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【#コミュラボ】第42回オフ会 坪田信貴先生と語る 「言葉とコミュニティ」

第42回(オンラインでは第24回)のコミュラボオフ会。
今回は坪田信貴先生と 「言葉とコミュニティ」をテーマにお話ししました。

10月発刊の新著の「やりたいことが見つからない君へ」(小学館新書)の再校ゲラの赤入れの締め切りが控えたお忙しい中、2時間超の「坪田信貴先生のオンライントークショー」でした。ありがとうございました!

坪田信貴先生のご紹介とお声かけさせていただいた理由

ー坪田信貴先生とは

坪田塾塾長吉本興業ホールディングス社外取締役

累計120万部突破の書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称ビリギャル)、累計10万部突破の書籍『人間は9タイプ』、『才能の正体』などのベストセラー連発の著者。

7月に発売された『「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない』は、発売後2週間ほどで5刷と大ヒット中。s

これまでに1,300人以上の子どもたちを子別指導し、心理学を駆使した学習法で、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。

自ら生徒を指導する教育者でありながら、同時にIT企業など複数社を創業した起業家であり、それらの経営者でもある。その活動の場は日米にまたがり、ネイティブ並みの英会話力を誇る。TOEICは990点(満点)。

大企業の人材育成コンサルタント等も務めるとともに、テレビ・ラジオ等でも活躍中。夢は、世界史の教科書に載ること。

ーお声かけさせていただいた2つの理由

1.「恩送り(Pay it forward)」と「ラポール」な人との関係の作り方

坪田先生との出会いは約3年前。
2018年10月に「才能の正体」を発刊されたタイミングでNewsPicks(NP)アカデミアで開催された「才能を伸ばすマネジメント」ゼミでのこと

その際に強く惹かれたこと。
それは坪田先生の「自分が持っていて、相手に役立ちそうなことを惜しみなく提供する姿勢」と「心理的にも物理的にも話す相手の目線に合わせる態度」。それに感激したことを坪田先生にお伝えすると、「当たり前のことです」とのこと。

こうした坪田先生の「生き方」は、コミュニティになっていく関係では必須。
「生き方」とは、自分が相手にできることをまずやる「恩送り(Pay it forward)」の姿勢と、どんな時でも、どんな相手でも心の中で抱きしめながら話す「ラポール」の態度。
ぜひこれを、お話しいただきたいと思ったから。

2.人と関わる際の「言葉」の大切さ

コミュニティの規範は、日頃の言動と行動で作られる。
新著では、親子や会社での上司部下のような関係を想定しつつ、人と関わるあらゆる場面に活用できる考え方と方法が記されている。

コミュニティ運営で頻出の「あるある」を事例に、言語学の用語「シニフィエ」(意味、概念)を用いて「…してはいけない」ではなく「…みたいにやってごらん」と表現する考え方と伝え方が満載

どう伝えればいいか、関わればいいか、を考えることが多い折に、坪田先生による「言葉」の大切さを共有いただきたいから。

このような坪田先生の「恩送り」と「ラポール」で人と接し、その際に用いる「言葉」を大切にされる「生き方」はコミュニティになっていく(一緒に作っていく)過程で必須、と思い、お越し願いました。

2時間超の「坪田信貴先生のオンライントークショー」

恩送り、ラポール、言葉の大切さを、その背景、理由、具体例とその実践の仕方などをセットにして、改めてご教示いただくとともに、今まで伺ったことがなかった話も満載な2時間!

例えば
坪田先生の考える究極のコミュニティのその仕組みの素晴らしさ
「カジサック」さんの生みの親として(は既に有名ですが)それに向かって動き始めた時のことやその先に広がった「恩送り」の話
・質疑応答での「多角的」に物を見れるようになるための日々の過ごし方
…などなど。

MCしつつ、握り締めたスマホでメモを取りまくり!
それを読み直しつつ、改めてアーカイブを見ると、コミュニティ運営のみならず、家庭、会社、そして自分の人生まで、改めて考え直すきっかけが溢れまくり!

この中から、特にコミュニティ運営につながる
1.「クレド」の話
2.シニフィアンとシニフィエの話
3.ワクワクする目標の立て方の話
の3つをおすそ分けします。

1.「クレド」

ークレドとは

信条や会社の目的のこと。会社を作ると、必ず言語化する。性格的に執筆した本やFacebookの文章などは推敲しないが、クレドは6ヶ月間、毎日推敲する。入りやすいキャッチーか、575などリズミカルになっているか、などを見直す。そうしてできたクレドは、必ず覚えていただく。

ー大切なのは言葉の定義と徹底した共有

例えば坪田塾のクレドに出てくる「塾生」の定義は、生徒さんから社員さんまで「ステイクホルダー全員」を意味する。このように、言葉は全て定義する。

自分が作った会社に入社された方には、ますクレドの研修を2時間受けていただく。クレドは会社の信条であり、会社はその達成を目指す場所であると理解していただく。

そして、入社後半年間は会社で会うと挨拶を交わした後に、必ず「うちの会社の目的は何?」と聞く。すると「クレドの達成」と0.5秒で返ってくる。さらに「クレドは?」とか「塾生の定義は?」聞くと、暗唱できるようになっていく。

