情報の差が対立を生む
会社で働いていると対立する場面を目にする。
顧客やコンサルとのリモート会議が終わった途端に「あいつら何もわかっていない」と言ったり、「ぜんぜん状況を教えてくれない」と怒る。「それはあっちの考えることでしょ」とか「チームAの問題ですよね、私は知らないですよ」など、溝が生まれてあっち側とこっち側ができる。
一つの要因は持っている情報の差ではないかと思った。
特に嫌だなと思ったのは、情報をせき止めたり、一部の情報だけ流して相手をコントロールしようとすることだ。
情報は、相手を管理するためではなく、自分を管理するために使った方が良い。
現場とリモートでの対立
働いている場所が違うだけで、情報に差が生まれて対立につながる。
たとえば建物を作るときに、現地で組み立てたり計測したりする人たちと、リモートから状況整理や進捗管理をする人たちに分かれるとする。
現場で働いている人たちは、なんとなく感じる。
「これは予定通りに終わらないな」
ただ、それがリモート側にはわからない。言葉で伝わらない情報があるからだ。
同僚の一人が少し体調不良だったり、新人のパフォーマンスが悪かったり、そもそも計画が無理だったり、「なんとなくうまく行っていない」状況は言葉で正確に伝えにくい。
そうなると、リモートの人たちは計画通りに進んでいないという事実だけしかわからず、なぜ現場がうまく行っていないのかわからなくなる。そして、現場のリーダーが悪い、作業員が悪い、などと決めつけてしまう。
逆もあって、現場はリモートの大変さを知らない。空調の効いた部屋で進捗管理や顧客への説明などしかやっていないと思う。それを簡単で取るに足らない仕事だと考える。
上司と部下の対立
役職に差があると、入手する情報にも差が出る。
たとえば上司Aは会社の技術力不足が問題になっていることを知っている。社長や役員、人事部長から聞いたのだ。
そんな上司Aが管理しているチームは、「業務を効率化して、日々勉強しましょう」という上司Aの言葉にげんなりしている。
「効率化って、そのための方針も予算もなくて、全部こっち任せ。課内の平均残業時間は30時間を超えていて、勉強する時間もない。なにを言っているんだろう」
チームメンバーには「社内の方針がどうなっているか」という情報よりも、課内の状況や自分のキャリア、私生活で得る情報のほうが多い。
だから上司が言っていることを理解しつつも、自分たちの状況をわかってくれていないと嘆く。
情報の差をなくす努力と、差を認める努力
情報の差が対立につながるのであれば、差をなくすか、差を認めるかが必要だと思う。
差をなくすために発信し、受信する。
受け入れる必要はないし、受け入れてもらう必要もない。とにかく、今の事実を全部並べてみんなが見えるようにする。
それでも見せられないものがある。
だから、そういう隠れた情報があることを認める。
そうしたら、チーム一丸となって課題に向かっていけるんじゃないかなと思う。
情報を「自分を管理する」ために使えるように。
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