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リンクトイン日本代表・村上臣が語る、良いモデレーターになるために今日から意識するべきポイントとは

モデレーター&ファシリテーターの技術を学べる講座「THE MODERATORS & FACILITATORS」の公開イベント企画がオンラインで開催されました。

今回は、リンクトイン(LinkedIn)で日本代表を務める村上臣さんをゲストにお招きし、オンラインイベントでモデレーターが意識するべきポイントを伺いました。

村上臣さん
青山学院大学理工学部物理学科卒業。大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。2000年8月、株式会社ピー・アイ・エムとヤフー株式会社の合併に伴いヤフー株式会社入社。2011年に一度退職した後、再び2012年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。2017年11月に7億2,200万人が利用するビジネス特化型ネットワークのリンクトイン(LinkedIn)日本代表に就任。複数のスタートアップの戦略・技術顧問も務める。

初対面のスピーカーから話を引き出すコツ

河原あずさ(以下、河原):今回は、MODERATORS & FACILITATORSのスピンアウト企画、第3回目の勉強会です。西村創一朗さんと一緒に、実際にモデレーターとして活躍している方にお話を伺いたいと思います。

本日のゲストは村上臣さんです。まずは簡単に自己紹介をお願いします。

村上臣(以下、村上):村上です、よろしくお願いします。リンクトイン(LinkedIn)というビジネス特化型SNSの日本代表をしたり、その他にもエンジェル投資やスタートアップの顧問などもしています。

最近はオンラインイベントが多数開催されているので、去年ぐらいからモデレーターとして呼ばれる機会が増えました。自社でも『LinkedIn News編集部LIVE!』というイベントを開催しており、初対面のゲストとの会話も数多く経験したので、その辺りのことも話せると思います。

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河原:ありがとうございます。オンラインイベントだと、初対面の人と話をする機会も増えましたよね。さっそくですが、初対面のゲストから身のある話を引き出すコツを知りたいです。

村上:2つあると考えています。まず1つ目は、徹底的な下調べです。事前にネットで記事を見たり、LinkedInのプロフィールを見たりして、会話の引き出しとなるキーワードを見つけています。リアルイベントだと控室で話せるのですが、オンラインイベントだとそれが難しいので、下調べは必須です。

2つ目に重要なのは、目の前の相手を好きになることです。いくら下調べをしても、興味を持たないと会話は盛り上がりません。「あなたのことに興味があります。もっと話を聞かせてください!」というスタンスでやれば、相手に好意が伝わって、どんどん自己開示をしてくれます。

河原:相手がどういう人なのか妄想するのが大事ですよね。そのなかで「ここは共感できる」「この部分なら好きになれる」ポイントを見つけると、その後の進行が楽になります。

会話の主導権を握るには、相手の呼吸を読むべき

河原:『LinkedIn News編集部LIVE!』の尺は45分ぐらいですよね。どれくらい場を温めてから、本題に入っていますか?

村上:事前に質問を5つ用意しているのですが、核心に迫るのは3番目以降の質問です。

最初の質問は「過去に○○をしていましたよね、私は△△と思いますけど、実際はどうだったんですか?」とか、事前に下調べをした誠意が伝わる質問をしています。

2番目の質問では、3番目の核心に繋がる話題を振っています。正直、ここは盛り上がらないことが多いのですが、あくまで“つなぎ”なので問題ないです。ここまでの話で場が温まったら、核心に迫る3,4番目の質問を振るようにしています。

1,2番目の質問は最初の10分ほどで、3,4番目の質問は15〜20分が目安です。5番目の質問は今後の抱負に関してで、5分ほどで締めくくっています。時間が余る場合は、視聴者からの質問も振るようにしています。

河原:結構ロジカルに組み立てているんですね。想定外に話が膨らんで、話題がズレてしまう場面もあると思います。その際に何か意識していることはありますか?

村上:あまりにも本筋からズレた場合は「それ面白いですね、ちなみに○○についてはどう思いますか?」と言って、軌道修正をしますね。この時に、最初から否定すると相手の機嫌を損ねてしまうので、一旦受け止めるのがポイントです。

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スピーカーのなかには、自分が話したいことを永遠と話し続ける人もいます。とくにClubhouseのように相手の顔が見えない場合は、いきなり会話を遮るのも難しいですよね。その際には「あー、そうですよね」とかフィラーを入れて、自分の声を相手に少しずつ被せていくと、軌道修正の話題も振りやすくなります。

河原:たしかに、自分も声を強めて主導権を取り戻すことはあります。

村上:パネルディスカッションの時は楽なんですよ。誰かいじりやすそうな人を見つけて「○○さん、ちゃんと聞いてます?」とか言うと、話の長い人も一度止まるので、自分に主導権が戻ります。

この辺りは『アメトーーク!』が勉強になりますね。目立ちたい雛壇芸人を上手く抑えて司会を進行している点では、本当に学びが多いです。

河原:なるほど、たしかにそうですね。西村さんは何かテクニックなどありますか?