そのために、就業終了時にクレドをみんなで暗唱する。その際に、リードを新入社員にやってもらって、出番を作るようにしている。このようにしていると、半年後以降にたまに聞いても詰まることがない。この徹底により「目的と手段の逆転」が起きないようにしている

ー繰り返し共有する理由

トヨタ、電通、日テレはじめ、いろんなところに研修に行くと、必ず「御社の目的」を聞く。皆さんも会社の人に聞いて見いて欲しい。だいたい似てるはず。でも、一言一句あっているわけではない。ここが問題。

だいたい似ているでは、どんどんずれていく。
キリスト教は聖書という文字で固定されている。口伝ではない。伝言ゲームをやると、3人目で違う話になることがよくある。
そのため、なんとなく言っているではなく、文字で固定する。さらに、解釈まで固定する。

このようにしておくと、メンバーの中に「目的など関係ない」とか「働くのは食うため」とか各々が違うことを言い出すことはなく、本来やろうとしていたことと違うことに向かうことを避けられる。
個人が何を実現したいか、は別でもいい。でも、組織としては同じであることが大切。

これがずれると、人数が増えるほどぐちゃぐちゃになり、派閥ができ、足を引っ張りあうことにつながる
それを避けるために、形骸化しないようにしつつ、言語化し、定義を明確にし、繰り返し語って確認し、同じ方向へ向かえるように繰り返しアウトプットする。

2.シニフィアンとシニフィエ

ここでワーク。「四角形の上に三角形を書いてください」。

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(書いた物を見せ合うと)みんな違うものを書いていることがわかる。
「四角形の上に三角形を書く」と言う極めてシンプルな言葉をインプットしても、アウトプットする形が全然違う。これを「当たり前」と認識しておくことが大切。

ーシニフィアンとシニフィエ

「シニフィアン」とは記号のこと、「シニフィエ」とは映像のこと。

例えば「木」はシニフィエ、その言葉を聞いて頭に浮かぶ「この木なんの木」のような大きな木の様子はシニフィエ。同じ記号を聞いても、それぞれの人に浮かぶ映像は違う。

今回のことでも、いろいろと考えられる。
「四角形」は正方形、長方形、ひし形など。
「三角形」も正三角形、二等辺三角形、直角三角形など。
「上」も四角の上に家の屋根のように三角を置く、四角の中に重なるように三角、四角の上に少しずらして三角など。
「書く」も指で書く、マーカーで書く、心の中で書くなど。

シニフィエがずれると、意思疎通がずれる。なので、映像化して伝えること。

ーシニフィエがずれる事例

社会人になるとよくある「上司が部下にコピーを頼む」事例が分かりやすい。

部下は(原稿がカラーだったからか)カラーで1部コピーし、そのまま上司に渡す。すると上司はこんなことを言う。

「コピーと言えばモノクロだろう。カラーは経費がかかる!メンバーが3人いるんだから3部コピーするだろう!右上をホチキスで止めようよ!」
…「コピーを取る」という言葉にいかに多くのことが内包されているかが、よくわかる。こうしたことが、日々、たくさんある。

これは、上司と部下の「シニフィエ」が違うことから生じたもの。
ずれないようにするには、上司が完成形を言語化して伝え、同じシニフィエを共有すること。
「コピーをモノクロで3部とり、右上をホチキスで止めて」と伝えればいい。そうすれば、何度もコピーを取ったり、叱る必要もなくなる。

このようにやらなかったのは経験不足ではなく、こっち(上司)とあっち(部下)のシニフィエが違ったから。その定義をしっかりし、映像化までして共有すること。それさえやればうまくいかないことがない。

ー伝える順番が大事(シニフィエの共有の仕方)

山本五十六の名言の通り。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」という、この順番が大事。言う前に、まず、一緒にやってみること。

例えば、家でよくある「お皿を片付けて」というお願い。
これも実は難しい。自分は家事ができず、手伝おうとすると本来あるべきところに置かないので、やらなくていい、と言われる。

まずお皿はどのお皿なのか、どこに片付けるのか、素人にはわからない。そこで、まずやってみせる。すると、お互いにとって同じ映像になるそのあとで言語化する

相手に「どうやっていた?」と聞いてみるのも一案。その上で、お皿は叩きつけないで優しく置く、大きいお皿を後ろに置くなど、自分が意識したポイントを言う。そしてやってもらう。できたら、褒める。そして次からやってもらう。

