自分のこと、どのくらいわかってる? 自分についての新たな「気づき」を得るための3つのヒント
あなたは、自分のことをどのくらいわかっていますか?
そう聞かれたとき、「よくわかっているよ!」と答えたくなる方も多いのではないでしょうか。好きな食べ物、生活習慣、性格……自分について語るための情報は、きっとたくさん持っているはずですよね。
では、今意識できている自分が、自分のうちのほんの少しだとしたら——?いやいやそんなことないよ、と言いたくなるかもしれませんが、これはまぎれもない事実。人には思っている以上にたくさんの「無意識」があり、誰の中にも「まだ気づいていない自分」がいるのです。
今回のnoteでは、日常生活の中で「自分でもまだ気づいていない自分」を見つける3つのヒントを紹介します。お話をしてくれるのは、国立の研究所で働きながらコーチングの研究を行い、THE COACH ICP講師も務めるもえちゃん。
「日常生活で自分の感情や思考に気づくための3つのヒント」をお伝えします。アカデミックな知識を背景にした今回のお話は、きっと新しい「気づき」の助けになるはずです。
わたしたちが「意識できていること」はほんのわずかに過ぎない
わたしたちが自分について「意識できている」ことは、全体のわずか10%以下と言われています。残りの約90%は無意識の領域で、感情や身体感覚の多くは「無意識の領域」に含まれています。
つまり、何も意識せずに過ごしていると、残りの約90%の領域で起きている、大切な感情や身体感覚を見逃してしまうかもしれません。
たとえば何かに悩んだとき、自分の本当の感情に気づけなければ、本質的な解決につながらないかもしれません。「無意識の領域」に焦点をあて、より深い気づきを得ることが、より良い人生を歩み始めるための第一歩となるのです。
「気づく」ためのヒント①:わたしたちの考えていることには必ず思い込みがあると意識する
そもそもわたしたちの考えていることには、必ずといっていいほど思い込みがあります。冒頭でお伝えした「自分のことはよくわかっている」というのも、思い込みのひとつ。
そして、「人は思い込みをしやすい」ということを説明してくれるのが「二重過程理論」です。
二重過程理論とは、わたしたち思考のプロセスには「直感的で早い思考」「論理的で遅い思考」の2つのモードで思考を処理しているという理論です。
「りんごは赤いですよね」と言わたとき、ほとんどの人は「うん、赤いよ」と思うでしょう。これがシステム1の反応です。そのあとに稼働するのがシステム2。「いや待てよ、青いリンゴもあるじゃないか?皮を剥いたら黄色じゃないか?」と立ち止まって熟考することができます。
私たちが何か考えようとするとき、システム1が先に稼働してしまうのですが、このシステムには「思い込み(バイアス)」があることが特徴です。自分にとってネガティブな気持ちを引き起こす思い込みを持っていると、必要以上に思い悩んでしまうこともあります。
まずは「誰にでも思い込みがある」ことを知る。そして、起きた出来事に対して直感的に判断を下さず、立ち止まって考えてみることで、自分についての新たな気づきを得られることがあります。
「気づく」ためのヒント②:思い込みや今ある自分の考え方を書き換えることができると知る
思い込みがあることに気づけたら、次に知ってほしいのは「思い込みや、今自分の中にあるものの考え方を書き換えることもできる」ということです。
考え方を書き換える方法のひとつとして知られているのが、「認知行動療法」。認知行動療法とは、認知(=現実の受け取り方、ものの見方)に働きかけて、気持ちを楽にしたり、心の負荷を減らしたりすることができる治療法です。
心理療法(精神療法)の一種であるため、医師やカウンセラーのもとで受けるのが基本となりますが、認知行動療法の「考え方」を知っているだけでも、新たな物事の捉え方・視点に気づくヒントとなります。
ある出来事を通してAさんの中に起こった感情と行動の変化を見てみましょう。
ここでAさんが「まだ社内に周知されていない大切なことを話しているのかもしれない」という認知をしていたとしたら、憂鬱な気持ちは起こらず、同僚たちとのコミュニケーションも問題なくできていたかもしれません。
このように、自分に起きた出来事をどう受け取るか、どんな見方をするかによって、そのあとに起きる感情や行動を変化させることもできるのです。
認知行動療法の考え方を知っていると、困難にぶつかったときに「偏った考え方をしている自分」に気づくことができるかもしれません。「もしかしたら、違った見方もできるかもしれない」という気づきにもつながりそうですよね。
「気づく」ためのヒント③:解釈が変われば世界が変わることを知る
近しい考え方に「リフレーミング」があります。リフレーミング(Reframing)とはその名の通り、その人が持っている枠組み(frame)を組み替える(re)こと。驚きが生まれて考えが変わったり、視点が変わったりすることを指します。
たとえば、日ごろの仕事ぶりが評価され、マネージャーに昇進するという出来事が起きたとします。「なんでわたしばかり大変な役回りを」と考えることもできますが、「成長できるチャンスだ」と考えることもできますよね。起きている現象は同じなのに、見方によってネガティブにもポジティブにもなりえるということです。
「普段の考え方をまるっきり、継続的に替える」必要はなく、目の前の出来事に対して、瞬間的に”シンキングするフレーム”を変えたり、視点の置き場所を変えたりできればOKです。
自分が短所だと思っている性格も、リフレーミングの考え方を用いれば長所だと捉えられます。
リフレーミングの考え方も、「短所だと思っていたことが実は長所とも考えられる」「周りからはこんな良いところを持った人として見られている」という気づきのひとつになりますよね。
「自分の知らない自分」も必ず存在する
今回は、皆さんが「自分の知らない自分」に気づくための3つのヒントについてお話しました。今回お伝えした理論やフレームに当てはまることばかりではないかもしれませんが、背景理論を知っているだけでも、気づきのキッカケになるはずです。
ひとつ覚えておいていただきたいのは、「自分の知らない自分」も必ず存在するということです。「思い込みを無くそう」「視点を変えてみよう」とどれだけ意識してみても、結局は自分の頭で思い描いているに過ぎません。どうしても自分一人で気づきを得るのには限界があるのです。
友人や同僚などに自分がどう見えているかを聞いてみるのも、自分を知るための方法のひとつ。「わたしってどんな性格に見えている?」「仕事中は、どういう振る舞いをしている?」。日々の会話を「自分の知らない自分」を見つけるための手掛かりにしてみてもいいですね。
また、コーチングでは、コーチとの対話を通して、自分だけでは得られない深い気づき・新鮮な視点での気づきを”自分で”得ることができます。自分の知らない自分に気づきたい。気づきをキッカケに、本質的な変容をしたい。そんな方はぜひ1度、THE COACH Meetで自分に合ったコーチを探してみてください。
THE COACH ICPではコーチングについて体系的に学ぶことができます。コーチングの学びを通して、より本質的な気づきを得たいと考えている方は、ぜひ説明会に参加してみてくださいね。