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“自分一人では本当にどうにもならない、だから私は伝えるんだ” さおり / 都内高校1年 / 東京チーム

THE BLUE CAMPに参加する学生たちを、それぞれがエントリー時に提出した自己紹介およびエッセイとともに紹介します。東京チームは、高校生2名、調理学校生1名、大学生5名(うち1名水産研究)の計8名です。

“自分一人では本当にどうにもならない、だから私は伝えるんだ”

今回紹介するのは伊藤紗織(さおり) です。

彼女はチームで最年少の高校生ですが、それを感じさせないほどに語彙力が豊富です。それは、彼女が新聞記事を普段書いているから。正直、魚が好きというわけではなかった、むしろ苦手と思うこともあった。そんな中、研修で食べた金目鯛に感動して魚への印象が変わったそうです。そんな経験を持つ彼女は今回どんな言葉を紡ぐのか。

応募時 自己紹介

私の在籍している高校では自分の興味関心のある記事を集め、要約し、感想を書く「新聞ノート」という課題があります。私は中学2年生の1年間で累計150以上の記事に触れてまいりましたが、食品ロスは定期的に話題に上がっていた記憶があります。先進国による大量生産大量消費。それによって余る大量の食品。その一方同じ地球には今日のご飯にも困る人がいること。

正直、新聞を読み、字面を眺めているだけでは見えてこなかったり、どれほどの問題なのか実感が湧かない部分もありましたが、昨年1年間アメリカで生活している中で、どれほど世界の人が食品ロスと、それが及ぼす被害について関心がないのか痛感しました。陸海空の三要素全てにおいて、あるべき自然の姿が壊れていっている現状についても、このままではきっと嫌でも痛感させられる日が来るかもしれません。

そんな日の到来を防ぐことが私たち人間に残された唯一の責任の果たし方であると思います。自分に一体何ができるのかをもっと知りたいですし、やれることが多くあるならどんどん動いていきたいと強く思います。

応募時 エッセイ 
「海と食の未来について思うこと、取り組みたいこと」

私の母の地元は長崎だ。帰省をすれば、祖母が出してくれる旨味の詰まった海鮮料理の数々に綺麗な海、綺麗な浜辺に立つ小さい城。帰省以外で海に行くことのなかった私は、その海が大好きであると同時に、その海が当たり前でもあると思っていた。それもあり、小学校の頃の社会科の授業で初めて見た伊勢湾は衝撃であった。こんなに人が汚してしまって良いのかと幼心に思ったのを今でも覚えている。

とかく、実家が長崎であろうとなかろうと島国である日本の食文化と海は切っても切れない関係であることは自明の理であり、日本人の多くは寿司を好み、海に親近感を抱く。それなのにどうしてか、今海で起こっている問題についての興味関心を持っている人は少ないように思われる。

ウミガメの騒動があって以来、紙ストローは広く使用されるようになったが、その奥にある現状や課題についてまでは詳しく知らない人が多いのだ。この状態では、どれだけ海洋研究のプロフェッショナルが尽力しようと、大きな改善にはつながらず、将来海の汚染は深刻化し、生態系は破壊の一途を辿るであろう。地球はもう既にそのフェーズまで来ているのだ。これまで学校内で委員会活動や部活動に励んだり、アメリカで一年の生活を経たりするなど、様々な機会を通して痛感することは、「自分一人では本当にどうにもならない」ということだ。

新しいプロジェクトを始めようにも、そもそも自分一人では本当にそれが良い発想・手段であるか分からないし、良いものが思いついても参加してくれる人がいなければそれまでの努力は水の泡である。だから、環境改善をするにおいても広い範囲の人々への周知の徹底は絶対的に必要であると思う。本プロジェクトへの参加や、海や地球の問題についての情報収集を踏まえた上で、自分が学んだことを私は人に発信していきたい。

コロナ禍を経て、海からの心理的距離が遠ざかった今、このような形で人と海との関係が縮まっていくのは少し悲しいことではあるが、致し方ないことである。私がこれまでの経験で培ってきた力を通して、多くの人に問題意識を持ってもらえるよう尽力する所存だ。一学生のやれる範囲は限られているかもしれないが、私はその活動を通して自分の可能性も見てみたいと思う。

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