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いのちの星屑

ただ、どちらともいえないときは、どうするか。そういうときは腹を決め、エイッと一歩前に出る。そんなとき、決まって言い知れぬ興奮を覚えるもんだ。今思えば、小さい頃から父ちゃんにはいつも殴られ、突然押しかけてくる借金のとり立て屋からは胸倉を掴まれ、園長や副園長の体罰、暴言に比べたら、ヤンキーの戯言なんか盛りのついた猫の鳴き声ぐらいでしかない。
 なーんだぁ、こいつら大したことねえや。大方、不良に憧れている手合いだろう。キレそうになったら、いつも冷静沈着なヒロシが分け入ってくれた。すぐカッと頭に血が上ってしまう僕の性格をヒロシはよくわかっていた。ヒロシがいなかったら、僕はとっくに少年院送りになっていただろう。

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