ピンチをアドリブで乗り越える技 10/100(三つの輪1/3)

自問自答を繰り返しながら、
アドリブと演技の関係を
追求していってみようと思い立ちました。
100回(?!)連載にて、お送りします。


正しい目線って、どこを向いていれば良いのでしょうかね??

3回に分けて、『3つの輪』というツールをご紹介します。

これは、とてもシンプルなので汎用性があり、日常生活においても結構頻繁に使うツールの一つです…

ピンチに陥った時、
自分が何をしているのか、何をしたら良いのか分からないという状況になります。そういう時に使えるのが『3つの輪』。
意識することで、おのずと、この状況をどうすれば脱することが出来るのかがみえてきます。

今回の題名は、例のごとく前回の文中から引き抜いてるので、
(気が付いてましたか?)
「目線の話」になってますが、
『3つの輪』においては目線は非常に重要とはいえ、それ以上のあらゆる身体要素を活用するツールとなってます。

役者は自分の肉体を楽器のように捉えています。
私の行った演劇学校が、音楽学校でもあり、校内には多種多様な楽器を手にした音楽家が圧倒的に多かったことも関係しているかもしれませんが、私たちは身体を日々鍛錬し、磨きをかけて、いざという時にそのポテンシャルを最大限に発揮できるように心がけようとしています。

まあ、正直な実情は、在校中はバリバリに心身ともに鍛えるのですが、卒業すると日々の鍛錬というものはしなくなります。。。
私だけじゃないです!同級生も皆そんな感じです。

でも、一度この身体という楽器の使い方をしっかりと学んでいるので、自転車に乗るかのように、必要となった時には容易にその頃の感覚を呼び覚まして、活用することができます。
そのためのスイッチのようなものも自分で発見してあるので、そのスイッチを起動して、自分の身体に傾聴して、理想的な状態に到達するまで体や脳のエクササイズを行い、整えていきます。

とはいえ、最近出てきてるお腹はそう簡単に在校中の状態には戻せませんね!万が一、痩せ型の役が決まった場合は、効率的な減量をしなくてはいけません。

例えば、もうだいぶ昔の話となってしまいましたが、コリン・ファース主演の『レイルウェイ 運命の旅路』に出演した折は、第二次世界大戦中のビルマ捕虜収容所にいる軍属という役がら上、相当の減量をしました。
役が決まったのが、バンコク現地入りのたった2週間前ぐらいのタイミングだったので、結構大変でした。

話が逸れてしまいましたが、『3つの輪』に戻します。

このツールのために使う主な要素は:
目線
発声
海苔巻き(3/100参照)
です。

分かりやすい感覚としては
ひとつめの輪=一人称
ふたつめの輪=二人称
みっつめの輪=三人称
としても良いかもしれません。

何のことを言っているのか意味不明ですよね?
実際にお見せすれば手っ取り早いのですが、
なんとかこのまま文章で続けます!

『三つの輪』は
身体表現と発声を、あえて大雑把に3通りのパターンに分けて捉える
というツールです。

『ひとつめの輪』は一人称。自分の世界です。

目線は下であることが多く、焦点はあまり定まっていません。
発声は、モゴモゴと、小さな声の独り言です。
海苔巻きは閉じていて、前傾にだらんとしています。

『ふたつめの輪』は二人称。相手との世界です。
目線は相手の眼を直視して、鋭く見つめます。
発声は、つぶ立て、明瞭に。相手に良く刺さるように。
海苔巻きは、直立不動。相手に対して平行に。

『みっつめの輪』は三人称。不特定多数相手の世界です。
目線は大衆を眺める様に。前後左右に動かして見渡します。
発声は横隔膜を使って、大きく。空間全体を取り込む様な呼吸。
海苔巻きは、全開にすることによって、胸を張ります。

さあ、ではこの『3つの輪』をどのように活用するのか、明日はさらに詳しくご説明いたします!

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