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三幕ではなく、4ボックス

第2回かぐやSFコンテストと、星々ワークショップ第六回に、掌編を書いて提出したんだけど、なんかしっくりこなかった。星々ワークショップ第五回が会心の一撃だったので、特にしっくりこない。

創作の過程で「自分のメンタルモデルと作業における構成単位が合っていない」のだと思い当たった。

物語を書くとき、私は、すごくざっくりしたところから、だんだん解像度を上げていく。そして解像度のレイヤーごとに(時間のあるときは)検証や修正をする。このときに、三幕八場を基本的な構成単位にしている。

最初はログラインから始める。

タイタンから疎開してきた人類と、地球人では可視領域が違う。それが原因で差別やダサい平等の押し付けが起こる。主人公は技術でそれを解消しようとする。

で、三幕(アクト)→八場(シーケンス)→シーン→ビートに分解していく。八場に分解していったときは、こんな感じ。

設定 : ナオミはひきこもりで、親がタイタニアンのボランティアをしている
決意 : スマホカメラで赤領域を補正した世界を見せ、気にかけるようになる。
行動 : 弾はナオミに質問するようになり
進展 : 能力を上げる
喪失 : 弾は紫外線が見えることが問題となり、能力を発揮させない方向で平等を強いられる。
準備 : ナオミはVRゴーグルに人間側への補正をかけるアプリを作る
対決 : VRゴーグルがうまくいき、平等を確信する
結末 : 弾は卒業してVRゴーグルは不要になる。でもこれを届けたいと思う。

三幕と八場、とくに三幕の粒度が、私の直感と合わない。だから途中でどっかにいってしまう。履歴をたどれば残ってるかも知れないけど、探すのも面倒なので、このままいこう。

三幕構成の第二幕において、前半で物語が進展していき、後半で大きな困難に遭遇する、みたいに説明されることが多い。いろいろ役割はあるにせよ、前半と後半は明確に役割があるように説明されている、と思う。そして、多くの物語で、たしかにそのようになっている。

じゃあ、構成物の粒度としては、四幕なんじゃないの?

いや常識なのかも知れないし、どうでもいいことなのかも知れないけど、同じレイヤーで検証するなら、粒度を揃えたいと思うのですよ私は。勝手に揃えればいいわけだけど。

ラリー・ブルックスの「工学的ストーリー創作入門」を読み返していると、4つのボックスで考えよう、三幕構成でいうところの、一幕、二幕前半、二幕後半、三幕だよ、と書かれている。ああ、そうっすよね、ブルックスさん。やっぱり、そこは同じレイヤーにしたいよね。原題が「Story Engineering」っていうだけのことがある。

単に呼び方の問題なんだけど、なんで今まで気づかなかったのかと悔やむ。呼び方に引きずられて、解像度のレイヤーを間違えていた。

というわけで、これからログラインのつぎのレイヤーは、4つでいこうと思う。

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