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5月の憂鬱を紛らわす映画3選

早いものでGWも終わってしまいました。
連休の終わりは、とても憂鬱なものです。特に5月は、年度や環境の変化の反動なのか、気温の変化のためなのか、5月病を代表として、メンタルに不調をきたす方が多いかもしれません。
そんな方々のために、少しでも憂鬱を紛らわせるような映画を3つ紹介できればと思います。


底抜けな情熱で現代の閉そく感をふっとばす

『きっと、うまくいく』(2009年)

まず一本目は、言わずと知れた超有名インド映画です。インド映画と言うと、最近では『バーフバリ』(2017年)や『RRR』(2022年)が有名ですが、本作品はアクション映画ではありません。

監督・脚本・出演

監督:ラージクマール・ヒラニ
脚本:ラージクマール・ヒラニ、アビジット・ジョシ
出演:アーミル・カーン、R・マーダヴァン、シャルマン・ジョシ、カリーナ・カプール、ボーマン・イラニほか
きっと、うまくいく - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

概要

本作品は、大学時代の親友であるファルハーンとラージュが再会するところから始まります。彼らは学生時代に、10年後どちらが成功しているかで賭けをしており、その賭けの結果を明らかにする日だったのです。しかし、そこにもう一人の親友ランチョーの姿はないのでした。そこで二人はランチョーを探すことにしました。本作品は、ランチョーを探す現代パートと、彼らの学生時代パートの二つの時間軸で物語が進みます。
本作の主人公であるランチョーは、国内屈指の大学に通い、優秀な成績を収めるものの、世間の常識に対し反発し続ける人物です。「きっと、うまくいく」を口癖に、いわゆる社会での成功を重視し、”点数”を重視した教育に疑問を投げかけ続け、次第に周りの人にも影響を与えていきます。

本作品の魅力

個人的にこの作品の最大の魅力と考えるのは、超ご都合主義的な物語に説得力をもたらしてしまう主人公、それを演じるアーミル・カーンの演技です。主人公ランチョーは、何をやらせてもうまくいき、それでいて”嫌味なエリートたち”に一杯食わせるという、まさに映画の主人公のような人物です。正直、ありきたりな勧善懲悪の物語ではありますが、ランチョーが全力で周囲に発信する熱いメッセージを、説得力あるものに昇華させるアーミル・カーンの熱演が、この物語をとても魅力的なものにしています。
物語の後半、雨の中での学長との場面は、まさに俳優同士の熱い演技で素晴らしい場面に仕上がっています。
あなたもこの映画を観た後、「きっと、うまくいく」と今の憂鬱な気持ちを打開できるはずです。

平凡な毎日を愛する

『PERFECT DAYS』(2023年)

ヴィム・ヴェンダース監督と役所広司がタッグを組んだ本作品は、第76回カンヌ国際映画祭で、役所広司が日本人としては2人目となる男優賞を受賞しました。ヴィム・ヴェンダース監督は役所広司について「私の笠智衆」と称しています。

監督・脚本・出演

監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ヴィム・ヴェンダース、高崎卓馬
出演:役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆりほか
PERFECT DAYS - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

概要

本作は、東京のトイレ清掃員である平山の日常を描いた物語です。淡々と几帳面に生きる平山のもとにある日、平山の妹の娘がやってきます。しかし平山の生活は、大きく崩れることはなく、タカシなど他の人々とゆるやかにつながりつつ日々を送っていきます。しかし内面では昔の出来事を思い出しているのでした。

本作品の魅力

本作品の魅力は、やはり主人公 平山にあります。特におしゃべりではないし、表情が豊かなわけでもない。単調な毎日を送っているけれども、どこか充実感が伝わってくる毎日を送っている。『きっと、うまくいく』のアーミル・カーンの”動”に対して、本作では役所広司の”静”の演技が、平山をより魅力的なキャラクターにしています。
同じような日々を一人で送りつつも、周囲の人物を拒絶することなく交わり続け、小さな楽しみを見つける平山。
日々の業務に忙殺され、単調な日々を送っているように感じられる方は、ぜひ平山の姿勢を参考にしてみてもいいかもしれません。

ただひたすらに夢へとひた走る

『幸せのちから』(2006年)

最後は、実在のビジネスパーソンであるクリス・ガードナーをウィル・スミスが演じた『幸せのちから』です。ちなみに本作品では、主人公の息子役をジェイデン・スミスが演じており、親子役を実の親子で演じている作品でもあります。

監督・脚本・出演

監督:ガブリエレ・ムッチーノ
脚本:スティーヴ・コンラッド
出演:ウィル・スミス、ジェイデン・スミス、タンディ・ニュートン、ブライアン・ホウ、ジェームズ・カレンほか
幸せのちから - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

概要

物語は、医療機器の営業をしているクリスが、フェラーリに乗る人物に職業とその職への就き方を聞くことで動き出します。その職業は株の仲買人で、学歴は必要ないのこと。運よくクリスは証券会社の養成コースを見つけたものの、修了にはとても厳しい条件がありました。
それでもチャレンジするものの、妻はクリスを見限り出て行ってしまいます。なんとか息子は自分のもとにおくことができたものの、家は退去させられるなど、極貧の生活を送ることとなります。それでも、ただひたむきに成功を夢見て突き進むクリスを描いた作品です。

本作品の魅力

これまで紹介した2作品と同じく主人公を演じるウィル・スミスの演技が素晴らしいです。ネタバレになるため、あまり言及しませんが、最後のウィル・スミスの静かな爆発は、個人的にウィル・スミスのキャリアで一番の演技だと思っています。
実在の人物の半生を描いているため、話の結末はわかっています。そのため序盤の苦しみもいつかは……と思いながら観てしまう側面もあると思います。それでもひたむきに成功へと走り続ける姿や、最後に待ち受ける結末での表情、これを表現しているウィル・スミスの演技には、脱帽です。ちなみに本作のウィル・スミスの演技は、”動”と”静”の演技の使い分けが絶妙です。
新年度、夢に向けて新たなスタートをきったものの、理想とほど遠い現在にもやもやを感じている方もいるかもしれません。そんな方は、ぜひウィル・スミスの演技から熱い思いを再びたぎらせてほしいです。

最後に

以上3本の作品を上げましたが、どれも魅力は主人公を演じる俳優の演技力でした。やはり素晴らしいプロットや美しい映像も感動を与えてくれますが、悲しみ、絶望、孤独etc. そんな負の感情をとっぱらうのは、俳優の素晴らしい演技だと思います。俳優たちの演技を通して、主人公たちの生きざまが、私たち視聴者に染み渡るのではないでしょうか。
皆さまも、ぜひ元気を与えてくれる俳優の演技を見つけてみてください。

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