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店主の考え

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2022年9月の記事一覧

ぼちぼちの話

昨日、久しぶりに来てくれたお客さん。 「久しぶりですね、お元気でしたか?」 「うーん、ぼちぼちよりちょい下ですね」 「ちょい下かー」 「ぼちぼちって悪くないですよね」 「分かります」 こんな会話。 ぼちぼちが悪くないという感覚。 共感します。 上がり下がりがある状態よりも、常にぼちぼちを目指したいとすら思ってます。 起伏に弱いのです。 疲れてしまうのです。 これは一人が好きな理由と結びついていて。 友達は多いほうがいい、大勢といたほうが楽しい。 と

慌てない理由

昨日、エスプレッソマシンが壊れました。 スチームが止まらず、店内はちょっとしたサウナ状態に。 ちょうど壊れた時に常連さんがいて、僕の慌てなさに常連さんが慌てるという不思議な瞬間が訪れました。 「修理呼ばなきゃ」 スチームが止まらないエスプレッソマシンを見て慌てるお客さん。 「えっ、えっ、何でそんなに冷静なの?急に壊れたんでしょ?」 「そうですよ、たった今壊れました」 「こっちが慌てるわ」 こんな会話が。 冷静な人が好きなので、憧れていたらいつしか身についてま

「甘いですかね?」「飲めますかね?」

「甘いですかね?」 多分前にも書いたけど、どう書いたか覚えてないからまた書こう。 よく質問されるんです。 「甘いですかね?」「飲めますかね?」 知らんがな。 もちろんそんな事は言いませんが、知らんがなとは思っています。 甘い、苦い、飲める、飲めない。 これはあなたの味覚と経験によるのです。 うちが提供してる無糖のカフェラテを飲んで甘いと言う人がいます。 僕も甘いと思ってます。 牛乳の甘さ、エスプレッソの甘さがそうさせます。 無糖なのに甘い。 でも、これ

暇が退屈を生み、退屈が活力を奪う

「なんか元気がでない時はどうしてる?」 昨日のお客さんとの会話。 仕事が上手くいってない訳ではない。 プライベートで何かあった訳ではない。 決して不幸だとも思わない。 なのに、元気がでない。 どうしてる? そんな話。 僕もそんな日がある。 というか、きっと誰にでもある。 そんな時に何をするか。 「人に会いますね。一人が好きで、好きな事をやっていて、それでも元気が出ない時は普段とは違う事をやります」 そう、人に会う。 これが変化を生んでくれます。 刺

「やってられっか」と「やっててよかった」

お店が急に閉店する事がある。 たまたま流れてきたニュースで知ったけど、人気の焼鳥屋さんが閉店した。 近所のお店も閉店するし、人気ラーメン店のニュースにもドキッとした。 つくづく思う。 人がやっているという事を。 店主の気分、体調、考え方で終わらせる事が出来てしまう。 潔さと怖さ。 売上が悪いってのは、閉店理由の一つでしか無い。 いつまでもあると思うな飲食店。 そんな事をよく書きますが、これを回避する方法はいくらでもあって。 店を売るとか、人を雇うとか。

相手に委ねる

昨日、体調が悪いと書いたら、沢山の体調が良くなりそうな物を頂き、それらを全てお腹に入れたら復活しました。 大変ありがとうございます。 胃がぽちゃぽちゃになりました。 お陰様で体は復活したのですが、天気は回復せず。 今日も暇な一日を過ごすことになりそうです。 誰が来るだろうか。 お店をやってる人は分かると思うんですが、会いたい人っているんです。 こんな時に会いに来てくれたらなって人。 この仕事はエネルギーを吸い取られる事がほとんどです。 平日は常連さんが多いか

居心地と売上のバランス

SNSでとあるカフェが閉店する事を嘆いてる人がいた。 「作業スペースとして使えたのに」と。 別のお店が閉店するニュースがSNSに上がっていた。 コメントで「穴場カフェとして有用だったのに」と。 カフェの難しさですね。 ようするにバランス。 お客さんの居心地と売上。 どちらも蔑ろに出来ないけど、両立させるのは至難の業。 僕はこれが出来ないと思ってるので、テイクアウトのみにしています。 これから新しくお店を作るとしても、テイクアウトのみにします。 それぐらい難

点心の注文はいいんですか?

