アートのオンライン化の試みと可能性:アーティストトーク「表現とバリアフリー」VOL.2 レポート
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アートのオンライン化の試みと可能性:アーティストトーク「表現とバリアフリー」VOL.2 レポート

THEATRE for ALLにご参加いただいているアーティストや制作団体、ディレクターをゲストに迎えるオンライントークシリーズ。

第二回はSIDE COREの高須咲恵さん・松下徹さん、アートディレクターの金島隆弘さんをお迎えし、お話を伺いました。

SIDE CORE(アーティスト)
2012年より活動開始。メンバーは高須咲恵、松下徹、西広太志。ストリートカルチャーを切り口にアートプロジェクトを展開。「風景にノイズを起こす」をテーマに、都市や地域でのリサーチをベースにアクションを伴った作品を制作。ギャラリーや美術館での展覧会開催の他に、壁画プロジェクトや街を探索する「ナイトウォーク」など野外空間での活動を展開。全てのプロジェクトは公共空間での視点や思考を転換させ、表現や行動を拡張することを目的としている。主な展覧会に「大京都芸術祭」(京丹後/2020)「生きている東京展」(ワタリウム美術館/2020)「Out of Blueprints by Serpentine Galleries」(NOEWNESS/2020)
金島 隆弘(アートディレクター)
ACKプログラムディレクター、京都芸術大学客員教授
1977年東京生まれ、京都在住。2002年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了後、ノキア社、株式会社東芝、東京画廊+ BTAP、ART iTなどを経て、2007年に FECを設立。展覧会企画、交流事業のコーディネーション、アーティストの制作支援、東アジアの現代美術の調査研究などを手がける。2011年よりアートフェア東京エグゼクティブディレクター、2016年よりアート北京アートディレクターを経て、現在は京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程に在籍しながら、2021年より国立京都国際会館で開催される新しい形のアートフェアACK (Art Collaboration Kyoto)のプログラムディレクターを務める。

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左上がSIDE CORE松下さん、右上が金島さん、左下が金森さん、右下がSIDE CORE高須さん

金森:まずは、自己紹介からお願いします。

松下さん:僕自身も一人のアーティストで、SIDE COREは高須咲恵と西広太志と私の3人で活動するアートチームです。2012年に活動を始め、ストリートアートや、路上から生まれたものを題材に制作や展覧会を行なっています。ストリートアート自体は、美術館やギャラリーにもありますが、基本的には「外にあるもの」なので、外の街中で見るのが楽しいんですよ。なので今回の『MIDNIGHT WALK tour / TOKYO 2020』(以降『MIDNIGHT WALK tour』と記載)では、外苑前から渋谷までを1時間半ぐらい、町にある色々なストリートアートや街の歴史、面白い建築などを見ながら、みんなで歩き、また、途中でアーティストが作品を見せてくれたりなどもある街歩きの様子を映像化した作品になります。街歩きは普通にできることではありますが、今の時期、できなかったりとか、また再開発も含めて面白いストリートアートがなくなってきているのもあり、その記録にも焦点を絞ってやっています。

金島さん:アートに関する色々なプロデュースの仕事をしています。どこかに固定的で所属するのではなく、フリーの立場でプロジェクトに関わっています。美術展示のキュレーションもしますし、企業が美術に関わる時に、どういったプログラムができるかや、今回だと、新しいテクノロジーと美術がどういう関わりができるかなど、美術を軸に楽しみながら色々なことをさせていただいております。

金森:今回の作品作りの上で、どんな視点で作家さんを選ばれたかお聞かせいただけますか。

金島さん:色々なアーティストと柔軟に議論して、バリアフリーやeラーニングを形式的に取り組むというよりは、そういうものを一つのトリガーにして、新しい作品や、ならではのことを考えられたり、言葉のやりとりができるアーティストということで、SIDE COREさんと一緒にプロジェクトをすることになりました。

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金森:SIDE COREさんと金島さんはこれまでもプロジェクトを一緒にされてきたのかなと思うのですが、どのようなことをされていらしたんですか。

金島さん:そうですね。最近だと沖縄の「やんばるアートフェスティバル」があります。沖縄北部のヤンバルクイナが生息する森の芸術祭で、去年からSIDE COREさんには参加作家として携わってもらっています。現地には数年前から来てもらっていて、フィールドリサーチや、色々な土地の歴史や文脈を見てもらって、その上で作品を考えてもらうことをしていました。

金森:舞台芸術の分野では、コロナ禍で劇場に人が集まること自体が難しいため作品の上演ができず、発表もままならならずで。そういったことがTHEATRE for ALLの事業を始めるきっかけの一つだったのですが、コンテンポラリーアート/メディアアート業界では、どうだったのでしょうか?

