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#56 人生の短さについて セネカ

時間はとても安く見積もられている」という訴求を私はもっと真剣に、深刻に考えなくてはならない。

だれかが時間をくださいとお願いすると、求められたほうは、いとも簡単に与えてしまう。

資本主義以来、労働者が資本家から搾取されているとマルクスが指摘する遥か昔よりセネカは時間の搾取と時間の浪費について厳しく指摘し無駄つがいをしないように訴える。

それでは我々はどうしたらいいのだろうか?

あらゆる世俗的な営みから離れて生きる人の人生が、長くないはずがあろうか。
とセネカはいう。

閑暇なひとになれ
という。

閑暇とはなんであろうか。
単に余興に時間を使う人をそうは呼ばない。

閑暇な人といえるのは、英知を手にするために時間を使う人だけだ。

先人たちが英知を残してきてくれたのと同じく我々もまた後世に英知を残すためにのみ時間を使わなくてはならない。そのためにも今だけを生きていては、達成できないであろう。過去の先人たちの遺産と向き合い永遠の時間を手に入れる。
過去の遺産と向き合うということはその時代時代に排出された「超」優秀な人と向き合うことになり、現時点では得難い英知を得るのとにもつながる。

我々は本当に大切な仕事に時間をつかえているであろうか。


出典 人生の短さについて 訳:中澤努
        光文社 古典新訳文庫

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