この間、中華料理を食べに行きまして。 以前も行っていて、何を食べても美味しく、えらく感動したのです。 冷菜から順番に注文し、点心だけ飛ばしました。 ええ、食べたかったですよ。 餃子か小籠包を。 でも、このお店はボリュームがなかなかありまして。 そんなお店で、よだれ鶏、エビマヨ、麻坊豆腐、酢豚、炒飯を頼んだのです。 好きなものを順番に頼んでいったらこんな注文になってしまい、男子高校生みたいだと後で笑いました。 野菜がない。 っで、これだけ頼んだ後に店員さんに言

触れる順番で深さが変わる

「伊坂幸太郎なら何が一番好きですか?」 昨日、お客さんに聞かれました。 noteを読んでくれてるみたいで、いやはや、ありがとうございます。 この質問には、すぐに答えられませんでした。 きっと、聞かれた時期やタイミングでも変わる気がします。 それぐらい難しい。 ただ、その時に答えたのは『ゴールデンスランバー』でした。 ちなみにこのお客さんは『砂漠』。 分かる。 一索からの中。 大学生の時に読んでおいてよかった作品の一つです。 話をゴールデンスランバーに戻そ

井の中の蛙

量の問題であり、評価の問題。 これはなにも本とか映画に限った話ではない。 昨日の続き。 触れてきた回数や時間が、その人の基準を作ると思ってます。 だから量や時間というのは馬鹿に出来なくて。 一朝一夕ではなかなか基準が定まる事は無い。 でも、沢山触れていればいいって訳でもなく。 比べてしまう事の悲しさは否定できない。 あの頃の、、、 そんな思いが込み上げる事もしばしば。 この話はまたいつか書こう。 今日は本や映画の話ではないのだ。 飲食でも同じなんです。

量の問題、絶対評価と相対評価

「この作品は面白いですか?」 僕は本と映画に関しては平均的な人よりも多く触れています。 (自慢じゃなくて、事実) (平均が低すぎるだけ) (友達がいないだけ) (ほっとけ) そんなのだから、たまに聞かれます。 「これって面白いですか?」 SNSでありますよね。 作品を紹介するアカウントが。 良くも悪くもだと思ってます。 僕は見ないようにしていますが。 先入観を持ってしまうのが嫌なので。 面白いって紹介されるとハードルが上がり、面白くないって紹介される

取り残されてみる

今日はこの記事から。 頭が痛い。 開業してから今まで、一度も値上げをしていない。 そんな店はうちぐらいだろう。 だから、利益は当初より10%ぐらい減ってる。 飲食店の最終利益は売上の10%ぐらいって言われてるから、それが吹き飛んでるのか。 頭が痛い原因はこれじゃないか。 これはうちだけじゃなくて、ほとんどの飲食店が悩まされてると思います。 値上げすればいいんだけど、まあ色々な考え方がある。 僕がひっかかるのは中身が変わらないという所。 使ってる物の値段が上

戦略的無休

「なんか気分が乗らなくてさぼりました」 出社先とは逆方向の電車に乗り、朝からお店に来てくれた子がいまして。 ちょうどそのタイミングでツイッターにトレンド入りしてたのが、このニュース。 「さぼる時もありますよね」と、同意を求めてきたので、 「俺はさぼった事ない」と無下に突き返しました。 ええ、優しくないんです。 この子には。 お昼まで仲良く話してたけど。 そんな話を書きたいんじゃなくて。 この記事には4割近い人がさぼった事(ズル休み)があり、7割近くがそれに肯

飲みやすい

飲みやすい。 うちのカフェラテの感想でよく出てきます。 一見すると、褒め言葉なのか分かりません。 例えば、コクが深いとか。 チョコレートのような甘みがとか。 華やかだとか。 エスプレッソの風味がしっかりとか。 コーヒー屋の感想で沢山見ると思うんですが、うちの場合はそれが少なくて。 飲みやすいって味の説明ではないですよね。 穿った見方をすると、特徴がないとも言える。 でも、僕にとって「飲みやすい」ってのは最上級の褒め言葉だと思っていて。 頭でっかちになりが