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『鰻の成瀬』が『いきなりナントカ』にならねばいいなと思う件

ちょっと風が吹くと『あぁ、秋の気配が…』なんて思うものの、よくよく考えたらまだお盆前半なわけで、京都人に『夏の終わり』を告げる『大文字五山送り火(8/16(金))』もまだ迎えていないんだなぁと…

THE GATE 2024/7/26より借用

夏バテ対策に鰻!
と言いたいところなるもここ10年の鰻の高騰ぶりは凄まじく、思い立って食べに行くには遠い存在となってしまいました。

いや、よく言われる『土用丑に鰻を食べよう!は、鰻が痩せて売れない夏季になんとか鰻が売れるようにと平賀源内さんが考えたキャンペーンであって、本当の旬は脂が乗る秋冬だよ~』というのは承知しているわけですが、それでもこれだけ熱くてバテ気味なら、鰻のスタミナに頼りたくもなるというもんです!

テレビ愛知・5時スタのHPより借用

思えば昨年春に久々に関西に戻ってきて、職場も仕事もすっかり変わってしまったわけですが、とんと鰻を食べていない!

関西に戻る前の8年間は名古屋市に勤めており、愛知県・岐阜県・三重県の現地スタッフに会いに走っては面談するというお仕事でした。
コメダ珈琲でのモーニング面談やファミレスでのスイーツ面談もありましたが、ランチ面談となるとそこは愛知・三重・岐阜の東海3県、『鰻の聖地』でもありますので、自ずと鰻屋さんでの面談機会が多くなります。

2022/4/8のブログを見てみると、2015年4月~2022年3月迄の7年間で延べ47食の鰻丼・鰻重をいただいてる!
その後もう1年間は同じ状況でしたので、名古屋在勤の8年間で恐らく55食くらいの鰻丼・鰻重をたいらげたことになりそうです。

それが…
関西に戻ってから鰻にありついていない。
正確に言えば、『吉野家』で1回、『宇奈とと』で3回、鰻丼っぽいものを食べてはみましたが、カウントしていません。『餅は餅屋』の格言どおり、やはり牛丼屋では牛丼を食べるべき!

筆者行きつけ?の梅田店(実際には淀屋橋が近い)

そんなことを考えてたら、『鰻の成瀬』なるお店を見つけました。

大振りの中国産鰻を特殊なグリルで焼き上げ、半尾で1,600円、3/4尾で2,200円、1尾で2,600円という価格で提供する。
これ、上記の大衆向けチェーン『宇奈とと』の約2倍ではあるけれども、都心高級店の約半額という、絶妙な価格帯かと思います。
『三河一色産とか鹿児島産とか浜名湖産でなくてもいいから、ホンモノの鰻を少しでも安く食べたい!』という私のようなニーズには、ドンピシャにハマるマーケティング!

興味持って調べてみたら、オーナーの成瀬社長は若い頃から数多のフランチャイズビジネスを経験し、その立ち上げから撤退・売却までを知り尽くしたFC経営のプロ。この『鰻の成瀬』も、2022年9月に1号店が開店してから2年後の2024年8月時点でなんと全国233店舗まで急拡大されています。月に1店開店の超ハイピッチ!

そしてさらに興味深いのは、成瀬社長が『鰻に興味はない、なんなら飲食店経営にも興味はない』と公言されていること。
一般的に飲食店は、それが鰻など専門店であるほどその食材に対する愛着とか執念とかこだわりが強調される世界ですが、成瀬社長の関心事はFC経営であって、『この鰻の成瀬を何年で何百店舗まで増やしたら売り抜けようか?』みたいなところを探っているようです。
『食べに行く客へのリスペクトに欠ける!』という意見もあるかもしれませんが、でもこの品質とこの価格のバランスに納得して食べに行く人が一定数居る限りは、まだまだ成長の余地がありそうです。

私が『鰻の成瀬』を実食したのは、2024年7月15日(大阪・堺筋本町店)でした。
その後、すぐにブログを書こうと思いながらなんとなく放置していたのですが、ネットで新しい記事を見つけましたので紹介しておきます。

