バエない名古屋の旅
「ねむい、腰が痛い」
横浜から夜行バスに乗り、朝5時に名古屋に着いた。体力的に夜行バスに乗れるのも、いまの20代のうちだと思い片道2000円のバスを予約したが、リクライニングをほとんど倒せず足も伸ばせないため、腰に負荷がかかって寝れなかった。約5時間半目を瞑っていただけ。行くだけで疲れた……。そんな状態で日帰り名古屋の旅が始まった。
寝不足のまま放り出されたわたしは、ガラガラとキャリーを引く人たちのあとをついて行った。どこを歩いているのかもわからない。でもきっと駅の方だろう。
まだ辺りは暗い。そして、とにかく寒い。気温をスマホで確認したら-2℃だった。
モーニングで小倉トーストを食べたいが、お店が開く7時15分までかなり時間がある。どこかで時間を潰さなくては。
マックで時間を潰すことにした。睡眠不足でお腹が空いてしかたがない。パスタでもステーキでも食べれそうな勢いだ。ハンバーガーを頼んでしまおうかと思ったが、ここでたくさん食べてしまったら、あとで食べる小倉トーストが胃に入らなくなってしまう。ここはアップルパイで我慢することにした。
今いる場所は本当に名古屋だろうか。間違えて地元のマックに来てしまったんじゃないか。あまりに寝不足だったため、そう思い始めた。
アップルパイを食べ終わっても時間は有り余っている。仕方ないので持ってきた岡本太郎の『自分の中に毒を持て』を読むことにした。朝5時過ぎのマックに赤いカバーをした強めの本を読む人は他にはいない。「ブックカバーが欲しい」と心の底から思った。
しばらくして周りを見渡すと席が埋まってきている。みんな夜行バスで来たのだろう、見るからに荷物が多い。そして時間を確認すると、あっという間に6時半が過ぎていた。そろそろ行かなきゃ。メイクするか、しないか、悩ましい。(いやしな?)クマが酷いかもしれないので、下地だけすることにした。
トイレで軽く下地だけ済ませて、マックを出た。
暗くて全貌が見えなかった街に、朝の光が差して、ようやく朝を感じた。やわらかい光に照らされたビルや道路。朝の澄んだ空気と動き出した街がわたしを起こした。
写真を撮りながら、小倉トーストが美味しいと言われているカフェに向かう。
寝不足でも写真を撮るのは楽しい。
7時半に「BUCYO COFFEE」というお目当てのお店に着いた。もうすでに人が並んでいる。15分ほど待つと中に案内された。ショートカットの女性の定員さんが機嫌良さそうに笑顔で名前を呼んでくれた。
なんでこんな朝早く働いているのに機嫌がいいのだろうか。「朝型ですか?」と聞きたくなった。(聞かなかったけど)
お店の中はアメカジのようなだけど、喫茶店っぽくもある。「相席でもよろしいですか?」と聞かれ、「はい、大丈夫です」と答えた。相席だが仕切られているので気にならない。席について、わたしはモーニングメニューの2番、小倉トーストとブレンドコーヒーを頼んだ。向かいの人は3番と4番を頼んでいた。
あんことバターと練乳がちょうどいい甘さでコーヒーとよく合う。おいしくて簡単に平らげてしまった。
食べ終わっても全然お腹が空いている。パスタが食べたい。やっぱりマックでハンバーガーを食べておくべきだったか。モーニングメニューにパスタはないので流石に頼めない。ここは我慢して、がっつり食べるご飯はお昼に楽しむことに。
次に巡りたい場所もあるので、重い腰をあげて8時半にカフェを出た。
【その他写真たち】
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