ピンチをアドリブで乗り越える技 12/100(三つの輪3/3)

自問自答を繰り返しながら、
アドリブと演技の関係を
追求していってみようと思い立ちました。
100回(?!)連載にて、お送りします。


意識的に輪を変えてみる

3回に分けて、『3つの輪』というツールをご紹介しています。今回はその第三弾です。

このツールはシンプルで分かりやすい上、応用も効くので非常に重要なのですが、これを文章で説明するということに苦戦してます。

ビデオかなんかを貼り付ければ、正直早いです。でも、それではこの企画の意味がない気がしているのでこのまま続けます!

でも、説明が意味不明になってないか、正直不安です。

書き初めから9/100までは特に難しさを感じなかったのに、なぜこの『三つの輪』は苦戦してるんでしょうか?

まず、コンセプトとしては単純ですが、それを体現するには海苔巻きなど他のツールも活用する必要がある、というところが困難です。

また、今までのツールと違い、『三つの輪』は私たちの身体表現すべてをこの3つに分類してしまおうという大雑把な側面があります。

そうすると、身体表現というものを包括的に捉える必要があり、日頃から人間観察をし慣れている読者の方には「ああ、あの状況ね」とか「そういう人確かにいる」とか感じてもらえると思うのですが、そうでない方々にも分かりやすいようにするにはどうしたら良いか。
悩みどころです。
(意味不明になっていたら、コメントくださいませ お願いします!)

さて、言い訳はこれくらいにして、『三つの輪』今回は敢えて単純化して、目線という原点にまずは戻ってみます。

目線いえば、『ひとつめの輪』は下を向いているか、上を向いている状態で、視野は狭いです。『ふたつめの輪』は相手をまっすぐ見ている状態で、焦点があってます。そして『みっつめの輪』は、相手の周りやさらに向こうを見つめ、視野は広く定まっていない状態です。

私たちは日々この3パターンを常に行ったり来たりしています。

昨日から気になっていたのですが、例えばこの画面に向かってキーボードを打っている状態。これはわたし的には2だな、と感じます。相手が人ではありませんが、一点に向かって焦点があっている状態です。

そして、次の文を考えるために目線を下に向けたり、何かを思い出すために左上を見る、もしくは言葉を探して右上を見る、この瞬間は自分の世界なので1の状態だと感じます。

もしいま、誰かに声をかけられたり、窓の外が気になったり、何かの異音に気がついてどこか遠くを見つめたら、それは3です。今のわたしの相手はこの画面なので、誰かから声をかけられてもそれは第三者なので、三人称のイメージになります。

このように、ほんの10秒程度の間にも、私たちはこの3つのパターンを瞬時に切り替えているわけです。

では、ピンチに陥った時の活用法は?
先述のように、応用性の高いツールなので、いろいろな使い方があるのですが、ここでひとつの例を、ためしに提案してみましょう。

1は自信のない印象を与えがちですが、使い様によっては、熟考しているようにも見えます。目線を下げて、間を置くことで、相手はおそらくそこに畳み掛けてはきません。
うなだれているのではなく、意識的に考えを巡らせてるという印象を与えます。これでひとまず時間を稼げるかもしれません。

落ち着いたら、相手と対峙して2に移ります。誠意をもって向き合っているという印象を与えることが出来ます。

つらくなったら、たまに1に戻しても良いでしょう。

そして、さらに場の空気を味方につけることが出来るのが3です。落ち着きがあり、自信のある、信頼のおける人物であるという印象を与えます。

これはほんの一例をシュミレーションしてみたに過ぎませんが、『三つの輪』を自在に使い分けるイメージが掴めたのではないでしょうか?

もうひとつ、
前回の例文である

「うーん、そうですねぇ」

一般的には1だろう。
でも、この短い一文の中でも

(1)うーん、そう(2)ですねぇ
(1)うーん、(3)そーですねぇ
(2)うー(1)ん、そーですねぇ
(3)うーん、そー(1)ですねぇ
(2)うーん、(1)そーですね(2)ぇ

などと、如何様にもアレンジして表現することが可能です。
もちろんピンチの時には、ここまで出来ないでしょうが、色んな可能性があるということを知るだけでも楽しくないですか?

この様に『三つの輪』では表現の型を自在に変化させるために、
敢えて大雑把に分解して捉えています。

次回はさらに単純な分解『エ・ボン』の話です。

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