西村創一朗(以下、西村):僕も基本的には臣さんと同じです。「なるほど」「そうなんですね」とか、頻繁に相槌を入れると「ちなみに」とか話題を変える言葉も挟みやすいですよね。そういったカットインは意識的にやっています。ただ、スピーカーをいじったことはないですね(笑)

村上:お客さんをいじるのもありですよ。「みなさん、めっちゃメモとってますね!」とか言うと、一度話が止まります。長々と話す人も息を吸うので、その瞬間が主導権を奪うチャンスです。モデレーターは相手の呼吸を意識するのも重要だと思います。

サマリーで視聴者の満足度は爆上がりする

河原:視聴者が知りたい話を聞き出すコツはありますか?

村上:会話がイベントのタイトルとズレていないか、気をつけています。あくまで視聴者はタイトルに関する内容を聞きたくて参加しているので、そこから大きくズレないようにしています。

あと、途中で中締めをしてサマリーを伝えるようにしています。イベントは長いので、ダラダラと話を続けると内容がわからなくなるんですよね。なのでサマリーはすごく好評で、これをやるとイベントの満足度が爆上がりします。

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西村:そうなんですね!とはいえ、目の前のことで精一杯なモデレーターがサマリーをするのも難しいと思うのですが、何かコツはありますか?

村上:印象に残ったことを伝えるだけでOKです。スピーカー本人も、自分が話した内容をあまり覚えていないものです。事前に資料を貰えることもあるので、あらかじめサマリーを作るのも良いと思います。

河原:イベントは視聴者の行動を促すのが重要だと思いますが、イベントの内容や質問などで何か工夫できることはありますか?

村上:多くのイベントは、成功者の話を聞いて賢くなった気分になって終わりだと思います。偉い人の話を聞くと「自分には関係ない」と思ってしまうんですよね。ただ、それだと意味がないので「今日からできること」を伝えるようにしています。

その時のポイントは、極端にハードルを下げることです。もちろんスピーカーの方にも「今日からできることはなんですか?」と聞くようにしています。行動に移すのが難しい回答が来た場合は「いやー難しいな。じゃあとりあえず○○しておけば良いですか?」と、自分からアクションプランを伝えるようにしています。

Clubhouseこそ、モデレーターが重要になる

河原:Clubhouseの登場で、音声だけでモデレーションをする機会が増えたと思います。実際にやってみてどうですか?

村上:誰が話し始めるかわからないので、間のとり方が難しいですよね。とくに慣れてない人はダラダラと話してしまうので、長くても1分ぐらいの尺でボールを回したほうが良さそうです。

そう考えると、やはりモデレーターが主導権を握るのが重要だと思います。先程も伝えたように、話の長い人がいたら、徐々にフィラーを入れて声を被せるのが有効ですね。

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河原:逆に自分がスピーカーになった場合、どういったポイントを押さえたら「この人の話を聞きたい」と思われますか?

村上:ほとんどの人が自己紹介が長すぎですよね。簡単に自己紹介をして「詳しくはプロフィールを見てください。ついでにフォローしていただけると嬉しいです」と言えば十分です。

あと「えっとー」とかフィラーが多いのは勿体ないですね。これは慣れだと思いますが、冒頭にまとめたセンテンスで話すのがおすすめです。

河原:一般の人にも登壇機会が与えられるのは本当にすごい時代ですよね。そう考えると、モデレーターの役割はこれからどんどん増えそうですね。

良いモデレーターになるために今日から意識するべきこと

河原:良いモデレーターになるために、今日から意識するべきことはありますか?

村上:会話の流れを作るには、相手の話をよく聞くことが重要です。ただ聞くだけではなくて「なぜ、そういう発言をしているのか?」と、背景まで想像しながら聞いてみてください。目の前の相手を好きになったり、下調べをしたりするのもその1つです。相手の話に対して敏感になると、気づきが増えると思います。

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河原:ありがとうございます。西村さんは何かありますか?

西村:モデレーションが上手い人はリフレーズが得意ですよね。頭が良いスピーカーほど抽象度の高い話をするので、それをわかりやすく噛み砕くスキルが重要だと思います。相手が話したことに対して「これって○○ってことですよね?」と聞き返す癖をつけてみてください。

河原:たしかに、例えが上手い人材は重宝されますよね。

僕は、自分を客観的に観察することが重要だと思います。会話がテーマとズレていないか、ズレていたらどういう質問をするべきか、客観的な目線を持つべきです。アーカイブを振り返って分析すれば、次の改善にも繋げられます。ぜひ試してみてください。

これからモデレーターを目指す方に向けて、最後にメッセージをお願いします。

村上:モデレーションスキルは汎用性が高く、日常生活でもビジネスでも絶対に活きるものです。メインの人たちを輝かせるのがモデレーターの役割なので、そこを意識して取り組んでみてください。

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