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12ヶ月後

乳ガンの宣告をされてから約1年が経とうとしていた。コロナ禍のおかげで、延期し続けてこられた検査だったが、前回の検査から半年が経っていたので検査に行ってきた。


今回は、高性能のエコーシステムによる検査ではなく、通常の診察室で受けられるエコー検査だった。エコー検査では、医師がマーキングして、画像の写真を保存すると何か異常があるサインだ。私は検査を受けながら、画面をずっと凝視し、医師の動きを観察していた。なかなか癌のエリアを特定できていないような様子や、血流を調べるエラストグラフィーも検出できていないように見えた。体調も良いし、癌が消えていることを検査を受けながら祈った。


検査の後、画像を見ながら医師が説明してくれた。残念ながら結果は、前回と変わらないと言われ、「悪化している可能性があるかもしれない」と言われた。私は心の中で「そんなはずがない」と思っていた。医師は、そろそろ1年経つのでMRI検査をして、前回と比較してはどうかと勧めてきた。私は、もしMRI検査で明らかな悪化があれば、即手術になってしまうことを恐れ、半ば時間稼ぎのため、MRI検査の前にまず高性能のエコー検査をしてほしいとお願いした。医師は、高性能のエコー検査は、乳腺の専門医が診るので良いだろうと同意してくれた。そして、1ヶ月後の7/9に予約を入れた。


そして、医師から、「悪化していたら手術をするのですか?」と聞かれ、私は「悪化していたら考えるが、今のままではしたくない」と答えた。

次に医師は、「薬膳は続けているのですか?」と聞いきたので、私は「お祈りと薬膳は続けています。というかそれしかしていません。」と答えた。

私が「お祈り」と言ったところで、医師がクスッと笑った気がした。まるで、聖書でアブラハムの妻サラが高齢で生理も止まっていた時に、神の御使いから彼女が1年後に男の子を産むという預言を聞いて、クスッと笑ったところのように感じた。


7/9が近づいてきた。私は、依然として東京で連日100名を越える新型コロナウイルス感染者の状況に、検査の予約を延長することにした。正確には、次回の検査で癒しを体験するための時間稼ぎでもあった。病院に電話をすると、8/13に予約を変更することができた。私は、医師の目の前で癌が消えて癒やされていることを期待してお祈りした。


8/13が近づいてくると、また検査を延期したい気持ちになった。このタイミングで、私を励ますように飼い猫の唇にできたイボが萎んでなくなった。猫の唇のイボは癌である確率が高い。私は、猫にも、私同様にお祈りをして、イボが取れると言われるヨクイニン(ハトムギ)と、解毒作用のあるタンポポ茶や細胞を修復するクマイザサエキスをエサに混ぜて与えていた。私は、今回は病院に行くよう神様が背中を押しているサインのように感じた。


また、聖書のヨシュア記で、イスラエルの民が約束した土地に入る前に「いつまで主があなたがたに与えられた地を占領しに行くのを、あなたがたは伸ばしているのか」と言われていたことばが浮かび、神様が私に癒しを用意されているのに、私自身が躊躇しているように感じた。私は、新型コロナウイルスも恐いが、8/13はお盆休み中なので、病院も空いているはずだと自分に言い聞かせた。


しかし、私は、ヨシュアが約束の地に入る前には、最後の戦いが待っていたことに気づいていなかった。

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