助動詞canは失礼!?使わない方がいいの?(助動詞のコアイメージ-1)
Q: 助動詞canについて質問です。昔学校の先生に、Can you speak English?という質問は失礼になるので聞かない方がいいと言われ、それ以来canの使い所がわかりません。どのようなルールがあるのでしょうか?
ご質問ありがとうございます!
助動詞の用法に関するご質問ですね。助動詞は中学校ではサラッと習うのに、実際に英語を使う場面になると難易度が高く、鬼門とされる文法の一つですね。
助動詞の難しいところは、文脈によって意味が大きく変わるという点でしょう。「can=できる」ではすぐに躓くことになります。こうした語彙は訳語を覚える方法ではなく、単語そのものが持つコアのイメージの感覚的な把握が必要です。
助動詞のコアのイメージを把握して文脈に応じた用法の広がりを理解することは、助動詞だけでなく英語という言語の持つ意味の広がり方の感覚を身につけることにもつながります。
今日は、ご質問いただいたcanについて深堀して、簡単なようで奥の深い助動詞の世界を少しのぞいてみましょう。
canのコアの意味
助動詞は、コアの意味を把握してから、文脈に応じた意味のひろがりを理解していくことが重要です。早速canのコアの意味を見ていきましょう。
canは、古くはcunnanという単語を語源に持っています。cunnanはもう使われていないとても古い英語ですが、cunnanは、can以外にも、know(知っている), cunning(ずる賢い)などの語源にもなっています。
canの遠い親戚とも言えるknowやcunningの意味から推測できるように、cunnanの意味は、「知っている」です。意外かもしれませんが、canは、古くは、「知っている」という意味を持つ単語から派生した助動詞だったのです。
canは、「知っている」という意味から「知的に可能である」という意味に発展し、「肉体的に可能」→「状況的に可能」と意味を広げていきます。こうして、canは、「能力的な可能性、潜在的な可能性」という意味を中心に持つ助動詞になっていきます(出典)。
語源から遡りましたが、canの中心の意味は、「能力、潜在的な可能性」であると押さえておきましょう。
canは失礼なのか?
canの語源が「能力、潜在的な可能性」を意味する助動詞であることがわかったところで、本題の「canは失礼なのか?」というご質問にお答えしていきます。
canが「能力、潜在的な可能性」を意味することを考えると、Can you...?という形の質問文は、「あなたには...する能力/可能性があるのか?」というニュアンスで尋ねることになります。
のような意味ですね。この性質を逆手にとって失礼に使おうとすると、以下のような使い方をすることになります。
質問する相手が自分で選べない理由でその能力がなかったりする事柄については、たしかに使わない方がいいかもしれないですね。
言語能力については、"Can you"ではなく"Do you speak English?"で聞くのが一般的です。
仮に、本当に手の機能の診断などで客観的にできるかどうかを知りたい場合は、are you able to...で聞くのがいいと思います。
このように、相手が選べない原因があって能力が欠如していることが社会的にスティグマになる場合は、canを避けた方が無難かもしれません。しかし、外国語として勉強している我々が犯す助動詞の間違いなんて、とっても些細なものなので、あまり神経質にならないでどんどん練習で使ってみることが習得への近道です。
色々な状況で普通に許容されている表現なので、許可どり、お願いするときなどとても使用頻度が多い助動詞でもあります。
リスクになることはわかっておいた方が無難ですが、それによって話すのが怖くなってしまうのは逆効果です。失敗するリスクは怖いかもしれませんが、外国語を学ぶにあたっては、どんどん間違えながら話していくリスクテイキングも重要な成功の因子と言われています。
というわけで、今日のnoteの結論としては、canのコアの意味を押さえた上で、失敗を恐れず使ってみましょう!ということをお伝えしておきたいと思います。
noteをご覧の皆様もぜひご質問ありましたらお寄せくださいませ。