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④〜小説『四国一周ひとり旅』〜後編

後編1  美しいしまなみ〜地獄へのカウントダウン

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徳島県に上陸し、香川県から高知県を周り、愛媛県の今治まで来ていた

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今日は朝出発し『しまなみ街道』を渡って本州の広島県に上陸、静岡県の沼津までが目標である

この日も朝から夏の空で、晴れた素晴らしい景色の眺めが続く

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『しまなみ海道』は瀬戸内海に浮かぶいくつもの島々を点々と結んでいく橋で、絶景の景色だけではなく、そのスケールにも圧倒された

おそらく5つ以上はあろうか、巨大な橋が次々と島をつなぎ、高速を走りながら島を渡っていくロケーションはなかなか他では味わえない眺めと壮快さである

周りには橋が架かっていない小さい島がいくつもあるが、海沿いの白い砂浜にはやはり海水浴客はおらず、こんな綺麗な場所なのに誰も泳がないなんてと、やっぱり不思議でならなかった

途中の島で瀬戸田パーキングエリアに入り、ここで尾道ラーメンを食べた

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今日はかなりの距離を走る事になる

目標は広島に渡り、静岡県の沼津まで

知り合いが多い沼津で泊まり、旅の思い出ばなしでもしながら呑みたいなと思っているが、果たして辿り着けるだろうか……

初めて食べた尾道ラーメンは美味しかったし、瀬戸田パーキングエリアは眺めもよかったのだが、早々に先を目指す事にした

ついに広島に上陸し、山陽自動車道に入る

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ここからは大阪までひた走りになるが、この山陽自動車道が長かった

車線も多いので車が多くてもスムーズに流れているのだが、見える景色は似たような風景が多く、走っていても飽きてしまう

同じような景色が続く中、広島県→岡山県→兵庫県→大阪までがとにかく長いのだ

渋滞もないまま走り続けているのに「まだ岡山!?」というような感覚で、走った感覚と実際には大して進んでいない現実に打ちのめされた

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実は静岡県も端から端まで結構長いのだが、大きくそれを上回る長さで、イッキに渡ろうとするからこそか、「まだ抜けないのか…」とより長く感じた

また、途中給油に寄ったサービスエリアで、銀行のATMが設置されてなく、口座には入っているのに引き出せない、所持金も少ないという思わぬトラブルに遭った

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オレは現金主義でクレジットカードを一切持っていないので、給油のためだけに一度高速を降りてATMを探すか、そのまま進んでも次のサービスエリアまでガソリンが足りて、次のサービスエリアにはATMがあるのかを調べるのに困った

インフォメーションで次のサービスエリアまでの距離を聞き、結果無事に次のサービスエリアまで辿り着いてなんとかなったのだが、自分のハーレーが正確な表示では計測されない、しかもマイルメーターという事もあり「こんなトラブルもあるのか…やはりどうせ入れるのなら給油は早めにするべきだな…」と、知らない土地を走る上でいい勉強になった

長かった山陽自動車道を抜けて、やっと大阪に入った

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時刻は昼を大きくまわり、このペースではとても静岡県の沼津までは辿り着けないと、早くも焦りが出てきた

今日も真夏の暑さで、いよいよ日中の最も暑い時間帯へ突入しはじめていた

今朝今治を出発する際に、昨日買った強力な日焼け止めを顔にベッタリ塗っているおかげで、パンダにならずに済んではいるが、昨日までの四国の自然に囲まれた中で感じる暑さと、あきらかに質が違う暑さに感じるのはアスファルトとコンクリートが多いからだ

日焼け止めを塗っておいてよかったな……

ボンヤリとそんな事を考えている最中、車が増えた大阪の市街地を走っている中で、そのトラブルは突然やってきた

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普段昼間は消しているヘッドライトを、車が増えだしたので抜けながら進もうと、車のドライバーが気がつきやすいようにライトを点けた

すると突然、右手で握るアクセルに『グルルッ!』と嫌な感触が伝わり、アクセルを上げてもスピードが出ない現象が起きた

「!?」

慌ててヘッドライトを切って戻すと『パンッ』とマフラーから短く火が吹き、アクセルも元に戻った

「なんだろう…どうした……?」

得体の知れない嫌な感触に困惑するが、走っている現状ではどうする事もできない

とりあえずヘッドライトを使わなければ走れるようだ

うやむやにする事での不安はあったが、ヘッドライトは使わないまま、ダマシダマシ先を目指す

大阪を越えて、草津サービスエリアまで来た

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ヘッドライトを使わないようにしてから問題なく走ってはいるが、根本的な問題を解決できたわけではないので不安は消えない

さすがに腹も減って何か食べたいと思ったが、バイクがこのコンディションだし、少しでも明るいうちに先を目指そうと何も食べずに給油だけを済ませ、早々に出発する

しかし、そこからトンネルも多くなり、ヘッドライトを使うか迷った

昼間の時間帯なので無灯でも見えるのだが、距離の長いトンネルが多く、自分の視界はともかく後続のドライバーに自分の存在を知らせる事も重要である

「大阪でのトラブルは、たまたま起きてしまった接触不良か何かかも知れない……」

根拠も何もないが、そう期待を込めて再びヘッドライトを入れてみた

『グルルルッ』

やはり右手に不快な感触がきて、慌ててヘッドライトを切って元に戻す

やっぱりおかしい……

再び走れる状態には戻ったが、死刑宣告を受けたようなもので、何かが起きている事もハッキリした

これで決まりである

オレも、腹をくくらなければならない

何が原因だろうか……走りながら頭をフル回転で推理した


後編2 原因不明の電気系トラブル

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バイク旅の記録小説。完結済みマガジンです。

73年ショベルでの初めてのひとり旅の記録小説。道中ホントにいろいろあって、読み応えあります(^ ^;) 漫画の元ネタにするにふさわしいトラ…

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