見出し画像

4割から9割へ? ウィズコロナでは、「声」が、今よりもっと重要になるかもしれない

声の重要性を普段から意識している人はそう多くはないと思うのですが、実はかなり重要です。意識の表層ではないところで、人の心、判断に大きな影響を与えています。
共感してくれる方も、そんなことないよと思う方もいるでしょうけれど、私はコロナ後に改めて実感するようになりました。その理由は後で書きますが、真意を誤解されている界の大御所、メラビアンの法則もそう言っています。

言葉の内容より声の質が人に影響する?

メラビアンの法則はご存じの方も多いと思いますが、「人は対面でのコミュニケーションにおいて、言語の内容から7%、声の質や抑揚等の聴覚情報から38%、外見や表情等の視覚情報から55%の情報を受け取る」というものです。これは、実は言葉の内容と表情や声のトーンに矛盾があった場合に人は情報をどう受け取るかという実験の結果なので、単純に非言語コミュニケーションが大事だというだけだと誤解しないようにという注釈がついています。
でも、「情報に矛盾がある場合には人間は非言語コミュニケーションを重視する傾向が強い」ということは、「非言語コミュニケーションは大事」ということにおいては、あまり誤解は無いように思います。

メラビアン

実際には、非言語コミュニケーションが優位というよりも、聴覚や視覚に真っ先に入ってくる情報によって、言葉を受け取ることそのものを拒絶されてしまうことがあるなと私は感じているのですが、どうでしょうか? そういうことってありませんか?
実は……最近、聞き続けることができなくて、離脱してしまったウェビナーがあるんです。
耳障りな声という言葉があるように、ある種の声は耳を通じて頭を攻撃してくるような感じさえしませんか? わざとそんな声で話している訳ではないのでしょうから、そんなふうに感じてしまうのも申し訳ないのですけれど、聞いているのが辛い声があるのも事実なんですよね……ごめんなさい。

リモート会議やウェビナーでは、音声の影響力がより一層重要に

そのウェビナー、苦手な声と話し方の上に音が割れていて、聞いていると頭が痛くなってしまって、どうしても聞き続けることができませんでした。情けないですが、本当に無理でした。
話し方がたどたどしくても、癖があっても、声が苦手でも、せめて音が割れていなければなんとか聞けたと思うのですが、重なると耐えられませんでした……。特に、画面共有の多いウェビナーや解説動画は、対面でのセミナーに比べて音が強調されてしまうので、厳しいものがありました。
私の集中力が足りなくて飽きてしまったとか、内容に興味が無かったとかでは無いんです。むしろ内容は本当に知りたかったので、離脱したところから再チャレンジして、なんとか最後まで見たくらいです。
そうなんです。音を聞くのが辛すぎて、後からYouTubeで音を消して字幕をONにして見ました。変な文字起こしを推測で補いながら見たので内容が分かり難かったのですが、そうするしかなかったくらい、聞くのが苦しかったんです。悲しいことに、話し方が上手でない人ほど文字起こしもめちゃくちゃになるので、言語として成り立っていないレベルになってしまっていて、あまり良くわかりませんでした。内容は本当に知りたいことだったので、残念で仕方がありません。他の動画も見たいのですが、あの音に絶えられなくて視聴する気力が起きません。

画像2

「どんな声だよ?」と聞かれそうですが、誹謗中傷になるといけないので答えられません。そうなんですよね、だからきっと他の方も指摘するのが難しくて、あの声と話し方のまま、継続してしまっているのかも……。
これは酷いと思っても「声が耳障り」と指摘するのは「外見が不細工」と指摘するのと似たようなものですから、思っても言えないということはあるかもしれません。実際、私も「声が酷くて最後まで聞けなかった」という感想を送る勇気はありませんし……。さすがにそんなことは出来ません。
ちなみに、耐えられないのは自分だけかと心配になり、リアルで他の人にも聞いてもらいましたが、やはりかなり厳しい声だというのが共通意見でした。

声を改善しないのは、機会の損失になる

これは、私に忍耐力が無いとか、過敏すぎるという可能性を脇においてみると、実はすごく大きな問題で、放置していたらまずいことなんですよね。
私にとって学ぶ機会の損失であることはもちろんですが、話者の方や(ご本人以外が主催している場合には)主催者の方にとっても大きな損失です。
私はもう次に同じ講師の方のウェビナーに参加しようとは思わないですし、他にも同様の方がいる可能性はありますよね。せっかく時間と労力と費用をかけて用意したウェビナーや動画が、内容ではなく声と話し方が原因で低く評価されてしまうわけです。ああ、もったいない……。
ですが、実はIT関係の動画では、声と話し方が酷いというのはよくあることではあります。今まで何度も苦行に耐えています。今回は耐えきれませんでしたが。
恐らく制作側は、声と話し方がよろしくないということに気付いていないのだと思われます。または、先に書いた「指摘できない」という理由で放置されてしまっているか……。
だとしたら、どうすればこの問題は解決するのでしょうか。

