見出し画像

後日談と今後の旅、それから記録

【11/29】旅日記の最終日を加筆修正したので、そちらを読んでからお読みください。

後日談

旅を終えて、東京には戻らず大阪の実家に電車で帰った。
二十日ぶりの電車だったが、やはり何も思わなかった。

76歳になる母は、私が歩いてお伊勢参りしてきた事に「凄いな」とだけ言ったが、あまりすごいと思っていなさそうだった。
それよりも、私の右足の親指の爪が内出血で色が変わっているのを見て、
「私とおんなじ色や」
と喜んでいた。
まぁ、そんなもんだと思う。

夜十時頃に寝て、翌日は昼十一時頃に起きる。
やっぱり疲れが溜まっていたんだな、と思いつつリンゴを食べる。
「旅日記書かなきゃ」とiPad開いたら強烈な眠気。
3時くらいから夜の7時まで寝た。
こんなに寝たら夜眠れないな、と思いながら旅日記を書いて、風呂に入ったら強烈な眠気。
夜10時頃に寝て朝6時に起きた。
寝過ぎ。
起きていた時間7時間。
やはり身体の深いところに疲れが溜まっていたのだと思う。

実家に帰ってきて三日目。
ダラダラと布団の上で『この旅について』を考えてみた。

どうして達成感がなかったのか。
最後の一箇所を回れなかったから?
いやそうじゃない。
ならばもっと悔しいはず。
そうじゃなくて、恐らく旅が充実していたからだと思う。
毎日旅日記を書いて、毎日いろんな物を見て、毎日稽古して、毎日応援をしてもらって、辛かったけど、宿に着いて皆さんからのコメントを返してる内に辛さがリセットされたから達成感がなかったのだろう。
これがもっと過酷な旅で、旅日記も書かずに怪我の痛みに耐えながら何も見ずに黙々と歩く旅だったら達成感はあったかもしれない。
得るものは少なそうだが。

それから、御利益はなかったのだろうか?
最終日だけ雨が降って、一箇所回れなくて、観光もできなくて、帰りの電車でもいろいろあって、実家に帰るまで小っちゃい嫌なことがたくさんあって、その都度「御利益ねぇな」と思っていたのだけれども、本当にそうなのだろうか。
いや、そうじゃない。
仮に、もし最後まで雨が降らなくて、全部の神様に参拝できて、赤福食べて、「あー楽しかった」で帰ってきたら、人に話せるエピソードにならなかったと思う。
思い出に残らなかったと思うのだ。

雨に打たれて、寒さに耐えながら、薄暗い内宮を回って、でも最後まで回れなくて、加えて観光もできなかった──という方が噺家っぽいし思い出に残る気がするので、むしろこれはご利益があったんじゃないだろうか。

──まぁ、ただのポジティブシンキングと言ったらそうなのだけど、そう思うと色々と腑に落ちた。
文字通り、雨降って地固まる。
この旅は死ぬまで覚えている自信がある。

また、この旅を通じて色々な師匠や兄さんが声をかけてくれた。
私はあまり話しかけられるタイプではないので0→1になったのは大きい。
X、インスタ、noteのフォロワーも大きく増えた。
また独演会『土産噺』は満員御礼。
特に何の成果も上げていない二ツ目の独演会にしては上出来。
これらは御利益というよりは旅の成果だけど、旅で得たもの、変わったことは沢山ある。
やって得しかない。
挑戦して良かった。

今後の旅

東京に帰ってきてよく言われるのが、

「次はお遍路参りを」
「来年は中山道を通ってお伊勢参りを」

というの。
いやいや、金銭面と時間の都合でできない。
あと、あまり話題にならないだろう。
まぁ、言ってきた方も本気じゃないと思うが。

しかしながら私は、

落語協会のプロフィールに『趣味:旅』と書いた男だ。(適当に書いた)
せっかく少しだけ旅のイメージがついたので、このまま『旅と言ったら黒酒』となるようにしていきたい。
なので旅は定期的に続けていこうと思う。

お伊勢参り中に考えた企画がある。
それが『増補旅日記』。
旅の途中、時間の都合で回れなかった場所、身体のことを考えて回れなかった場所、あえて回らなかった場所がある。

まず一つ目が静岡県清水区。
ちびまる子ちゃんランド→清水次郎長所縁の場所→三保松原→神の道→御穂神社というコース。
完全に東海道から外れる寄り道。
時間が無くて回れなかったが是非見たい。
で、美保の松原が舞台の【羽衣の松】を是非演りたい。
志ん生師匠好きだし。

次が静岡県の宇津ノ谷峠。
薩埵峠を越えた時に膝がピリッときたので、身体のことを考えて避けた場所。
丸子宿→とろろ汁→御羽織屋→大正のトンネル→古い街並み→蔦の細道→岡部宿というコース。
ここを見て回りたい。

そして最後が七里の渡し。
東海道の旅といったら、この七里の渡し利用しないと嘘だろう。
『七里の渡しクルーズ』というのがあるのを知って、いつか乗る時のために宮宿と桑名宿の七里の渡しは見ないでとっておいた。
熱田神宮→宮宿七里の渡し→船で桑名宿→はまぐりを食べる→長島温泉のコース。
船は年に数回しか出ていないが、なんとか実家に帰るタイミングを合わせて乗りたい。

この3つが『増補旅日記』。
新幹線で近くまで行って、徒歩で見て回ろうと思っている。

他には実際に大山詣りを体験したり、渡し船体験、あとは蕎麦打ちとか乗馬(旅なのか?)もやってみたい。
先日失敗した黄金餅の道中付けも実際に歩こうかな。
旅好きな方、お楽しみに。

旅の記録

最後に今回の旅のデータを載せておく。

黒酒落語会『土産噺』で配布した物。

歩いた距離は約575km。
一番最初に書いた旅のしおりでは『450kmを歩く』と書いたが、450kmは東海道を歩かない最短ルート。
東海道を歩いてお伊勢参りをすると約500kmなので、東海道を歩いた今回の旅は75km寄り道をしたことになる。

15〜20日で踏破するという目標を立てた。
20日目でお伊勢参りを終えたので目標達成。

費用は15万以内を目指したが、約16万5000円かかった。
挑戦失敗。
「スーパー銭湯に入り過ぎ」との声もあるが、風呂で足のケアをしないと足が硬くなって歩幅も狭くなる。
なので必要経費。
しかし15万円以内は不可能ではなかった。

乗り物に乗らない、野宿はしない、という目標も達成。
不思議と「乗り物に乗りたい」とはちっとも思わなかった。

体重80キロ台を目指し、結果88.75kg。
なので無事達成。
しかし20日で−5kgは、歩いて健康的に痩せたとはいえ病的な痩せ方。

道中、落語を二、三席覚える、という目標を立てたが、黄金餅一席しか覚えられず。
挑戦失敗。
しかもその黄金餅もガタガタという。

毎日写真を5枚以上撮る、という目標も達成。
20日間で1100枚くらい。
旅日記に載せてないものがたくさんある。

noteを可能な限り更新する、という目標も達成。
毎日更新できるとは思わなかった。

『無理せず楽しく』を心掛けるという目標は……まぁ、無理しちゃったかな。

以上です。
お付き合いありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?