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一乗寺フェス2022 レビュー 後編

photo by 高橋良平

お待たせしました。ライブレビュー後編です。
インキョカフェ、RAVENALAでのライブの様子と、一乗寺フェス全体の様子をお伝えします。ぜひ前編後編合わせてご覧ください!
こちらが公式サイトです。

https://fest.ichijoji.net/2022/



工藤玄暉 / インキョカフェ

 真昼のインキョカフェ、工藤玄暉さんの演奏が行われた。独特な中性的な声に、流れを感じさせるアコースティックギターの音がよく合っていた。時にはささやくような歌い方が、儚く繊細な印象を楽曲にもたらす。演奏と歌声が互いにとても自然に混じり合うことは、聴き手の心の奥底に優しく届き、心地よさを感じられると彼の演奏から感じた。巧みな演奏には、ギターを爪弾く音に耳、滑らかなギタープレイの様子に目を奪われてしまう。
 会場として使われたインキョカフェは、曼殊院通りの一乗寺駅のすぐそばにある。私たち大学生は、曼殊院通りを歩きながらインキョカフェを覗くが、大人な雰囲気に圧倒され立ち入るのに勇気がいる。しかし、今回の一乗寺フェスでは、運営スタッフが全員大学生の会場ということもあり、開かれた空間作りがなされていた。店の中からの曼殊院通りを歩く様々な人たちを眺めていると、聴こえる音に立ち止まる人や覗き込む人もおり、一乗寺の日常の緩やかなテンポを肌で感じた。配信でも、窓から見える街の様子と共に、優しい音楽を聴くことができる。街に根付く酒場から、20歳になり大人へと背伸びをし始めた青年が声を震わせ、彼の言葉を歌っていた。

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松井文 / RAVENALA CUT&STAND

 一乗寺の美容室であるRAVENALAには、松井文さんの演奏が行われた。どこか深層から掬い上げられるような感覚。深いという感覚には、ギターと声が一音ずつしっかりと聞き取ることができる丁寧さと、母音が深く長く丸いことがあると感じた。母音の発音が深く長いことは、空間的な深みを感じることができ、丸いことで言葉の最後にまとまりが出る。夢や希望を歌う人は多いが、松井文の現実的な歌詞は、どこか地に足がついていて、直截的だと感じた。リアルを生きている私たちの心には、この、奥深い声と演奏、歌詞が響くのではないだろうか。 会場となったRAVENALAは、壁や天井がコンクリートでできているためだろうか。聞こえる音に軽い反響が起こるが、広がりすぎずまとまっていた。暖色系の照明で照らされた会場は、暖かい空間作りがされていた。

のろしレコード 公式ホームページ

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PAHUMA×近藤康平 / RAVENALA CUT&STAND


会場のスクリーンと配信画面に近藤さんの手元映像を送出

 宵闇に包まれ始めた一乗寺フェスに燈火が点けられる。PAHUMA近藤康平。音楽と絵画。それは互いに相反し衝突してしまうような芸術表現であるが、彼等が交わしあう眼差しからは温もりが感じられた。 宵闇のような紺色がキャンバスに広がり始める。それに呼応するかのように柔らかなベースラインが響いてゆく。 
 PAHUMAの声と近藤康平の筆には、もう帰らぬ者たちに向かって手を振るような寂しさがあるが、それが爽快感のあるポップなテンポ感によって、感傷的になり過ぎてないため、観客は鼓膜と眼の奥底の孤独と心地よく向き合える。宵闇のキャンバスに描かれた人物に自分を重ねるような体験だったように思う。
 宵闇は夜になり、やがて朝が来る。音楽には対象が、絵画にはメロディーがそれぞれ乏しいように思われるが、彼等のパフォーマンスには、互いの弱さを抱えながら生きていくという人々の様子がしっかりと捉えていた。人々は弱い故に繋がりを求める。彼等は〈二人だからできることではなく〉〈二人にしかできないこと〉をやってのける。そしてそんな燈火に、せめて朝が来るまでの光として彼等を求めるかのように、一乗寺の人々が肩身を寄せ合っていた。

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(文 / 西村紬)

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