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雨宿り

買い物を終え最寄りの駅に着くと同時に
弱い雨が降り始めた

「さっきまで綺麗に晴れていたのに」

そんなことを思いながら改札を出て
少し歩くと今度は強くなってきた

家まであと5分の場所に居たのだが
急いで帰らなければならない理由もないし
なにより雨に濡れるのが嫌だった私は
雨宿りをすることにした

雨宿りは暇だった

携帯を眺めていても楽しくないし
1人だから話をする相手もいない

こんな悪い天気になる前に
急いででも1本早い電車に乗ればよかった
と切実に思った。

ある時なにを思ってかは自分にもわからないが
私は「空」を見始めた

まじまじと空を見たのは
いつぶりだったのだろうか

久々に見た空は曇っていて
私の心と謎に一致していた

「雲の色は白」なんてこと小さい頃から
思っていたけれど
実際に見た雲の色は白ではなかった

いや、白もあるのだけれど灰色がかっている
部分が大半で白い部分も日光の当たり方や
奥行きなどによって違う色のように感じた

空の色は水色だけではなく、
青や灰色も混ざっていたし
太陽の近くは黄色やオレンジっぽい色もあった

今まで大して深く考えなかった
空や、雲の色も少しいつも以上に眺めるだけで
これだけ多くの色を発見することができた

私が眺めた空の先には膨大な宇宙があって
その宇宙はどんな色で色で表されているのか

そんなことを考えることの楽しさを感じた

再び空を眺めてると私はあることに気がついた
空をどれだけ眺めても
想像しているような雨雲らしい黒色の雲を
発見することができなかった
おかしいと思い目の前を見てみると
雨は止んでいた

「よし帰ろう」
そう思っても私の興味は空に向いていた
雨宿りをやめ、歩き出すと
一応雨がまだ降っていることに気がついた
パラパラのもう1段か2段上の言葉を
使わなければ表せないほどに
雨は弱まっていた

空を眺めながら私は歩き続けた

今日は空について多くのことに気づいた
一言じゃ物の色を表せないこと
私が見ているものの奥にはもっと大きな景色が
広がっていること

でもよく考えてみたらそんなことは初めから
知っていたことだった
思い出すことをやめただけで
幼い頃の自分は長い時間空を眺めていたし
今よりもっとたくさんのことを考えていた

歳を取れば取るほどに色々なことに追われ
昔考えたことを思い出す余裕が失われていた

歳は取りたくないなんてことを
18になる前にすでに思ってしまった

家の近くまで歩いていると私の目に
雨が入ってきた
反射的に目を閉じてからゆっくりと目を開けた
その後私は深く帽子を被り前を向いて
歩き始めた

今日はいい天気だった


ご拝読ありがとうございました
あなたの心に残る文が書けたなら
嬉しいです。
今後ともよろしくお願いします。

HELIOS

#コラム #雨 #雨宿り #空 #雲 #ポエム
#エッセイ



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