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LayerXのPrivacyTech事業で、コンサルタント出身のキャリアがどう活きているのか

こんにちは。PrivacyTech事業部の畑島です。副責任者として事業開発やアライアンスなどのビジネスサイドを担当しています。

前職では野村総合研究所(NRI)で、システムソリューション部門に6年、システムコンサルティング部門に16年と、主にシステムコンサルタントとしてのキャリアを積んできました。金融機関や製造業のお客様を中心に、IT戦略やITマネジメント・ITガバナンスのコンサルティングに取り組んだ他、新事業・イノベーション創出にむけたコンサルティング・PoCなどが主なフィールドでした。

LayerXには2019年1月に参画し、ブロックチェーン関連のコンサルに取り組んだ後(たとえば2020年夏には次のような対談機会もいただきました)、現在のPrivacyTech事業部の前身となる組織に移り、今に至ります。

LayerXときくと、ゴリゴリのテック企業と思われるかもしれません。そこで、本稿では、NRI出身のコンサルタントが、どんなミッションのもとにどんな働き方をしているかについて、ご紹介したいと思います。

まず当PrivacyTech事業部のご紹介、業務の全体像、前職までの経験がどう活きるか、そして目下の課題意識と、この4点について順に記載しますので、興味を持たれたところからお読み頂けると幸いです。

PrivacyTech事業部とは

LayerXでは、個人情報保護とデータ利活用の両立を実現する最先端のプライバシー保護技術「Anonify(アノニファイ)」を用いたパーソナルデータ活用ソリューションの正式提供開始を、22年6月に発表しました。

そして、あいおいニッセイ同和損保さまとの間で、プライバシー保護技術「Anonify」を活用した自動車走行データの分析サービスの提供を7月から開始することも、発表させて頂いています。

どんな仕事をしているかの全体像

まず「個々のお客様との関係構築」について、そして「事業開発の全体を通した横串活動」について、みていきます。全体像としては、下図のようになっています。こうした構造は、コンサルタントとして育んできた経験が礎になっていますが、それぞれについてLayerXのPrivacyTech事業ならではのトピックも交えながら、ご紹介したいと思います。

現在のPrivacyTech事業部におけるビジネスサイドのお仕事全体像

(1) 個々のお客様との関係構築

個々のお客様との関係構築は、「初回コンタクト」から始まり、「お取り組みの企画・ご提案」へと進めた上で、「お取り組みの実行」という流れで進めています。

(1-1) お客様への初回コンタクト

まず「初回コンタクト」は、Anonifyのウェブサイトのお問い合わせフォームから、インバウンドでお問い合わせをいただくこともありますが、弊社からコンタクトのきっかけを作ることが多いです。

今のAnonifyは、エンタープライズ企業をはじめとした大手のお客様によるデータの外部提供と、それを通じた様々な切り口による分析を、個人を識別・特定できることがないようなプライバシー保護との両立をご支援するプロダクトになっています。

そうしたエンタープライズ企業との接点を持つこと自体が、弊社のようにPrivacyTech事業のようにまだ何もなしていないスタートアップのチームにとって本来はとても難しいことのはずです。加えて、とはいえ、多くの部門から構成されるエンタープライズ企業において、データの外部提供に取り組もうとしている、或いは、すでに取り組んでいる部門にアプローチすることは、さらにハードルの高いものになります。

幸いなことに、祖業であるブロックチェーン事業時代のご縁や、パートナー企業さまからのご紹介、弊社経営陣からの紹介などを通じて、ご縁を多くもつことができているのは、とても有難いことだと思っています。さらに最近では、PrivacyTech事業としてウェビナーも開催しているので、ウェビナーへのご参加を通じて、コンタクトのきっかけを作ることもできるようになってきました。

(1-2) お取り組みの企画・ご提案

初回コンタクトのあと、継続してお客様とのやりとりを行う中で、協業のお取り組みにむけた企画立案を進めていきます。

PrivacyTech事業は、プライバシー保護技術という新しいトピックを扱っていることから、必ずしも初回コンタクトだけで、弊社のソリューションの価値が伝わるとは限りません。そのため、お客様に弊社のソリューションや技術について知っていただくだけでなく、お客様のお取り組み(既存のデータビジネスにおける課題、今後の分析ユースケースなど)について深く知るための意見交換・デモンストレーションなどを行いながら、協業にむけた企画を練り上げます。