シニフィエはやってみせ、体現することが大事。映像化で一番簡単なのは自分がやってみせること。

3.ワクワクする目標設定

ー会社の目標の立て方は「1000%にできるところ」を探せ

コミュニティにとっての「旗」とも言える会社の目標は、現実から可能なことを設定しがち。

昨年対比105%とか、110%とか、過去5年はこんな感じだったから3%成長とか。過去実績からみた現実から考えがち。しかし、これはワクワクするか??なぜ、昨年対比600%などを考えないのか。

自分の会社では、毎回昨年対比1000%の目標を作る
言い換えると「1000%にできるところはどこ?」と探す。先日読んだNewsPicksの記事によれば、リクルートも同じ考え方のような。どこを1000%にできるか、が重要。

ー目標を立てたらワクワクするかを確認する

高校生で、受験勉強しない、やる気がない生徒がきた。
5教科で得意なものは?とくと無いと言う。活字恐怖症で文字を見ると気持ち悪くなるらしく、マンガも雑誌もダメ。これで勉強するのは難しい。

そんな生徒と「テンションの上がる目標」を考えた
好きなタレントは?と聞くと「SexyZoneの勝利くん」と恥ずかしそうに答えた。「目標を達成したら付き合える、としたら?」と聞いたら「やってみる!」と恥ずかしそうに話してくれた。

そこで「SexyZone」だけに、付き合うまでには、ファースト、セカンド、サードゾーンがある。ファーストは本を10冊読む、セカンドは20冊、サードは30冊というステップがあるとする。やってみる?と聞くと、やってみる!と答える。しかし、目標を「クラスでカッコいい子」なら?と聞くと「やらない」という。

このように、「クラスでカッコいい子」はある意味現実的な目標であり、SexyZoneは理想的なワクワクする目標である。
その目標達成のためなら努力は怠らない、こうなったらベスト。

ー坪田先生の夢

「世界史の教科書に載る」という目標はワクワクする。
そのためにどういうことをしなければ、を考える。

目標は現実味がないことでも、言ってみると面白い!ワクワクする!無理を面白がってやってみよう、いう仲間が集まってくる。そうしたことが大事。

世界史の教科書に載る」という目標に対し、吉本興業の大﨑会長がずっと「どうやったら坪田君は世界史に載れるか」を考えてくださっていた。
それを8月29日深夜放送のラジオの収録時に語ってくださった。聞くとワクワクするものばかりで「それやります!」ということになった。

ワクワクする目標だと、最初は半笑いだが、言い続け、愚直にやり続けていると、このように賛同してくれる人が出てくる。

以前、朝日新聞の話題の人のようなコーナーに採り上げられた
その際の見出しが「夢は世界史の教科書に載ること」。これはますます「やらないとやばい」状況になった。す
ると新聞を見た小中学校の友人が「昔から言ってたな」「だんだん近づいてきてないか?」とメッセージをくれた。

まだまだ近づけていないが、言って、愚直にやっていると、稀代のプロデューサーである吉本興業の大﨑会長がプロデュースしてくださるくらいになる

このように旗を立てると、仲間が集まることを実感している。そのためにも、旗は魅力的な方がいい。

ー目標はキャッチーさが大事

三国志の曹操が好例。
漢王朝での戦いの際に「蒼天既に死す」と言う檄文を飛ばした。これは「蒼天」すなわち、漢帝国は既に死んでいる、新しい世の中を立ち上げよう!というもの。かっこいい!この檄文に刺激され、黄巾の乱が起き、曹操は英雄の一人になった
目標はこのように、お題目ではなく「こうしたい!」と思う言葉にすることが大切。

MC後記

「クレド」「シニフィアンとシニフィエ」「ワクワクする目標」…これはコミュニティにとって必須の「規範」「旗への向かい方」「旗」のお話。

規範がずれると、バラバラになる。ゆえに、言語化し、その言葉を定義し、入会当初に徹底して共有する。さらに、定期的にみんなで振り返る機会を作る。

そこに向かう方法はズレないように、まずは「やってみせる」。その上で、ポイントを言語化して確認した上で、やってもらう。そして出来たら、褒める。この繰り返し。

そうして目指す「旗」は、その表現も程度も「ワクワク」するものとする。その内容は、最初は半笑いされても、言い続けているうちに「ワクワク」してくれる仲間が集まってくる。

しかも、その中で自分にできることはまずやる「恩送り」と、目の前にいる人を心の中で抱きしめながら話して信頼関係を築く「ラポール」の姿勢を忘れない…今の坪田先生の周りに広がるコミュニティの礎を、文字通り2時間で「やってみせて」いただきました。坪田先生、改めてお忙しい中、ありがとうございました!

そして、この2時間超の多岐にわたる内容をしおりんさんがグラレコにまとめてくださいました!ありがとうございました!

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【The Community Lab. #コミュラボ】 コミュラボは、コミュニティが生まれる・動く「きっかけ」の場所です。関心の度合いに応じて①ゼミ、②ラボのラボ、③チアの三層構造となっています。その活動をおすそわけします。