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2021年夏の甲子園 大会ベストナイン

2年ぶりに行われた夏の甲子園は、智辯和歌山が智辯学園との史上初の兄弟校対決となった決勝を制して、21年ぶり3度目の全国制覇を果たしました。今回は甲子園に出場した選手の中から、大会ベストナインを選出します。ポジションは左右の2投手と8人の野手で計10人。個人的な好みが入りますが、悪しからずご了承ください。

右投手:中西 聖輝(智辯和歌山)

優勝投手となった智辯和歌山・中西を選出した。4番の徳丸とともに智辯和歌山を引っ張る大黒柱。今大会は全4試合中3試合に登板、23回2/3を投げて防御率0.38と素晴らしいパフォーマンスを見せた。智辯和歌山の2番手以降の投手の奮闘も光り、地方大会から通じて中西の負担を減らせたことも大きかった。

右投手と言えば、明桜・風間に注目が集まった今大会。ノーゲームとなった帯広農戦との初戦こそ圧倒的な投球を見せたが、その後の帯広農との再試合、2回戦の明徳義塾戦では徹底的に研究され、思い通りの投球とはいかなかった。ポテンシャルはナンバーワンなだけに、次のステージでの活躍に期待したい。ほかにも、専大松戸・深沢はサイドスローからベース板を広く使う投球で、春準Vの明豊を幻惑した。智辯学園・小畠は内角への制球が見事。準決勝ではバットでも活躍した。盛岡大付・渡辺は2回戦の沖縄尚学戦で8回2死まで完全投球で1安打完封。打撃が注目されるチームの中で投球レベルの高さを見せた。

左投手:バデルナ フェルガス(日本航空)

京都国際・森下とかなり悩んだが、森下はまだ2年生。来年の伸びしろに期待して、今大会では日本航空・バデルナを選んだ。身長188センチの長い腕でサイド気味のアングルから繰り出される直球は角度抜群。右打者へはチェンジアップ、左打者へはスライダーを使ったコンビネーションで的を絞らせなかった。地方大会はすべて継投で勝ち上がってきた日本航空。もちろんバデルナも完投なしの地方大会だったが、甲子園でバデルナは1回戦で完封勝利、2回戦でも3失点完投と、まさに甲子園で成長した投手と言えよう。

二松學舍大付・秋山は小柄ながら直球の威力十分。初戦の西日本短大付戦では完封勝利を挙げた。智辯学園・西村は準々決勝まで素晴らしい投球をしていただけに、決勝での初回炎上が悔やまれる。明徳義塾・代木吉村両左腕の継投策も見事だった。代木はバッティングでも非凡さを見せつけた。北海・木村大阪桐蔭・松浦のプロ注目左腕は早期敗退してしまったものの、両者その片鱗は確かに感じることができた。

捕手:中川 勇斗(京都国際)

このベストナインを選定するにあたって最も悩まないポジションだった。打撃・守備ともに京都国際・中川が今大会ナンバーワン捕手だろう。森下と平野といった2人の2年生投手を強気にリード。フレーミングの技術も抜きんでていた。2試合連続本塁打を放ったバッティングも素晴らしかった。

次点は神戸国際大付・西川。3回戦長崎商戦では本塁打に逆転サヨナラ打、準々決勝近江戦でも本塁打を放つ大活躍だった。智辯学園・植垣は初戦であごに死球を受けて骨折しながらも決勝まで出場し続けた。新田・小和田は4番で主将を務めるチームの大黒柱。パワフルな打撃に加えて2回戦日本航空戦ではマウンドでも好投した。同じく4番で主将の浦和学院・吉田瑞は3長打を放つ打撃力の持ち主。自身が最後の打者となって初戦敗退したが、重責をまっとうした。

一塁手:金子 京介(盛岡大付)

岩手大会で5試合連続本塁打を放ち、甲子園でもパワフルな打撃を見せた盛岡大付・金子を選出。1回戦鹿島学園戦では3安打猛打賞、2回戦沖縄尚学戦でも1安打したが、3回戦近江戦では4三振を喫してチームも敗北。しかしチームのベスト16入りへの貢献度を評価して選出した。

そのほか智辯学園・垪和近江・新野などが活躍を見せたが、やや人材難に感じた今大会の一塁手であった。

二塁手:大可 尭明(広島新庄)

チームは初戦敗退となったが、ダイビングキャッチからの華麗な併殺を決め、打撃では2安打と輝きを放った広島新庄・大可を選出。相手の横浜の1年生緒方の逆転サヨナラスリーランに涙をのんだが、もっと活躍を見たい選手であった。

専大松戸・石井は初戦の明豊戦で重盗とスクイズを決め、センスの高さを感じさせた。高松商・末浪は好守が光っていた。しかしながら、一塁手同様に決め手に欠けたポジションであった。

三塁手:立石 正広(高川学園)