金島さん:そうですね。まだ消化不良な感じはあるのですが、今までの既存の仕組みが突然こう変わって、変わることを上手く利用というか、変化を含めて「次のこと」を考えることを続けてきました。実際、社会の仕組み自体はかなり変わっているなと思っていて。例えばこういうトークも、オンラインですし、大学の授業を教えているのも出張先であったりとか、本当に色々と変わってるなというのはあります。これからどうなっていくのか。そういう意味では「始まり」なのかなと。

金森:『MIDNIGHT WALK tour』のもともとのリアルイベント『ナイトウォーク』では、アーティストの皆さんと参加者との「ある種の秘密の時間」というか、クローズドの中の体験が一つの面白さだなという印象を持っています。それがオンラインでの発表になると、不特定多数の人たちに常に開かれた状態になるわけですが、それに対して映像作品化する際に意識した点とか、その辺りをお聞かせいただけますでしょうか。

高須さん:今回はタイトなスケジュールだったので、瞬発的に「何を出すか」と考え、自分たちにとっての「チャレンジ」を選びたいなと思っていて。普段の『MIDNIGHT WALK tour』は実際に街を歩く前に、スタートしたら抜けられないっていう縛りがあるので「それをオンラインでやったらどうなるかな」というのが最初にありました。

金森:限定されたメンバーで実際にやる場合と、オンラインで、いつ誰が見るか分からない場合だと、作り手側の意識は結構変わるのではないかなと想像します。

高須さん:そうですね。さきほど金森さんに「秘密」と表現していただきましたが、秘密にも度合いみたいなことものがあって。「みんな知ってるけど、いちおう秘密」から「本当に秘密」の部分までいくつかレイヤーがあるんです。その共有してもいいかなという秘密にフォーカスしたというか。オンラインでどこまでできるかやってみましたが、実際は『ナイトウォーク』とは全然別物を作っていると捉えています。

金森:『ナイトウォーク』の方が、より秘密のものがあるんですね。

金島さん:入り口としては『ナイトウォーク』をオンライン化する予定が、最終的に作品として見ると、違うものになっていて。時間の長さも含めてオンラインだからこそ作品として成立してるというのはありますね。

高須さん:「仮想的に体験できる」という言い方があると思うんですけど、この作品も『ナイトウォーク』を仮想で導入的に覗いてみる感じを意識して制作しました。だから実際とは全然違う。

金森:『MIDNIGHT WALK tour』は、見ている側に一緒に歩いてる感覚があったり、SIDE COREの方々や現れる人たちの「生き様」を見ているような感覚もあったりして、いくつかのレイヤーで感じられる作品だなと思っているのですけれども、金島さんは創作過程で何か発見や感じられたことはありましたでしょうか。

金島さん:実際に撮影されているけれども、非現実的ですごい仮想的な部分もあって。「これは本当に現実なのかな?」というのが結構あったので、不思議な体験というか。例えば、美術館などで流す映像とは違って、オンラインなので見る場所が拘束されないし、自分のペースで見れる。映画みたいだけど、映画でもない、といった面白い体験がありましたね。

金森:どうしても入れられなかったパートもありましたよね。上映イベントなどでは、見せれることもあるのかなと思うんですけど。

金島さん:それも今の時代だからこそ、対応しないといけなかったことだったりしますよね。タイミング的にすごく絶妙で、オリンピックが延期されたコロナの中の渋谷でしたし、記録としてもとても面白いというか。色々な要素が詰まった作品になったのかなと。

金森:振り返る時代によって、違った見え方になる気がします。

金島さん:自分が意識しない・見逃しているものが多くある中で、そういうものを気づかせてくれるというか。アーティストたちは、普段私達が見つけられないものを、気づかせてくれたり、違う視点を持ってきてくれたりすると思うのですが、この作品は単なる街歩きのように見えて、それを感じるというか。

