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航空会社 困った乗客への神対応

FROM ボブ・バーグ

先日、国際スピーカーコンベンションがテキサスで開催されたときのことだ。そこで私は、有名企業サウスウェスト航空のCEO、ゲリー・ケリーの講演を聞いていた。

彼が誇らしげに、そして楽しそうに話していたその内容は、彼のチームメンバーについてのことだった。とてもいい話だったので、ぜひここで共有させてほしい。当事者だけでなく、その目撃者となった人たちまで巻き込むような、すばらしい顧客体験にまつわるエピソードだ。

さて、この話を共有したいとは言ったのだが、私はこの講演を録音していたわけではないので彼の言葉の一字一句の再現ではないことはご了承願いたい。

このエピソードにおいては、ゲリー氏がCEOを務める会社の社風もヒントになる。こんないい顧客体験の提供を実現できるだけの社風がそもそもあったというよりも、実現するように奨励する社風であったということを前もってお伝えしておこう。

飛行機から降りようとしない一人の女性…


さあサウスウェスト航空についてお調べになるとすぐにわかるのだが、彼らの企業理念の中心にあるのは「心」、「気持ち」といったものだ。それがその企業のあり方であり、企業のふるまいそのものでもあるということである。社としてそうしたあり方を貫くことで、サウスウェスト航空は実に45年以上もの間、連続で黒字を成し遂げてきたのだ。

ある時、サウスウェスト航空のあるフライトが目的地に到着し、乗客たちが飛行機を降りていく中、一人の年配の女性は飛行機を降りようとしなかった。

この女性は、自分の娘と一緒に飛行機に乗っていた。しかし彼女はアルツハイマー病を患っていたので、飛行機を降りるときに状況が飲み込めなくなり、恐怖に陥っていたのだ。あと少しでパニックも起こしかねないような感じだった。

そんな状況を見たある若いフライトアテンダントが、彼女に近づいていってこう言った…

「驚かせてごめんなさい。もしよろしければ、私とダンスを踊りませんか?」


この誘いに、その女性はすぐにイエスと答えた。そしてフライトアテンダントはこの女性の手をとり、まさに踊るように一緒に飛行機を降りてあげた。こうして規定どおりの通路へ、彼女をリードしていくことに成功したのだ。

のちにこの女性の娘から、フライトアテンダントに感謝の手紙が届いた。それはもちろん、そのフライトアテンダントを称賛する内容だった。恐怖に陥っている母親の気持ちに寄り添って、だれも傷つけることなくその状況を解決することができたのだから。

いかがだろうか?「私とダンスを踊りませんか?」という咄嗟の一言は、実にすてきな一言だ。もしかするとその女性は、昔、自分の夫に社交パーティーでそう言われた日のことを思い出したかもしれない。

「親切は当たり前」な在り方を目指そう


もちろんこれはただの想像だが、ただ確かなのは、航空会社にとってはその女性に安全に飛行機を降りてもらうことがとても重要であったということだ。そして、こんなふうに親切に満ちた解決方法をいったいどれだけの人が思いつき、行動に移すことができるだろうかと考えると、きっとそう多くはないだろう。

もしもサウスウェスト航空でなければ、セキュリティスタッフや警察を呼んでこの女性を強引に連れ出すような結末になっていたかもしれない。彼らはこの女性をいかにも悪人のように扱ったかもしれないし、業務妨害の疑いをかけて逮捕するなんてこともあったかもしれない。

また、ここで重要なのは、その若きフライトアテンダントが咄嗟にとったすばらしい行動は、決して特別なものではなかったということだ。というのも、そういった行動を誘発するような社風がサウスウェスト航空にはあるからである。

「親切な行動をとることが当たり前である」…これこそがサウスウェスト航空のあり方であり、Go-giver的なあり方なのだ。サービスを受け取る人たちに大きな価値を与えることで、回り回って常に自分たちも価値を得ていると言っていいだろう。

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