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小説を書いたから紹介するだけの記事

今回は小説を書いてのでその紹介(?)です(^^)

自分YOASOBIにどハマりしててるんですけど、なんと4月からYOASOBIがめざましテレビのテーマソングを担当することになったんですよ!いやぁめでたいですねぇ…しかし何と言ってもビックリなのがその曲の原作小説を一般公募したこと!(YOASOBIはいつも何かしらの小説を題材に曲を作っています)

小説の条件は「おはよう」というテーマで10000字以内の小説を書くことだけ

というわけで僕がせっせと書き上げた小説です⬇️よかったらご賞味ください(以下本文)

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そして輝る

それは太陽の昇ることのない世界。
何千年も前に太陽が消えてからずっと暗闇に閉ざされた世界。
自然の光を肌で感じたことのない人々が住む世界。
これはそんな世界で生きる二人の子供の話。

「昔はタイヨウっていう大きな光が空に浮かんでは消えていたんだって!」
私の相槌を待たずにルカはブランコに揺れながら意気揚々と話を続ける。
「タイヨウが消えたら次にツキが出てきて、あ、太陽が出てる時はアサとかヒルって呼んで、ツキが出てる時はヨルって呼ぶんだけどね一日はアサで始まってヨルで終わってたんだって!」
私は苦笑いをしながら、息継ぎもせずによくもまあこんなに長く喋れるものだとルカの話に耳を傾けた。ルカはこのようにおばあちゃんから聞いた“タイヨウ”のあった時代の話を私にいつも楽しそうに話してくれる。
「エマ、話ちゃんと聞いてる?」
「うん、聞いてる聞いてる」
笑いながら答える私に対してルカは少し不満気な顔をして揺れるブランコを足で止めた。
「もう!て、もうこんな時間か。そろそろ僕ご飯の時間だから帰るね。じゃあねエマ、また明日!」
プクッと頬っぺたを膨らませていたルカは、時計を確認して笑顔で手を振りながら公園から走り去って行った。私は控えめに振っていた手を下ろし、空を見上げルカの笑顔を頭の中で反芻する。笑ったときにできる目尻のシワ、右側にだけ出来るえくぼ。つい先程の出来事なのに思い出すだけで心拍数が上がってしまう。
「はぁ、やっぱり好きだなぁ」
呟いた言葉は煌く星と真っ暗なヨルの空に静かに溶けていった。

布団にくるまって寝る準備をしていると色んなことが頭の中で飛び交っていく。明日の授業のこと、ルカのこと、そしてタイヨウのあった時代のこと。私は一度だけルカにどうしてそんなにタイヨウのあった時代のことが好きなのか聞いたことがある。
「好奇心…かな。」
一言ずつ正しい言葉を探し出すようにルカは答えてくれた。
「僕らにとっての当たり前の世界がさ、昔の人にとっては当たり前じゃなくて昔の人の当たり前が僕らには当たり前じゃない。なんかこれってすごく面白くない?同じ地球に住んでるのに時代によって当たり前が違う。それがすごい好きでさ、昔を知りたいって気持ちが止まらないんだ。うーん、うまく伝わったかな?」
照れ笑いしながら頭を搔くルカに対して私は大きく頷いた。ルカの言いたいことはとてもよく分かる気がした。私もこの世界にタイヨウが昇っていたらどうなっていたのかはよく考えるからだ。タイヨウの光で育つというハナやクサが咲いている色彩豊かな世界。雨の後に水溜まりを掻きださなくても水がジョウハツする世界。好きな人の顔を街灯の光よりもハッキリと見える世界。そんな”もしも“の世界に想いを馳せることは少なくない。いつか見れるといいな。そんな想いを胸に深い眠りへと落ちていった。

「エマ、オハヨウ!」
通学路の途中の十字路で先に到着していたルカが私を見つけるなり大声で叫ぶ。朝から元気だなぁと微笑みながらも聞き馴れない言葉に戸惑い思わず聞き返してしまう。
「オ・ハ・ヨ・ウ?」
「そう!オハヨウ!」
「オハヨウって何?」
「オハヨウはね、昔のタイヨウのあった頃にアサの挨拶で言っていたんだよ。今はこんにちはしか挨拶ないけど昔はアサにオハヨウって言って夜にコンバンハって言ってたんだって」
「へぇ〜時間ごとに挨拶が変わるのってなんか凄い違和感あるかも」
「面白いよねぇ。あとね、信憑性はまだあんまり無いかもなんだけど近日中にタイヨウがまた現れるかもしれないんだって。有名な研究者の方が昨日の夜に発表してた」
サラッと告げられた衝撃の事実にオハヨウのことは頭の中から消えていった。え、タイヨウがまたこの世界に現れるの?そんな嬉しいニュースなのになんでルカはこんなにも浮かない顔をしているのだろうか。聴きたい気持ちをグッと抑えて相槌を打つ。
「やったじゃん、楽しみだね」
「うーん、楽しみなのかな。なんかふわふわした気持ちなんだよね。めちゃくちゃ嬉しいはずなのに実感がないというか。過度な期待をして実現しなかったらガッカリしちゃうからあまり期待しないようにしてるのかもしれない」
そう言ってるルカの顔はどこか儚げで私はこれ以上この話を続けなかった。この世の中にはたくさん夢見てきたからこそ期待できないこともきっとあるんだ。