自ら気付けるくらいだったらあの状態で公開していない

自分でテスト動画等を作ってみて確認するくらいのことで気付いて改善できるんだったら、そもそもあの状態で公開されていないのではないか、と思うんです。いや、だって、お金と手間暇をかけて顧客または潜在顧客に不快な思いをさせるって、意味不明行動ですから。わかっていたら絶対にやりませんよね。
だったらどうすれば気付けるのか。
もうこれは、今現在リモート会議等で声を出す可能性のある人は全て、自分の発言を録音して、とりあえずは社内でいいので匿名アンケートで評価してもらうことを必須にする制度を作るくらいまでした方がいいんじゃないでしょうか。全員強制にして、評価は匿名にすれば、名指しで誹謗中傷することにもならないでしょう。そもそも、声が聞くに堪えないなんて、匿名でなければ言えません。

画像3

社の利益を守るためにはセミナー講師を務める方だけでなく、会議や顧客対応をする機会のある方は全て、やった方がいいのではないでしょうか。友人・知人の評価はどうしても甘くなりますから。あ、そうすると、一人で起業中の私には匿名で評価してくれる人がいない……。

声も話し方も改善できる

気付いたところで、声は生まれ持ったものなのだから変えられないし、しょうが無いじゃないか、と思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。変えられます。
努力しても変わらないなら、ボイストレーニングなんて商売になりませんよね。私も就職支援事業を担当していたときに何度かボイストレーニング的な事を企画しましたが、発声は上手くコツを掴めば短時間でかなり上達しました。特に、元の声があまりよろしくない人ほど、劇的に効果が出ます。その時に覚えたコツを少し書きますと、
・口先でしゃべるのではなく、胴体にためた空気を喉から出して声を響かせるような気持ちで音をだす。しゃべるのではなく、音を出すように意識する。
・大事な単語はゆっくり強く、「てにをは」や語尾は弱く、さっと流すように発音する。
これは意外に難しくて、多くの人が単語の後の助詞を強く発音したり、語尾の方をはっきり強く発音したりしています。
これらを意識するだけでもかなり変わります。とはいえ、意識し続けて話すことは、かなり難しいんですよね。

私も人前で話すのが苦手で、録音した自分の声を聞いて練習するのも気恥ずかしくて嫌だったのですが、表彰式の司会やイベント、セミナーの進行をしなければならないことが何度かあったため、恥ずかしさをこらえて練習しました。リハーサルの時間がとれたときは、実際の会場で何度も何度も、時間を図りながら練習しました。
この練習のおかげなのか、今でもわりと「○分で話してください」系のお題はきっちり時間を守って話せます。自分の声と話し方は、まだまだ納得がいかないのですが、練習しまくった後にやった表彰式の司会は、何人かの方に褒められました。
あれからもう大分経ってしまったので、また話し方は後退してしまっていますが、努力すれば改善することは体験済みですので、努力のハードルは下がりました。ウィズコロナ、アフターコロナの世界は、きっと今より声の魅力がものをいうようになっていると思いますので、声の大切さを思い出した今こそ、努力を再開しようと思います。
声と話し方がまずくて視聴してもらえないことがあるなら、逆に声と話し方が魅力的であれば、それだけで人を集める力にもなるわけですからね。これはやらない手はないです。

おまけ:魔法の声の持ち主に会ったことがある

マイナス方面の声の話ばかりしてしまったので、最後に素晴らしい声の話をひとつ。
以前の仕事で、「あれは反則だ」と職場内で話題になるくらいに、素晴らしい声の男性と知り合う機会がありました。この方の声の威力はすごかったです。私がメインの仕事で関わっていて、その方からの最初の電話も私が受けたのですが、確かにこれは反則だと思うほど魅力的なバリトンボイスでした。
実際にお会いしてみると外見はいたって普通の方だったのですが、声を発すると、その場の空気がその人に味方してしまうくらいに、素晴らしい声の持ち主でした。話し方にも人を苛つかせたり不安にさせたりするところがまるで無く、その人の話を聞いていると「何も問題は無い、大丈夫だ」と根拠もないのに安心してしまうほどでした。もしかして、あれが魔法使いの声というものだったのではないか、と思えるくらいの声だったんです。声の魔力で人を動かす! 本当に動かせそうというか、動かしていたんだろうなと思います。

画像4

その方は当時担当していたプロジェクトの受託候補者の協力会社の方だったのですが、受託者を決めるプレゼンへの出席許可を求められたとき、私はお断りをしました。お断りをした理由は、「受託候補者の社員・従業員しか出席できないから」というものでしたが、当時は、この理由で断れて良かったと内心ほっとしていました。その方にプレゼンをされてしまうと、不当と言えるほどに有利になってしまう可能性があったからです。
それほど、その方の声の魅力は絶大でした。ご本人もそれがわかっているから、プレゼンへの出席を求めたのでしょう。あの方のことを思い出すと、声の影響力はメラビアンの法則がいうよりももっと大きいような気がしてきます。そういえば、声の影響力を9割と主張している方もいらっしゃいました。
とはいえ、声が魅力的すぎるからとプレゼンへの出席を断られたのでは、何がプラスでマイナスなのか、わからないですね。まあ、実際には「声が魅力的すぎるから」という理由で断れる訳もなく、ちゃんとした理由でお断りしたわけですが、内心は、公平性を保つためにはなんとしてでも出席して欲しくないと思っていました。あ、やっぱりマイナスに働いてるかも。

それにしても、人の心を揺り動かせるくらい魅力的な声になってみたいものです。そんな声を手に入れたら、まず何をしますか? とりあえず朗読とか動画を配信しまくるのはやってみるとして、選挙に出てみようかな? いかがでしょうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?