金森:また機会があれば、色々な町や時代のバージョンを拝見できたらいいなと思ったりしますけど、映像化の機会っていうのは、これまであったのでしょうか。また今回の撮影で、その後の制作に影響や新しい視点はあったりしましたか。

高須さん:『ナイトウォーク』の映像化は今回が初めてですね。『ナイトウォーク』自体に影響があったというよりは、街の定点観測的な意味も含めて、どこまでがリアルかわからない「映像作品」として考える機会になったんじゃないかなと思います。

金森:これまでも映像制作もされていたかと思うのですが、SIDE COREにとって表現手段としての映像はどういう存在ですか。

高須さん:映像は、アーティストに限らず多くの人が使うメディアで数としてもどんどん増えてきています。場所を超えて人に届くし。あと映像はものが一つ「そこにある」こととは違う次元で、聴覚と視覚を使って自分たちの表現を伝える便利で使いやすい手段だなと。コロナの影響もあって、映像を見る機会がすごい増えてますよね。だから、逆に映像じゃない実際そこにあるものも魅力的で、力を入れたいなと思っています。そこを行ったり来たりするのかな、と思ってますね。

金森:我々もこうして映像配信のサービスをしていく中で、映像を用いて多視点で立体的な時間軸の捉え方のものを、作りえるのかもしれないと思っていて。これから機会があればやりたいなと思っていたりします。金島さんは、メディアアート作品をオンライン発表する際の可能性について、どう考えていらっしゃいますか。

金島さん:すでに作品として映像が売買される時代ではあって、写真のような形で美術作品として流通する仕組はあるんですね。ただそれだけではなくて、作品によってはYouTubeなどの誰でも見えるものに載せて流通することもあります。ここまで社会にオンラインの流れがやってきて、既存のシステムがこれからどうなるか、ある種、インターネットが始まった時の色々な可能性を実験している時に近くて、今まさにコロナの中実験が行われてるのかな、と。ここで色々と出てくるのかなと思います。

高須さん:今回のTHEATRE for ALLというプラットフォームを作って、アーティストや劇団の演目を上映する中で、手ごたえや周りの反応や、これまでとの違いはありますか?

金森:日々色々なことがあるのですが、やはりアクセシビリティやバリアフリーを大切にしながらやっているので、お客さんの視聴環境や「もしかしたら目が見えないかもしれない」「見えにくいかもしれない」「日本語が母国語じゃないかもしれない」「親子で見ているかもしれない」とか、色々な状況があって、それぞれのお客さんに向き合った時に、どう届けるかを日々考えています。障害当事者の方々からは「こういう開かれた場が、なかなかなかった」とのご意見をいただいています。正解がある世界でもないので、自分たちとしては「もっと、こうっだったら分かるのに」や「ここが分かりにくい」「分かったとか、分からないではなくて、分からないこと分からないまま伝えるにはどうしたらいいのか」というディスカッションができる場ができたのが一つの大きな意義だったかな、と思っています。本当はそこで起きた議論を皆さんにも伝えたいのですが、うまく染み出せていないところがあって、これは今の私たちの課題です。
字幕や音声ガイドについては、見えているものをそのまま説明する手法もあれば、ある種の作家性を反映させて届ける手法もあり、お客さんによって求めるものが違う中で、様々なアプローチがあることをアーティストと一緒に議論ができつつあって、もっと踏み込んで行きたい、と我々としては今思っています。また作品の感想を言い合うイベントや哲学対話などを、5人や10人などの単位でオンラインで行なっています。

ーー今までやってきたこととの違いで言うと、新しいお客さんに出会えている実感はすごくあります。これまでは美術やパフォーミングアートの業界にいるので、その言語で伝えたり、尺度で測ったりしがちなのですけど、今は説明の仕方も変わるので「紐解いていかないと伝わらない」みたいなのもあって。ある種、それも「バリアを取り除く」ことだと思うのですが、作品だけでなく自分たちの仕事の新しい側面を見つける機会になったりしています。あとは、どこかのタイミングで、実際に制作者やアーティストの方がお客さんが出会える場を作りたいなと、思っています。