データビジネスや、データの外部提供にむけたプライバシーとの両立にむけた将来像について、 お客様自身も明確な像を描くことが難しい中、われわれPrivacyTech事業では、お客様のユースケースに寄り添いながら、将来像を描くご支援ができればと考えています。

そのため、例をあげると、初回の取り組みでは、お客様のデータやユースケースをもとに、弊社のプロダクトであるAnonifyのプライバシー保護技術を使った仮説検証をスピード感をもって行うことを通じて、「どこまでであればどのようなデータを提供できるのか」を明らかにすることによって、お客様による判断を可能とできるように努めるようにしています(※この記事執筆時点での1つの例です。 前述のとおり、ストーリーの型を日々アップデートしていますので、お客様の課題や弊社プロダクトの練度に応じて、初回取り組みの内容やバリエーションは、日々アップデートされます)。

(1-3) お取り組みの実行

取り組みがスタートすると、プロジェクトマネージャーとして、キックオフ、定例会議にむけた準備や定例のファシリテーションやお客様の事後フォロー、そして成果物とりまとめなどを推進していきます。

また、PrivacyTech事業では、お客様との協業の取り組みが、お客様のデータやユースケースに照らして、Anonifyを用いてプライバシー保護を行ったデータについて、分析上の有用性を検証するといった、いわば「データ分析」プロジェクトであったり、「プロダクトのカスタマイズ開発」プロジェクトであったりという色彩を帯びる中にあって、社内プロジェクトの推進にスクラム開発を取り入れています。

このスクラム開発においては、PO(プロダクトオーナー)としての、データ分析をお客様視点でしっかり価値を発揮しているか、価値を発揮するためにはどのような取り組みが必要かをデザインしていくことも、大事な役割になっています。

そして、お客様とのお取り組みは一度きりのものではなく、継続して価値を生み出していくことに意義があると考えており、継続的なお取り組みにむけた企画立案・提案といった活動もあわせて取り組んでいきますので、まさに複数の役割を演じながら、お客様とのお取り組みの実行にあたっています。

(2) 事業開発の全体を通した横串活動

個々のお客様との関係構築を進める一方で、「動向把握」「全体の戦略検討」および「コンテンツ開発」といった、横串をとおす活動も行っています。

(2-1) 動向把握

データ利活用とプライバシー保護の両立をめぐっては、法制度をめぐる動きも日進月歩であるほか、プライバシーをめぐる世論としても、国内外で日々新たなトピックが生まれています。 お客様に価値提供していく上で、こうした動向を適切に把握し、先回りしてソリューション開発につなげるべく、情報収集に努めています。

たとえば、毎日の「朝刊」として社内slackに、最新のトピックを配信するほか、週次では、その週の国内外のプライバシーやデータ利活用の最前線トピックスについて社内勉強会を行った上で、 その内容を、ニュースレターとして無料配信する取り組みを、長らく続けています(2019年に開始以来、160号を超え、購読者さまは2900名以上を数えます。3000名購読まであと一歩です。こちらから記事をご覧いただけます

(2-2) 戦略検討

事業開発の全体を横断した活動としては、お客様の年次の動き(予算策定や人事異動など)を踏まえた計画や、各種取り組み案件と社内リソースの最適化調整もさることながら、スタートアップとして限られた人的リソース、バーンレートがある中で時間的制約も抱えた中で、お客様への価値貢献を最大化していく必要があります。

そのため、週1度のタイミングで、全体の取り組みを俯瞰する場を設け、前述の動向把握トピックも踏まえながら、「どの分野を優先して開拓していくべきか」「最近のコンタクトを通じてみえたお客様課題にはどういう傾向・パターンがあるのか」などを議論した上で、活動方針のアップデートをはかっています。

(2-3) コンテンツ開発

PrivacyTech事業として、お客様とのご縁づくりを図っていく上では、過去のご縁を生かしたり、パートナー企業を始めとする各方面からのご紹介を仰ぐといった取り組みに加えて、オーガニックにご縁を育んでいく取り組みを進めていく必要があります。

