ピンチをアドリブで乗り越える技 6/100(The Little F**ker)

自問自答を繰り返しながら、
アドリブと演技の関係を
追求していってみようと思い立ちました。
100回(?!)連載にて、お送りします。


自分のことばかりに集中していると、

どうしても、パニクってくる。


パニックになる原因はいくつかあって、先述の身体状況
(肩が上がっていたり、重心が高い、呼吸が浅いなど)
もそうですが、

ここからは、もっと心理的な状況。意識の持ち様のお話をしていきます。

まずは、やっかいな怪物

“The Little Fucker”

について。

これはピンチに陥った時に役に立つばかりでなく、
プレゼン前などで、どうしても緊張している時に、その緊張を和らげるのに使えるツールです。

いや、

緊張状態っていうのは、決して悪いものでもないので、
緊張を和らげるという表現は正しくなくて、、、
「緊張に影響されにくい思考状態」へと持っていくためのツールです。

ちなみに、ほとんどの役者は、私も含め、本番前や舞台前、必ず緊張してます。

むしろ緊張を全く感じられない時ほど、何かミスを犯すのではないかと思い怖くなりますね。

適度の緊張は集中力とアドレナリンを高めるのに役に立ってくれる重要なものです。緊張しているというのは、臨戦状態にあるということであって、うまく使いさえすれば、あなたの味方になってくれます。
決してこれを自分のパフォーマンスを落とす原因にさせてはいけません。

そこで登場するのが、”The Little Fucker” 日本語訳すると
『あのクソ嫌な奴』だろうか??

自分に対して常にネガティブなコメントを投げかけてくる、
自分の意識の中に存在する怪物である。

ちなみに、こいつを表すためのジェスチャーは、4本の指を揃えて、親指に付けたり離したりしてパクパクさせます。ぬいぐるみの口をパクパクさせるあの動きです。
それを自分の胸元あたりから、顔に向けて、口をパクパクさせながら、ガミガミと嫌味なことを言ってきます。

どうしても目線の端に入ってくる、絶妙に嫌な位置でパクパクやってます。
それが”The Little Fucker”です。

「あー、今のとこうまくいってなかったね。」
「みんなこっち見てるよ大丈夫??!」
「今日の服装おかしくない??」
「ん?髪型乱れてない??」
「あれ??そこは違うんじゃないの?www」
「みんな眠そうな顔してよぉー。飽きさせてるんじゃない??!」
「君はダメだなぁ。だめだめ。もう無理だよ!」

などと言ってきます。

この”The Little Fucker”に耳を傾けていると、だんだん息苦しくなって、無気力になってきますね。そして最後には思考停止して、硬直状態になってしまう。
でも逃げ出したくても逃げられない。。。サイアクな状態です。

ではこの”The Little Fucker”、どのようにして除去するか?

これに対しては明確な答えがないです。申し訳ない。
何かハリーポッターの呪文の様なものでもあればいいのですが、
残念ながらありません!

でも、まずはこの”The Little Fucker”というものを、
”The Little Fucker”くん
として、『認知する』というのが重要です。

そしてこれが自分の脳内に登場した時には

「ああ、来たねぇ~、
やあ、”The Little Fucker”くん。
こんにちわぁぁ。
…うん、いるねぇ。
なんか色々と言ってるけど、自分は聞かないよ。
今はそれどころじゃないんだよぉ。
君の言うことは気にしないからね!」

と思い続けるしかありません。

そして、周りへの『傾聴』に意識を向けます。
これを続けていると、徐々に”The Little Fucker”くんはつまらなくなって、色々と言ってこなくなります。
慣れてくると、出現すらしなくなるでしょう。

その上で、やはり同じ様にぬいぐるみの口の様に、頭上から自分のことを見ている存在があります。口はパクパクせずに、つぐんでいます。

これが”The Witness”です。

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