自動車税が何十年も据え置きされている件
ご自身でクルマ関連の経費を管理されている方、或いはご家庭で家計を預かっていらっしゃる方なら、GWの連休中に『自動車税納付通知書』が郵送されていることと思います。
中味が何であれ、税金の請求書というだけで気分良いものではありませんが、この自動車税の税額って、ここ何年くらい据置きかご存知ですか?
実は現在の税額は1989年に改正されたものですので、かれこれ35年も変更されていないんですねぇ。
この35年間の諸物価指数の上昇と較べれば(給料とは較べない(苦笑))、自動車税は抑えられているというか、35年前が高かったというか…
さて35年前といえば私は24歳の若造で、自身初めての愛車である『HONDA CIVIC 25R』を転がしていた頃。
排気量1500ccですので、少ない給料の中から年額34,500円を納めていた記憶があります。
そして現在の愛車『Volkswagen Tiguan』(排気量1400cc)もまた、年額34,500円の納付書が届いているわけです。新車車両価格は優に4倍超、馬力も1.7倍、安全装備テンコ盛りになっているのに自動車税は当時と同額…(苦笑)
あの当時、『昭和』の終盤でしたが、『3ナンバー』という『逆差別言葉(笑)』が存在しました。今でも、古い時間貸し駐車場(大阪ではモータープールと呼んでいます)では『3ナンバーお断り!』といった看板が残っている場合があります。
昭和20年代から、『3ナンバー』が『普通車』で、『5ナンバー』が『小型車』なのですが、実際には1989年頃迄は『普通』であるはずの『3ナンバー』が稀少で、『小型』の『5ナンバー』が圧倒的多数でした。
何故なら、『5ナンバー』の自動車税は約3万円~約4万円だったのに対して、『3ナンバー』の自動車税は約8万円~約15万円と、とんでもなくハネ上がりましたもので、会社のお偉いさん、お医者様や弁護士、そして今では『反社』と呼ばれている方々等、富裕層しか『3ナンバー車』は保有できなかったのでしょう。
今でこそ、『外車』は『外国車』とか『輸入車』とか穏やかな呼び方になりましたが、当時は『普通車=大型車=ガイシャ=ベンツかアメ車=お金持ち!』みたいな図式があって、ちょっとでも傷つけたら修理代も高そうなので駐車場では『3ナンバーお断り』していたわけですね。
で、実際、『3ナンバー/普通車』と『5ナンバー/小型車』の違いはなんなの?(1979年以降)ということですが、ざっとこんな感じです。
で、私が社会人になったばかりの1989年頃には、先述のとおり『5ナンバー』の自動車税は4万円以下、『3ナンバー』は8万円超でしたので、国産車が国内での販売ボリュームを稼ぐ為には上記の『5ナンバー枠』を1つたりとも超えないように車両サイズが設計されていたのです。
ところが1989年の税制改定で、自動車税は車両サイズではなく排気量別に設定されることになります。
この改定で俄然、売上を伸ばしたのが 2500cc~3000ccのクラス!
なにしろそれまでの年額81,500円が、45,000~51,000円と減額された上に、『5ナンバー枠』で制限されていた車幅や全長を自由に設計できるようになったわけです。
実は私もその減税恩恵を享受すべく、1992年に購入した2台目の愛車は『Audi 80-2.3E』。
ベースモデルの『Audi 80』は2000ccで車両サイズも『5ナンバー枠』なのですが、エンジンを2300ccに乗せ換えて馬力に余裕を持たせてあります。従って、ナンバープレートは『3ナンバー』です。
5年前ならそれだけで自動車税が8万円を超えてしまったものが45,000円と、2000ccモデルに較べて5.500円アップで済みました。
その後、1999年に購入した3台目の『VOLVO V70』は2300cc。
自動車税は引き続き同額の45,000円。
ただしこの VOLVOは19年も乗り続けたのですが、2001年に制定された『新車登録後13年を超えた車両の自動車税15%増額』という『旧車イジメの悪法』により、2012年からは51,700円に増税されました!
そして2018年に購入した現在の愛車、『Volkswagen Tiguan』は1400cc!
前述のとおり自動車税は34,500円と、年額17,200円も安くなったのです!
35年前の『HONDA CIVIC』よりも100cc小さい排気量でも性能が断然に上回っているのは、その期間を経ての技術革新の賜物です。
見渡せば、世界中のクルマのエンジンが『ダウンサイジング』といって小排気量化のトレンドにあります。
もちろん、環境観点から省エネが求められる風潮がベースにありますが、ライトプレッシャーターボやマイルドハイブリッド等、小さなエンジンでも従来の1クラス上の出力を得られるようになっています。
例えばBMWやメルセデスだと、昭和の頃はモデル名の数字から排気量が推定できたのに、昨今は数字から推測する排気量よりも1つ2つ小さいエンジンを搭載することが定番化しています。エンジンは2000ccだけど、ちょっと前の2500cc相当の馬力があるよ、こっちのエンジンは3000ccだけど昔の4000cc並みに走るよ~と言った感じで。
つまり、現状の自動車税が設定された1989年頃に較べて、世の中に流通する自動車の排気量は格段に小さくなっている。
ちょっとマニアックな話しをするならば、例えば昭和の頃に花形だった『V型6気筒エンジン』なんていうのは絶滅危惧種となり、今では『直列4気筒』が主流に、そしてコンパクトカーでは『3気筒』が増えつつあります。
昭和の人間に言わせれば、3気筒って660ccの軽自動車向けですよね~って思ってたのに…(あ、昭和の軽自動車は550ccでした…)
というわけで、トヨタが最高益だ!アルベルが品薄だ!新型クラウンも新型プリウスも絶好調だ!という報道の裏腹、新車登録の約4割が軽自動車だったり、若者のクルマ離れと言われて久しい昨今、自動車税の税収は確実に減少してきているはず。
ならば、35年も据え置いている自動車税を近々一気に引き上げる可能性も無きにしも非ず?
いやいや、そこはトヨタ様が黙っちゃいないでしょうから、政府は別のところから税収を確保するしかない。
実際、古いクルマを大事に乗り継いでいる人に先述の『旧車増税』を課しているし…。
『二重徴収』との悪名高いガソリン税も未来永劫、減税されないのかな?
クルマへの人々の興味がどんどん薄れゆくなか、自動車関係の税金は業界と政府の駆け引きでどうなって行くのでしょうね…
※以下、自身の備忘録として参考資料です。
以上、書き終えてから自身の2年前の投稿に気付き、同じことを書いてるなぁと思いつつもまたアップしてしまった次第です…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?