あの十字路での会話から一週間。あれ以来ルカはタイヨウの話をめっきりしなくなった。心配に思いながらもタイヨウの話をしなくなったこと以外はいつも通りだったので特に気にもとめていなかった。
「ピンポーン」
リビングで宿題をしていた私は顔をあげ眉間にシワを寄せる。誰だろう。時刻はすでに十一時を回っているしこの時間に配達業者がくるはずもない。不審に思いながらもインターホンに出る。
「はい、どちら様でしょう」
「あ、エマ?俺だよルカ。夜遅くにごめんね、ちょっとだけ話せるかな」
どうしたんだろう。少しの不安を覚えながらも急いでドアを開ける。
「どうしたのこんな時間に?」
「エマ、俺と一緒にタイヨウを見に行こう」
「え?」
何かの冗談だったらよかった。でもルカの顔は真剣そのものだ。幸い両親は父方のおばあちゃんの家に行っており今は留守だ。もう一度ルカの真剣な顔を見る。
「分かった、五分だけ待ってて。すぐに準備してくる。」

ルカの腰に掴まりながら自転車を漕いでいるルカに聞いてみる。
「突然タイヨウを見たいだなんてどうしたの」
「どうも研究者曰くタイヨウが昇るとしたら明日らしいんだ。見にいくか迷ったんだけどさ、やっぱり後悔したくなくて。最後まで夢を追いかけていたいって気持ちがね」
自転車に揺られながら当たる夏の風は心地よく全てが洗い流されているようだった。顔は見えないけど今まで通りのルカに戻ったのは背中越しにも伝わってくる。
「どこで見るの?」
「いつもの公園かな。あそこは高台の上にあって見晴らしがいいからさ」
公園に着いた時にはルカは汗だくだった。それはそうだ、なんせ女子とはいえ中学生の私を乗せて坂を駆け上がってきたのだから。筋肉質ではないその体のどこにそんな力があるのか。途中辛そうなルカに歩いていくことを提案しても却下された。どうしても早くつきたかったのだと。
「大丈夫?」
蛇口で水をひたすら浴びているルカに声をかける。
「ははは、やっぱり日頃から運動してないとダメだね」
そう照れ笑いするルカに思わず私も笑顔になってしまった。
「タイヨウが何時に昇るかまでは分かってないんでしょ?あそこで待ってようよ。あそこなら一望できるでしょ」
そう言ってブランコを指差す私にルカもそうだねと頷いた。ブランコは町側に面しており漕ぎながら見下ろす街並みはまさに絶景なのだ。
「もしもさ、タイヨウが本当に昇ってきたら私達どうなるんだろうね」
それとなく聞いた質問にルカは難しそうな顔をして考え込んでしまった。
「きっと順応するよ」
長い沈黙の割には返ってきたのはたったそれだけだった。それから会話という会話は生まれず私たちは呆然と星と街灯に照らされた街を眺めた。
「俺さ、これまでずっとタイヨウがあった場合の“もしも”の世界のことを考えてた。1日の経過が時間だけじゃなくて視覚的にも分かるようになるのかとか。タイヨウによって育つハナやクサが日常を彩ってくれるのかとか」
静かに語り出したルカに対して私は街を眺めながら耳を傾けた。
「タイヨウが出てきたら沢山の新しいことが起こると思う。でもそんな非日常もさ、いつかは日常に変わる。当たり前じゃなかったことが当たり前になっていく。そしていつかはこの暗闇の世界も遥か昔のお話に変わっていくんだ。だってそれが歴史だもん。だから俺は忘れられていくようになるのは仕方ないことだと思う。でもね、思うんだ。夢見た過去が現実になるのは嬉しいけど、夢を見ていた時の気持ちだけはずっと忘れたくないなって」
頬を伝う雫が零れ落ちて自分が泣いていることに気付いて急いで涙を拭った。溢れ出る涙の真意はわからない、でも止まらなかった。夢が叶ったその先には何があるのだろうか?さらに追いたくなる夢があるかもしれないし、何もないかもしれない。そこに正解はないかもしれない。でも一つだけきっと確かなことはある。夢を追いかけていた頃の輝きを忘れてしまったら、夢をつかんだ後にそれ以上の輝きを持てないということだ。夢見る気持ちを忘れたものに夢は見れない。思考を巡らせていた私はふとおかしなことに気がつく。あれ、この公園こんなに明るかったっけ?まさか…急いでルカの方を向いた。こっちを見ていたルカと目が合った。満面の笑みで泣いていたルカの顔から零れた雫は宝石のように輝いていた。ハッキリと見える橙色に照らされたルカの笑顔は今まで一番輝いていた。
「おはようエマ」
優しい言葉が宙に舞う。私たちの夢は始まったばかりだ。



どうでしたかね?これまで小説を書いてきたことは数回ありましたが、どれも自分の好きなものを書いているだけだったのでテーマをもとにストーリーを考えるの初めてでした。これが難しいこと難しいこと…拙い文章とストーリー構成ではありますが感想を聞けたら幸いです(^^)

では、今日はここら辺で

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