そのため、この6月に、本格サービス提供開始のプレスリリースを発表させていただいたタイミングで、あわせて、PrivacyTech事業の取り組みの全貌をまとめたホワイトペーパーを発表させて頂いたほか、この取り組みをわかりやすくご紹介するウェビナーを開催させていただきました。今後も、こうしたウェビナー開催や、コンテンツの発表を、継続していく予定です。

前職までの経験を踏まえて

前職でコンサルタントとして経験を積んできて、そしてお客様先へ常駐・出向するなどエンタープライズ企業における仕事も見てきた中で、LayerXというスタートアップにおけるPrivacyTech事業立ち上げの経験は、日々新たな気づきと学びの連続です。

ブロックチェーン事業で得た知見を足掛かりとして、Anonifyを立ち上げた後、昨年度はインターネット投票における協業の機会やJCBさまとのコンセプトペーパー発表といった機会に恵まれました。その後さらに、現在のように、データの外部提供における柔軟な分析とプライバシー保護の両立へと、価値提供のあり方を絞り込むなど、事業フェーズがさらに進化しました。

こうした背景には、LayerXの持つ「振り返り」の文化があると思います。施策を打ったあと・月次のKPT・スプリントごとのレトロスペクティブ・週次の定例、さらには日々の朝会・夕会であったりと様々なタイミングでの振り返りを通じて、軌道修正や改善を試みています。

さらには、こうした場が、Bizとエンジニアとで渾然一体となって行われます。PrivacyTech事業においてエンジニアの果たしている役割は、R&D・プロダクト開発・プライバシーエンジニアリングなど、多岐にわたります。Bizとエンジニアが、お客様のユースケース、データ、プライバシーリスク、解きたい課題といった「コト」に対して、愚直かつ真摯に向き合いながら、検証の進め方・営業アプローチなどを「型」として固めつつも、その「型」すらも日々アップデートされていく。前職やエンタープライズ企業における自身の経験と照らしてみると、そうした中で生まれるスピード感やダイナミズムが、LayerXの大きな強みだろうと思います。

それだけに、PrivacyTech事業のBizに求められるものは、前述のように様々な役割がある中で、スキル面でも、顧客ドメイン知識や法制度面、プライバシー保護技術、さらには統計やデータ分析などと、多岐にわたりますが、このように個人としてもアップデートが日々求められていく環境も、LayerXのPrivacyTech事業でBizとして働くことのメリットだと感じています。

これから取り組まねばならないこと(絶賛採用中)

このように、目の前のお客様に対してしっかりと価値を創出してお役立ちすることにフォーカスしながら、併せて新たなお客様とのご縁を育んでいくといった取り組みを、現在、当方ふくめ数名の専任メンバーで動かしています。

時には営業として、或いはコンサルタントとして、さらにはPO(プロダクトオーナー)としてと、いくつもの役割を同時並行的に演じているような毎日です。これらを深く・そして広く取り組んでいく上では、本来やるべきこと・やりたいことのわずかしか出来ていないのが現状です。

一方で、ソリューションの正式提供開始や、あいおいニッセイ同和損保さまとの協業事例などの発表を通じて、多くのお客様が抱えておられる「眠れるデータ」を新たな事業や成果に結びつけるためのイネーブラーとしての貢献に、ますます手応えを感じ始めています。

より多くのお客様にお届けしていく上では、企画立案・仮説構築・提案 そして 協業を通じた価値創出につなげるプロジェクトマネージャーの体制強化が欠かせません。

さらに、今後のPrivacyTech事業は日々プロダクト化を進めていますので、よりプロダクトを通じた価値創出・事業創造へと歩みを進めていくことが想定されます。プロダクトやデータビジネスなどを意識したビジネス開発への打ち手を講じていくことに加えて、エンタープライズ向けセールスに関するプロセスや手法の高度化なども進めていかなくてはいけません。

このように、適切なプライバシー保護でデータ活用しながらよりよい社会を目指す上で、お客さまとともにデータの特性やその活用目的を理解しながら、新たな事業の提案や推進を行っていただけるプロジェクトマネージャーの方を若干名、募集しています。

この記事を通じて、テクノロジードリブン・研究開発型の事業開発や、データ分析・機械学習関連をはじめとするコンサルティングやソリューション営業でのキャリアを活かす場として、LayerXのPrivacyTech事業に興味を持っていただけたとすれば、大変幸いです。


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