ナイター試合で特大弾を放った高川学園・立石を選出。雨の影響で第1試合の開始が約3時間遅れ、第4試合の高川学園の試合は19:10開始、21:40終了はいずれも史上最も遅い時刻だった。そんななかでも立石は集中力を切らさず、ツーランとタイムリー三塁打の2長打で3打点。チームの甲子園初勝利に大きく貢献した。

インパクトの大きさで立石を選んだが、活躍度で言えば優勝した智辯和歌山・高嶋が勝る。高嶋仁前監督の孫は、準々決勝石見智翠館戦で見事な一発。大会を通じて恐怖の7番打者として相手の脅威となった。準優勝の智辯学園・山下もさすがの活躍。小坂監督は相手によって打順を毎試合変更していたが、山下だけは全試合通して4番に座った。近江・井口はノーゲームとなった日大東北戦で幻の本塁打。その後も鮮やかなセンター返しのバッティングが光っていた・

遊撃手:岡島 光星(智辯学園)

3番や1番に座り、チームの好守の中心だった智辯学園・岡島。準々決勝明徳義塾戦ではつまりながらもしぶとくサヨナラ打ち、チームをさらに加速させた。最終的には前川、森田に次ぐチーム2位の9安打を記録した。3失策した守備に課題は残るが、動きは軽快。今後の活躍にも期待がかかる。

岡島と最後まで悩んだのが横浜・緒方。史上初となる1年生でのサヨナラ本塁打を初戦で放ち、鮮烈な甲子園デビューを飾った。守備力も今大会ナンバーワンといって差し支えないレベルだったが、1年生ということで今後の伸びしろに期待して、3年生に花をもたせた。神戸国際大付・山里は北海のプロ注目左腕木村から3本の二塁打を放ち、打撃センスが高い。帯広農・佐伯はこちらもプロ注目の明桜・風間から2安打を放った。

左翼手:前川 右京(智辯学園)

左翼は文句なしの活躍を見せた智辯学園・前川。.455のチームトップの打率に加え、2本塁打7打点はいずれも今大会トップ。特に2回戦横浜戦で、ノースリーから振りぬいてバックスクリーンへ叩き込んだ一発は圧巻だった。プロ注目スラッガーの名に恥じないパフォーマンスを見せてくれた。

同じ左翼手では、明徳義塾・森松を忘れてはいけない。初戦県岐阜商戦ではサヨナラ打、2回戦明桜戦では風間から決勝打を放つなど、勝負強さは随一。盛岡大付・平内は初戦鹿島学園戦で先制のスリーラン本塁打。3番金子、4番小針、5番平内のクリーンナップトリオは威圧感十分だった。

中堅手:宮坂 厚希(智辯和歌山)

捕手の中川に次いで即決したのが中堅手の智辯和歌山・宮坂。優勝チームの1番打者として20打数10安打、打率.500。決勝戦でも初回に二塁打を放ってチームを優勝へと加速させた。そのヒットメーカーぶりは智辯和歌山に臨時コーチしたイチロー氏を彷彿させるものだった。

次点は新田・長谷川。バデルナからの2安打を含む、2試合で5安打した核弾頭だ。守備では1回戦静岡戦で左中間の飛球を好捕すると、飛び出していた一塁走者を刺す大ファインプレー。同点に追いつかれた嫌な雰囲気を断ち切り、チームの初戦突破へ流れを呼び込んだ。日本航空・エドポロはセンターから圧巻のレーザービームで補殺を決め、身体能力の高さを見せつけた。

右翼手:浅野 翔吾(高松商)

右翼手にはこのベストナイン唯一の2年生である高松商・浅野を選出。バントをしない強打の2番打者は、3回戦智辯和歌山戦で見事な本塁打。チームは追い上げ及ばず敗れたものの、そのフルスイングはぜひまた甲子園で見てみたいと思う。

1年生から4番に座り続けてきた智辯和歌山・徳丸は、今大会は本調子でなかったものの、その重責を果たして優勝に貢献した。盛岡大付・小針は全試合で4番に座り、2回戦沖縄尚学戦では本塁打を含む3安打猛打賞。長崎商・松井は3試合で7打数4安打の好成績。チームのベスト16入りの原動力となった。

ベストオーダー

1 中 宮坂(智辯和歌山)

2 右 浅野(高松商)

3 左 前川(智辯学園)

4 捕 中川(京都国際)

5 三 立石(高川学園)

6 遊 岡島(智辯学園)

7 一 金子(盛岡大付)

8 ニ 大可(広島新庄)

9 投 中西(智辯和歌山) or バデルナ(日本航空)

最後に、今回のベストナインで打線を組んでみました。出塁能力の高い1番宮坂から始まり、2番浅野から5番立石まではバント不要のフルスイング打線。6番の岡島と8番の大可には重量打線の潤滑油的存在として小技にも期待したい。
今年は開催がなかったU18の野球大会があれば、こんな夢のオーダーが見れたかもしれません。各選手の今後の活躍に期待しています!

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