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まずは長く使うこと。現状の"最適"なエコロジー Umbrella #1

こんにちは。
THEの矢野です。

関東でもそろそろ本格的な梅雨入りですね。

雨といえば、個人的に真っ先に思い浮かぶのがミュージカル映画の普及の名作「Singin' in the Rain(邦題:雨に唄えば)」。
土砂降りの中、主演のジーン・ケリーがご機嫌でタップダンスを踊るシーンを観るたび、雨が憂鬱ということを少しだけ忘れてしまいます。

今回はそんな雨の日に使うプロダクト、傘にまつわるお話です。

矢野は、R&D部門のマネージャーをしています。
開発の主担当はリキッド分野。生産管理ではTHEの全てのアイテムを需要予測し日々調整中。その他、商品説明や画像の企画など、THEの商品にまつわる、ありとあらゆることに関わっています。
最近の趣味は古いフィルムカメラ集め&撮影。低山中心ですが登山も好き。美味しいお酒を飲むために日々全力で生きてます。
Twitter:https://twitter.com/asukayano_00


世界で最も傘を所持する国(*1)、日本

突然ですが、皆さんは、今ご自宅に何本の傘がありますか?

お気に入りの傘を1本だけ、という方もいらっしゃると思いますが、使わずに置きっぱなしになっている数本の傘を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。

実は、1人あたりの傘の所持数が最も多い国(*1)は、日本といわれています。

*1…2014年7月24日 ウェザーニューズ調べ 35カ国中

日本の年間降水日数は35カ国中13位でしたが、傘の所持数は世界の平均が一人あたり2.4本に対し、3.3本で1位という結果でした。

たかが1本、されど1本。

かくいう私も、常に折りたたみ傘を持ち歩くようにしているのですが、つい先日たまたま忘れた時に雨が降り、コンビニでビニール傘を購入してしまいました。
この記事を書きながら、その日以来使われずに自宅の玄関に置きっぱなしになっていることを思い出しました。


壊れやすく、捨て方も分かりにくいビニール傘

ビニール傘を使っていて気になるのは、破損や劣化、そして廃棄方法ではないでしょうか。

一度折れてしまった金属の骨は修理するのが難しく、街中で捨てられてしまった姿をよく見かけます。

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また、壊れていなくても、錆びが生じることで部分的に変色するのも気になりますよね。

さらに挙げられるのが、傘の置き忘れ。

警視庁による遺失物取扱状況によれば、2020年度の1年間に拾得届(落とし物を拾ったと届け出ること)があった傘は、なんと約24万1千本以上
これは全体の拾得届数の約8%にあたります。

全体数から見ると多くないように思えますが、注目すべきは拾得届に対しての、遺失届(失くしたものを届け出ること)の数。
届けられた傘が約24万1千本に対して、紛失したと届け出てきた数は、たった約4千本のみ。2%にも満たない割合です。

仮に約4千本全てが持ち主の元へ返ったとしても、1年間で約23万7千本もの傘が、持ち主不明のまま放置されていることになります。

これらのうちビニール傘の割合はデータがありませんが、安価で手に入りやすいことから、かなり多くの割合を占めていると思われます。

道端に捨てたり、故意に忘れていったりする行為はいけませんが、廃棄方法が不明瞭であることも大きく関係しているのではないでしょうか。


長く使えれば、ビニール傘こそTHE UMBRELLA

しかし、ビニール傘には、他の傘にない圧倒的な機能性があります。

それは、傘に最も必要な「視認性の高さ」。

例えば、前方からの雨を防ぐため傘を少し前に倒して使う時や、小さな子どもと歩いていて、いつも以上に車や歩行者に気をつけたい時など、歩きながら使う傘において、周りが見えやすく安全であることは、重要な機能であるといえます。

「THE」と呼べる傘は、透明で周りが見えやすく安全であること。 

つまり、捨てずに長く使い続けることができれば、ビニール傘こそが「THE 傘」であると私たちは考えました。 

そこで着目したのが、1991年から傘とレインウェアの製造に取り組んでいる株式会社サエラ。
サエラは、傘の廃棄や消費に対し、製造メーカーとして強い問題意識を持っています。ビニール傘というアイテムをゼロから設計し直すことで、耐久性に優れた長く使える傘を作り、販売しています。

THE UMBRELLAは、プロダクトデザイナー柴田文江氏によってデザインされたサエラ製品とのコラボレーションによって生まれました。

主な特長は、
・強靭で、壊れにくい骨(繊維強化プラスチック)
・オールプラスチック製で錆びずにいつも綺麗
・ユーザー自身で簡単に生地を交換できる

これら3つの特長を兼ね備えることで、1本をずっと使い続けることができます。


より"最適"なエコロジーを目指して

雨の日に何気なく使っている傘ですが、改めて調べてみると、深刻な廃棄問題が潜んでいることを知りました。

正直にお話しすると、THE UMBRELLAも環境負荷の軽減という点では、完璧なプロダクトではありません

中心の骨や持ち手など、これ以上分解できない大きなパーツが、通常の雨風で壊れることは素材の特性上ほぼ考えられません。しかし、万が一、壊れた場合は交換パーツが用意できず、廃棄となってしまいます。

個々のパーツは安価で製造できる反面、相当な数量を作り続けないと工場の採算が合わず、私たちだけの販売力だけでは交換パーツだけを製造して在庫し続けることが出来ません。
現状は骨とキャップのみ、傘の製造に合わせて予備を作って在庫していますが、ごく少量となってしまいます。
(なので、販売店さんのご注文や企業での導入など、ご連絡をお待ちしております!)

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また、オールプラスチック製ですが、壊れにくくする為にパーツ毎に最適なプラスチック素材を選定しているので、現時点では傘まるごとをマテリアルリサイクル(*2)素材として処理することはできません。

廃棄方法は、各地方自治体での基準やサイズによってまちまちですが、不燃ゴミや粗大ゴミ(一般のビニール傘の骨は、分解して金属ゴミになることもあります。)などに分別され処理されることが多いようです。

*2…廃棄物を新しい製品の原料として再利用する手法

THEでのオススメ廃棄方法は、THE SHOPに持ってきてもらうこと。引き取ったTHE UMBRELLAは、できる限りサーマルリサイクル(*3)に回せるよう処理します。

*3…廃棄物の処理の際に発生する熱をエネルギーとして回収して利用すること。リサイクルと呼ぶのかは賛否あり、グローバルでは「エネルギー回収」や「熱回収」といわれ、そもそもリサイクルとみなされていない。

現状は回収方法も含め、廃棄はすごく大変です。
だからこそ、廃棄される傘の量を少しでも減らすため、大切なのは自身でリペアできること。
個人で修理や補修ができれば、リサイクルよりも簡単で、最も経済的な使い方だと考えています。

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まずは「捨てないこと」を前提に破損や劣化がしにくく、自身で生地の交換ができるTHE UMBRELLAを提案します。
前述の通り残された課題も多くありますので、それを解決できる道を常に探していきます。

次回は、より詳しい「廃棄方法」にフォーカスした記事をお届けします。


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