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簡単な言葉を使う理由

僕の好きなカフェ・ラテは酸味が少なくて、コクが深いものです。

今日はこの記事の振り返り。

なんて分かりやすい説明なんだ。

(自分で言うな)

酸味が少なくてコクが深い。

当店が使用しているお豆の説明をする時に使う言葉です。

コーヒー専門店では逆に聞けないんじゃないかと思います。

こんな簡単な言葉は。

当店に来るお客さんと話していて気づいた事があります。

それは、「コーヒーは好きだけどギークではない」

コーヒーの薀蓄を聞きたい訳ではない。

コーヒーについて熱く語りたい訳ではない。

でも、美味しいコーヒーが飲みたい。

そんなお客様が多い。

まさに僕が来てほしいお客様です。


これは僕が独立する前に思っていた事なんですが、

コーヒーが高尚な物になっている気がしていました。

感度の高い雑誌で特集されたり、

ファッションの括りで紹介されていたり、

意識の高い物に変わっていってると感じていました。

スタバが高くしたものを、もう一段高く。

そんな感じ。

それに少し違和感を感じていまして、

僕はそっちの世界には行けないと思っていたのを今でも覚えています。

その世界を否定する訳ではありません。

ただ、やりたい事が違う。

そう思っていました。


コーヒーについて啓蒙したいとか、

もっと一杯一杯味わってほしいとか、

地位を高めたいとか、

そんな気持ちは一切ありません。

トレーサビリティとか、サステナブルとか、エシカルとか。

これらは必要な考え方です。

でも、それは自分の中で留めておけばいい。

そう思っています。


前に書きましたが、

「自分が好きな物を提供して、喜んでくれる人がいる」

これが今でも嬉しいんです。

この「人」ってのは、

コーヒーギーク、マニア、インフルエンサー、同業者、業界人…

そんな特定の人ではなく、誰しもにです。

ちょっとした自分へのご褒美に、

少しでも今日を良い日にする為に、

何かのきっかけにする為に、

こんな誰にでもある日常に寄り添う事が出来ればと思っています。

だから当店は難しい言葉を使う事はありません。

産地も農園も焙煎具合も聞かれなければ答えません。

ただ、酸味が少なくて、コクが深いカフェ・ラテ。

これを味わってもらえればと日々思っています。


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