながら、こんな人間が高田馬場を語る資格ないよな、と釈然としない気持ちで自宅の最寄り駅まで帰ると、一人で一杯やっていた夫から、「カウンター席が異常な盛り上がりを見せているから来てみな」と連絡があったので立ち寄った。カウンターの端っこには常連客の女性と、マッチングアプリで初対面の男性が、かなり赤裸々な話をしており、その横に一人客×4名がしっぽりやっていたのだが、全員端の男女の話に耳を傾けているうちにいてもたってもいられなくなって口火を切り始め、仲良くなったとのこと。楽しそうすぎるシチュエーション。
カウンター席のおじさんに「今日はどこに行ってたの」と聞かれ、高田馬場です、と回答するとご飯屋さんの話に。その流れで、「清龍っていう居酒屋知ってますか」と尋ねると、あああるねえ懐かしいと反応が返ってきた。そのおじさんは早稲田卒だった。

自分の中で釈然としなかった高田馬場。これまで通ったお店も、今日尋ねたお店でも、なんとなくもやもやとした感情をまとっていたのだが、おじさんと知っているお店を共有できたことで、霧が晴れる感じがあったというか、高田馬場での感情を消化することができたように感じた。ありがとうおじさん、という意味不明な締めくくりでまた次なる場所へ向かう。



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