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諸行無常だからこそ|谷口賢志note

先日、ある大型書店に行った。

特に目的があった訳ではなく、逆にその目的が見つかったら幸運ですね、ぐらいの気持ちだった。

そしてそれは見つかった。

お洒落な店内、かなり広い面積を使用して、映画DVDのセールをしていた。

時代を感じた。

とにかく演技が上手くなりたくて、知りたくて、方法もわからなかったから、レンタルショップのサービスデーには必ず駆け込んで大量にDVDを借りて、どうにか期限以内に観て返却する生活をしていた身としては僅かに淋しさも感じた。

棚をよく見ると、監督別に作品が並んでいて(これにも懐かしさを感じた)、そこは巨匠たちの名作コーナーだった。

そして、「あれ、、、これ観てないな、、、」と言うか、知ってるフリして生きてきた作品が並んでいた。

もしかするとNetflixやAmazon primeで観れるのかも知れないけど、これは何かの巡り合わせだと啓示を受け、時間をかけ三作品を選び取った。ふと振り返ると、微笑んだ初老の男性スタッフさんがいつの間にか立っていて、「レジですか?」と丁寧に案内してくれた。

そして会計終了後、「ゴダール、リンチ、小津、、、素晴らしい時間を、過ごしてくださいね」と、優しい笑顔で初老スタッフさんがDVDを手渡してくれた。「私も映画大好きなんです」と。

いやいや今が素晴らしい時間です。!とは言えなかったが、その素敵な瞬間を味わえただけでも、書店に足を運んだ奇跡があった。

やはり人と人だ。

谷口賢志


映画『文豪ストレイドッグス BEAST』

谷口賢志FC『独演会』

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