金島さん:私も実は聞きたいなと思っていて。これまでされていた演劇をオンラインにしたことでの可能性やメリット、ビジネス的なニーズについてなど、何かありますか。

金森:「ビジネス」って言われちゃうとタジタジなんですけれども(笑)。例えば、SDGsの機運もあり、机上の構想ではない「多様性社会」に向き合うことのリアリティを体感できるようなTFAの当事者を交えたようなワークショップは、様々な分野で求められています。また、映像だと、上演映像にせよ、やり方によってはそこに至るまでのプロセスを紐解いたり、そこで起きた対話を拾って紹介できるわけですよね。本番に至るまでの間の様々な気づきを共有できるのは映像の価値だなと。またリアルだとローカルの人にしか伝わらないけど、配信だと障害というバリアも地理的バリアもこえて伝わり得るということは実感としてあります。今の時期に地理的距離をこえた新しいお客さんに出会い、コロナ後の展覧会やツアーに繋げていけると建設的なのかも。

金島さん:作品やコンテンツがたくさんできた時に、ただ「できました」と載せておくだけだと、やっぱり見てくれなくて。美術でいうと、作ったものを「どうやって見てもらうか」の工夫が展覧会になるわけですが、コロナによって可能性が広がったことを、既存の仕組みにどう展開していくか。そして、それをどうやって色々な人に見てもらうかを考えるのが大事なのかなって。ーー今回SIDE COREさんと実際に展覧会場の作品上映会をしたのですが、やっぱりそこで体験としてワッと入ってくるというか、作品をしっかり届けられるわけですよね。ファッションや演劇も、何かそういったことが大事なのかな、と。

金森:これまで我々は作るのに必死でしたが、これからは「どう見せていくか」を考えていくフェーズにあるなと思います。

高須さん:まさに「作るのに必死」と表現されましたけど、THEATRE for ALLはプラットフォームというよりも、アーティストと一緒に作るタイプの珍しいホストという感じがしましたね。

金島さん:アーティストとして参加してる人たちは、他のアーティストの作品をあまり見れていない気がするのですよね。だから今後は、作り手同士が繋がるような工夫もあってもいいかもしれないですね。そこら辺は多分、それぞれのアーティストの特徴をよく知っているTHEATRE for ALLさんしか、できないことなのかなと。

金森:金島さんの携わっているプロジェクトでは、そういった交流の機会がありますか。

金島さん:展覧会だと、他のアーティストの作品が横にあるので、一通り見ることができますし、その中で刺激がある、という状況が生まれますよね。

金森:そうですね。確かに。動画配信サービスは、それをどう設計するのかというところですよね。うっかり過ぎ去ってしまいそうですけど、重要ですね!

金島さん:例えばですけど、SIDE COREさんに頼んで、山縣さんに会いに行くとか。そういったことを仕掛けてくれたらアーティストは楽しいと思うのですよね。あと発見もありますよね。「ファッションの人ってこうやって作ってるんだ」とか「演劇はこうなんだ」とか、知れるといいことがアーティスト同士で結構出てくると思うんですよね。

金森:楽しんでもらえると、こちらも嬉しいですね。アーティスト同士のクロストークは丁寧にやっていけるといいな、と思っていて。あと今はファシリテーターの育成講座をしています。アクセシビリティも踏まえて、多様な人たちとの対話の仕方をファシリテーションする視点や技術を身に着けるというもので、例えばその受講生や卒業生なども交えながら、情報交換の機会も作りたいですね。そういえば、SIDE COREさんのバリアフリー版の英語版と中国語版について、海外から色々な反応があったとお聞きしましたが、どのようなフィードバックでしたか?


高須さん:主に海外のグラフィティライターや東京の街を気にしている人から連絡がありました。「普段の渋谷じゃない渋谷が見れて面白かった」「グラフィティーすごい減ってるね」など、街を気にしている視点での反応がありましたね。

金森:そのフィードバックは一般の視聴者の方からですか?