そこそこ本格的な品質と絶妙な値付けによって急成長してきた同チェーンですが、想定以上の食材インフレを受けて、価格の維持が難しくなってきたと発表。
そこで『従来メニューの一律値上げ』かと思いきや、なかなか面白いプランを提示してきました(8/10~)。

従来の蒲焼きは、中国で養殖されたやや大振りなニホンウナギ(ジャポニカ種)を3つの量目((梅)1,600円・(竹)2,200円・(松)2,600円)で提供してきたのですが、それをアメリカウナギ(ロストラーダ種)にレベルダウンし、メニューでは『並』と表記。

従来のニホンウナギを用いたものはメニューに『上』と表記し、(梅)1,900円・(竹)2,500円・(松)2,900円に実質値上げ。
そしてさらに、国産鰻を使用したものを『特上』として(梅)3,400円・(竹)4,000円・(松)4,40円(1日5食限定)として新発売。

※ウナギには他にも幾つかの種がありますが、スーパーで中国産として特売されているものではヨーロッパウナギ(アンギラ種)が主流とも言われています。種別の問題であり、それが悪いということではなく…

ここで私は2つの大きな問題点を感じました。
1つ目は、鰻業界の『並・上・特上』のルールを破壊していること。

寿司屋や焼肉屋の場合、『並・上・特上』の序列はそのネタや肉質の序列を明確に表します。『並握り』よりも『上握り』の方が高級ネタが使われていますし、『並ロース』よりも『特上ロース』の方が格段に上質な肉が提供されるはずです。
然るに、鰻屋さんの『並・上・特上』の区別はその蒲焼きの量目による区別であって、『鰻重並』と『鰻重特上』とでは、その蒲焼きの品質や部位に変わりはなく、例えば『並』が半尾で『特上』がまるまる1尾だったり1尾半だったりするわけです(半尾の場合は前半身か後半身かという運任せの部分はありますが…)
それが今回の『鰻の成瀬』のメニュー構成によると、『並』がアメリカ種、『上』が中国産ジャポニカ種、『特上』が国産鰻と、品質の序列になってしまった!
これは、全国の『雑学好き』諸兄にとっては定番の雑学ネタを覆される大きな事件なのです。

※因みに、あるバラエティ番組で『鰻丼の並と上はどう違うかご存知ですか?』という該当インタビューの企画があって、高級鰻店から出てきた銀座マダム2人にインタビューしたところ…
ディレクター『今日の鰻は何をお召し上がりに?』
婦人『もちろん、特上ですわ』
ディレクター『いつも特上ですか? 並とかはお召し上がりにならない?』
婦人『そりゃ、いつも特上だわね。柔らかさが違うもの。並はなんか硬くてパサパサした感じで…』
ディレクター『実は、鰻重の並と特上は蒲焼きの量の差だけで、同じ鰻だってご存知でした?』
婦人『いえいえ、そんなことないわよ。特上は特別な鰻を使っていらっしゃるはずよ』
みたいな、いささか婦人ディスのものでしたが、まぁ、当人が高いおカネを支払って美味しいと思って食べていらっしゃるのだから良しとしましょうよ。

さてもう1つの問題点は…
1日限定5食とはいえ、半尾3,400円、1尾4,400円の『特上』を設定したこと。
この価格、都内や名古屋市内の名店からすればまだまだお安いかもしれませんが、三重県津市・岐阜県関市といった全国屈指の名店がひしめくエリアに於いては、食べログポイント3.70以上の老舗有名店と同レベルの値段帯です。
それでいて、炭火焼きではなくオートマグリル、修業を積んだ職人ではなくアルバイトスタッフ、そして秘伝でもないタレやインスタントのような肝吸いで張り合おうというのか…?
ちょっと立ち位置を誤って迷走気味と感じるのは私だけでしょうか…?

急激過ぎる店舗拡大、メニュー構成の煩雑さによるオペレーション疲弊等、かつて『東京チカラめし』や『いきなりステーキ』が凋落していった軌跡を辿ってはいないか?
初号店から2年で早くも『終わりの始まり』なのか?
目標店舗数を達成して早期高値売却を狙う成瀬社長の、今後の手腕に注目!です。

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