プレイリスト

ねえ長くなっちゃうかもしれないけど、昔話をしても良い？
「短い昔話なんて聞いたことがないわ」

あのね、私、ちゃんと傷つくことから逃げていたの。
言葉にするのが怖かったの。
言語化したら自分の本当の気持ちに気が付いてしまいそうで。
私は桜ほど
潔くは
散れない。
こうやって全て忘れていくのかな
「次はきっと花が咲くよ」
でもね、良かった。
私ちゃんと、正しく傷つくことができて。

おお、久しぶりじゃん。
ごめん、名前なんだっけ？
「最高のSUMMER♪(´ε｀ )」
君は本当に変わらないなあ。
あのときはありがとうね。

金木犀の香りってなんだよ
なんだよそれ
金木犀の香りなんて
わかってたまるもんか
感傷的になりすぎなんだよ、大体さ
ああ
「金木犀、金木犀」
ってうるさい。
君まで同じことをいうの？

あれはそうだなあ、今くらい寒い冬だったと思う。
18歳にして初めて知ったんだ。
努力ってね、嘘をつく。
びっくりするくらいにあっさりと。
負けたときに言われる
「良い試合だったよ」
って言葉大っ嫌いだったな
でも大人になると案外、それ以外にかける言葉がないもんだね。

君たちはいつだってそう。
私の一番近いところにいて一番遠い。
まるで私のこと全て見透かして
私のことを言ってるみたいなのに
みんなに同じことを言っている。

下から上へ、上から下へ
プレイリストは私の人生史だな
古代はイタくて近現代は少しキザ
でもあなたと違って私の歴史は
スキップも
早送りも
巻き戻しも
シャッフル機能も
付いてないけど

編集部から解説

詩的な文章が印象的な作品ですね。

セリフは全てプレイリストが私に語りかけている構成となっており、季節ごとにプレイリストを作っていた私が自身の人生史を過去のプレイリストともに想い返していく。

過去のプレイリストの名前やプレイリスト内の曲が、自身の変えられない過去を想起させる。

プレイリストもインストールすることができるキーホルダーはこちらからご購入可能です！
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