高須さん:そうですね。普通、ビルの裏や、転がっているゴミとかみても面白くない人が多いと思うので、そこに面白みを感じて反応する人で、何かしらやってる人なんだと思います。私達も展覧会をやると、そこで力尽きるので、こういった反応を見れるのは良い機会だなと思っています。少なくても反応してくれた人がいて、海外からわざわざ連絡をくれるのは良かったです。

金島さん:今回制作したことで、将来的な展示機会を生んだり、街のアーカイブとしても機能するかもしれないですよね。そういう意味でいうと、この作品はいますぐの反応だけではないわけで、いい作品ができたなと素直に感じるところです。

金森:映像作品は、息が長く色々な方に見ていただく可能性があるし、時代を経れば、別の意味がどんどん折り重なってくるものですしね。

高須さん:今回、写真家の菊池良介さんに撮影の様子を記録してもらったんですね。私達の姿だけでなく「街がどうだったか」という今の記録を取ってほしいとお願いしていて。時間を超えて残っていく記録という意味でも、今回の機会を使わせていただきました。

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金森:さて最後になりますが、今回は、シリーズトークの第2回目なのですが、毎回みなさんに1つのテーマを伺っていまして。


「あなたにとってのバリアとはなんですか?」

高須さん:そうですね。言葉を選ばずに言えば「バリアがあって面白い」と思いますね。それをどう捉えるかで意味が全然変わってくるのを日々感じています。個人的には、自分が女性であることを日々意識させられていて「自分が選べないもの」としていつも認識するものですね。そしてこの話をどんなに身近な人にしても実際は伝わらないという。。。

金森:クリエイティビティや創作の上でバリアは何か関係がありますか。

高須さん:ありますね。例えば、作品の中の新しい宮下公園ですけど、ドカーンと高くなっちゃって、物理的にバリアっぽく感じるし。でもそれは、そこにあるものとして、壁として「どんな視点で見るか」「その上で何ができるか」をいつも考えているので、バリアありきで制作を考えているのだと思います。

金森:クリエイティビティを刺激されるバリアみたいなものと、圧倒的に暴力的なものというか、そういったものもありますよね。前回のアーティストトークで、私がこの質問にうまく答えられなかったのですけど、今お話を聞きながら、バリアという言葉で表現するときに、この2つのものは質の違うものだったりもするのかな、と思ったりしました。ある人には一つのクリエーションのきっかけにもなり得るかも知れないけれど、ある人たちにとっては、もっと切実な暴力的なものとして立ちはだかっているという。ひと括りにはできないなと。金島さんはいかがでしょうか?

金島さん:一人ひとり、みんな違うから、その時点でやっぱりバリアがあるというか。さっき高須さんが言ったように「女性」というのも、僕は女性にはなれないじゃないですか。理解しようとはできますけど。だから「意識で作られちゃうもの」という感じがします。

高須さん:小学生のときの遊びの中で「バリア!」って、自分を守るためにやりましたよね。今、自分を守るバリアもあったなと思い出しました。今は社会的な正しさが見張られていて、ほんとにバリアだらけだと思うし、正直なところ、早く制度でちょっとでも生きやすくしろよ、日々思っています。

金島さん:今のマジョリティに都合がよく社会が設計されてるわけですよね。だから、そうでない人にはバリアになっちゃうわけですね。こうモヤモヤして答えにくいんですけど・・・

金森:当事者にはなれないから、理解することはできないけど、そこを想像することは非常に大事だというのはあって。そして、その想像には限界があるのも分かっているのだけれども、何かできることを少しずつ積み重ねていきたいなと思い、活動をしています。

今日はこの機会にお二人のお話を伺えてありがたかったです。お二人お忙しい中、ご参加いただきまして、本当にありがとうございました。
文:藤 奈津子


MIDNIGHT WALK tour / TOKYO 2020
本編視聴はこちらから


THEATRE for ALLアーティストトーク「表現とバリアフリー」VOL.2 
SIDE CORE『MIDNIGHT WALK tour / TOKYO 2020』 −美術×オンラインの可能性 −
日時:7月7日(水) 20:00〜21:00
ゲスト:SIDE COORE(高須咲恵さん・松下徹さん)[アーティスト・キュレーター]/金島隆弘さん[アートディレクター]
ファシリテーター:金森香[THEATRE for ALL統括ディレクター]
配信方法:Facebook LIVE


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