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OPEC+による協調減産の延長

6月4日、半年ぶりに開かれたOPEC+閣僚会合において、2022年11月から実施していた協調減産につき、当初の予定であった2023年末までだった期限を2024年末まで延長することが決定された。2022年11月にはOPEC+全体で200万バレルの減産が実施され、2023年4月にはそこから更に166万バレルの減産が発表されている。今回の決定では2024年1月以降の各国の生産割当についても発表され、4月の発表時点からは26万バレルの増産になっているものの、同時にサウジアラビアは7月に自主的に100万バレルの減産を実施することを発表しており、昨今の油価の低迷を受けて供給を絞る側面が強調されるかたちとなった。

OPEC+諸国における原油生産量割当の推移(単位: 1,000バレル/日)

2024年1月以降の各国の生産割当の変化を見ると、今年5月から追加減産しているサウジアラビアやイラク、クウェート、オマーン等は2022年11月以降の基準に引き戻す修正が行われており、足元で生産量が低迷しているロシア、ナイジェリア、アンゴラは実態にあわせて生産割当を減少させる措置が採られている。生産割当の増加を長年求め続けていたUAEは、唯一2022年8月の水準を上回る増産が認められており、不満を高めるUAEに配慮が行われるかたちとなった。

今回の会合の直前には、OPEC+で定めた生産割当をロシアが遵守していないことに対し、サウジアラビアが苛立ちを募らせていると報じられる等、OPEC+内で対立が生じていると噂されていた。ロシアが中国・インド向けに安価な原油を販売していることがサウジの市場を侵食しているだけでなく、ロシアの行動は油価の上昇も抑制していると指摘されている。今回のOPEC+会合では懸案は先送りにされ、サウジは自らの行動で市場への影響を与えようとしているが、これが油価の上昇に繋がらずロシアの減産協力も得られなかった場合、2024年以降のサウジとロシアの協力関係に亀裂が入ることも予想される。

WTI原油価格の推移

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