僕の理想の一日
8:00 起床
彼女は朝ご飯を作り終えると、僕を起こしに来る。
朝ご飯は必ず二人で食べると決めているからだ。
食べ終えると彼女は出勤する。洗い物は僕の仕事。
9:00 シャワーと洗濯
僕は朝にシャワーを浴びないと気がすまない。
そしてその間に洗濯機を回す。自分の洗濯は自分でやる。これもルール。
綺麗になった僕と洗濯物はベランダで気持ちのいい陽を浴びて、今日もいい日になると確信するのだった。
10:00 家を出る
喫茶店へ向かう。
ネタ作りやその他作業をいつものようにこなす。
脳みそを動かすことに苦しみを感じない僕はどうやら天職に就いているようだ。
15:00 遅めの昼食
この時間はランチタイムが終了しているので選択肢が少ない。
今日はそばかうどんを食べる。
16:00 喫茶店へ
仕事まで少し時間があるので結局喫茶店へ来てしまう。
18:00 ライブ
今日はライブだ。やはりライブが一番楽しい。
多少忙しくなった今でも作ったネタを披露できる場があることがありがたい。
21:00 ライブ終了
今日もよくウケた。後輩とちょっとだけご飯へ行く。
22:30までには帰りたい。
22:30 帰宅
彼女はもう寝る準備をしていたが無理を言って晩酌に付き合ってもらう。
わりと本気で嫌そうにしていたけど僕は話したいから、それに気づかないフリをした。
でもやはり申し訳ないから、週末はちょっと贅沢なランチにでも連れていってあげようか。
24:00 就寝
電気を消してからスマホをいじってしまう癖が直らない。
今日も彼女に怒られた。
せっかく週末に行くお店を探していたのに。
全て理想の話、いや、妄想である。
ようやく月収が20万円に届き、彼女と同棲している場合の理想の生活。
きっとストレスが少ない生活。
一日でいいからこんな生活を送ってみたい、という妄想だ。
思春期のときは誰しもたくさん妄想をしただろうが、大人になるにつれ、そんな馬鹿らしいことを考えることは少なくなる気がする。
しかし、社会経験の少なさからだろうか、僕は28歳になった今でもこんな夢のような妄想ばかりしてしまう。
芸だけで身を立てた経験も彼女と同棲した経験もないからこその考えたい放題、何でも叶ってしまうのだ。
でももう思春期ではない。28歳の大人だから分かる。
こんな生活リズムは絶対にない。
でもいいのだ。
ただの妄想だから。目標ではなく、妄想なのだから。
現実的な話ばかりする男なんてつまらないだろう。
日々の生活に疲れてしまったとき、その日常の理想を妄想してみることは心の健康を保つ一つの方法であると僕は思っている。
妄想と言うと変態的で馬鹿馬鹿しくて気が引けてしまうかもしれないが、堂々とやってほしい。
恥ずかしいことではない。友達と互いの妄想を語り合うのも良いセラピーになるかもしれない。
しかし、ここで大事なのは妄想から帰ってきたときに、横たわる現実に幻滅しないこと、割りきって妄想と現実を行き来することなのでやってみる人はその点に留意してもらいたい。
ただ自分の理想の一日という妄想を書きたかっただけなのに、それじゃ訳が分からなすぎるから、妄想のススメみたいになってしまった。
これはこれで訳が分からなすぎる。
僕は妄想の回し者なのか。
しかしながら今日の僕の妄想は少し失敗している。
朝に干した洗濯物を取り込んでいない。