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読書感想文

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ざっくりと本の内容を知りたい方や、雰囲気を知りたいあなたにお勧め。 ヘッダー画像を本のタイトルにしているので、気になる本を選んでご覧ください。
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#小説

谷根千のことを知りながら、物語も楽しめる一石二鳥な小説

小川糸さんの『蝶々喃々』。 少し前に、小川糸さんのエッセイで、 「谷根千を舞台にした小説」と 言及されていたので、読んでみました。 不忍通りや言問通り、富士見坂など、 実際の地名はもちろんのこと、 実際にあるお店も登場し、 谷根千のことを知ることができ、 かつ、 主人公と、その家族、恋人、 友人たちが織りなす 複雑で葛藤の多い人間関係を 描いたストーリを楽しめる1冊です。 ただ、 主人公の恋模様と季節の移ろいが 1ヶ月ごとに丁寧に書かれているのですが、 最後のオチは、

むむむ・・・よくわからない。村上春樹ワールド、ドイツ編。

村上春樹さんの短編集の中から、 『三つのドイツ幻想』 を読んでみました。 ・冬の博物館としてのポルノグラフィー ・ヘルマン・ゲーリング要塞1983 ・ヘルWの空中庭園 上記の三話からなる 短編小説です。 セックス、性行為、性行、 その他なんでもいいのだけれど、 そういったことば、行為、 現象から僕が想像するものは、 いつも冬の博物館である。 村上春樹『冬の博物館としてのポルノグラフィー』より引用 この強烈な表現から始まる 短編小説。 青年が開店前の博物館で、 開店準

深くて美しい深海のような小説

私のアウトプット力では うまく言い表せないくらい、 綺麗で深みのある小説だった、 吉本ばななさんの 『キッチン』と『満月(キッチン2)』。 本当にどのように書けば良いのか わからないので、 感想をひたすら書いてみます。 祖母の死、突然の奇妙な同居、そしてまた親しい人の死 なぜ、人はこんなにも選べないのか。 虫ケラのように負けまくっても、 ごはんを作って食べて眠る。 愛する人はみんな死んでゆく。 それでも生きてゆかなくてはいけない。 吉本ばなな『キッチン』より引用 『キ

すべての食材に感謝を込めたい。

先日、大原扁理さんの 『年収90万円で東京ハッピーライフ』 の中で食事についても触れられていたことから、 小川糸さんの本を読みたい! という欲に駆られ、 ベストセラーの『食堂かたつむり』を 初めて読みました。 結論から先に述べると、 私にとってはかなりショッキングな内容で、 食材に心から感謝をして食べよう と強く感じた本でした。 ショッキングな愛豚の解体シーン食堂かたつむりは、 恋人、声、家など、 あらゆるものを失ってしまった主人公が ふるさとの田舎へ戻り料理屋を始め、

東野圭吾さん、食わず嫌いしててすみませんでした!

ミステリー小説って、 1冊あたり長そうだし、 登場人物死んじゃうし、 ダラダラ続きそうで嫌だな・・・ と思いながら、 購入した本が届くまでの間だけ 読んでみようと思い読んだ、 東野圭吾さんの『俺は非情勤』。 読んでびっくり。 1冊あたり長くないし、 (短編集だったから) 登場人物が死ぬけど、 想像していた グロテスクなものとは違い、 ダラダラ続かず、 爽快感たっぷり。 読んだことがないだけで、 ミステリーが苦手。 だから東野圭吾さんも 読まない。 そんな風に 食

『本当に大切なもの』と向き合える小説

もし、あなたが今ご結婚されていたり、 大切な家族がいたり、 お子さんをご妊娠されている場合は、 今すぐ手に取って欲しい1冊です。 小説は、主人公まりあが 全てを失って島へ行くところから 始まりました。 島では、 大切な人がいなくなってしまったのに、 その子の子供がお腹にいることが発覚。 お腹の子供と一緒に、 主人公まりあ自信が十月十日をかけ、 成長していく物語です。 「よく、女性は出産をすることで 人生をゼロに戻してリセットできる とか言われるけど、そうじゃないの。

なぜ本をゆっくり読むのでしょうか?

なぜあなたは本を ゆっくりと読むのでしょうか?  それは「一文字ずつ、 一行目から順番に 読み進まなければならない」 と思い込んでいるからです。 呉真由美『呉真由美流 脳を活性化する速読メソッド 情報処理速度100倍アップ』より引用 今朝読んだ本に、 このように書かれていました。 また、読み進めると、 ゆっくり読んでも早く読んでも 少し時間が経つと ほとんど忘れている、 とも書かれていました。 ほとんど忘れている どこかで、 聞いたことがありますね。 印南敦史さん

自己紹介がわりに・・・これまでに読んだ本全部載せます

noteを読んでくださり、 ありがとうございます! これをテーマに、 本のおもしろさが あなたに伝わることを夢見て 日々noteを書いています。 この記事では、 私がこれまで書いた書評 (というか読書感想文) をまとめています。 気になっている本があれば、 このショートカットキーで、 で気になる本のタイトルを 検索してみてください。 あなたの興味が広がるきっかけになれば とても嬉しいです。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ \更新中:読んだ本/1.急に売れ始めるにはワ

料理の美味しさと、毎日のありがたさを感じられる1冊

なんだかいとおしいほどだ。 この程度の、私。 (宮下奈都『太陽のパスタ、豆のスープ』より引用) 食べるのが大好きな私が、 作品名と綺麗な黄緑のブックカバーに 惹かれて買ってしまったこちらの1冊。 主人公の女性、あすわが、 人生最大の大波乱とも悲しい出来事から、 自分自身を『いとおしい』 と思えるようになるまでのストーリーです。 自分自身を『いとおしい』とは、 なかなか感じることができませんよね? 主人公のあすわも初めは、 いとおしくなんて思えるわけがない、 と思ってい