【2020/5/14】放課後等デイサービスで働いた経験

※海、島、旅のことを書いていきたい!と宣言したにもかかわらず、いきなり別テーマですみません。最近あった出来事なので、どうしても書き留めておきたくて書きました。

今年2月末__________________
前職を退職して、これからマリンスポーツショップのスタッフとして頑張るぞ!と思っていた矢先にやってきたのが、新型コロナウイルスだ。
不況の渦の中、この状態での正式雇用はできないと雇用主に言い放たれ、私は途方に暮れていた。

働かなければ、生きていけない。何か仕事はないかと探した末、知人が紹介してくれたのは、身体・発達・精神などの障害を持った小学生から高校生の子ども達が、放課後や長期休暇に集まる施設、「放課後等デイサービス」のスタッフだった。
だが私は、保育や介護の資格を持っていない。ましてやこれまでの25年の人生で、障害を持った方と接する機会がほとんどなかった。
私で大丈夫だろうか……。
大きな不安に包まれながらも、全国の小中学校が休校になり、対応に追われ人手不足であった施設が大変そうで、少しの間ではあったが働かせてもらうことにした。

初めて子ども達と出会った日_______
初めて見る世界に衝撃を受けたというのが本音だ。
独自の合言葉があり、いつも決まった言葉で返してあげないとかんしゃくを起してしまう自閉症の子。
こだわりが強く、絶対に自分の意見を曲げないダウン症の子。
笑っている、楽しいのかな?と思ったら、それが笑い発作で危険な状態だったてんかんの子。
……いろいろな子がいた。
今までの生活では、困った時はとりあえず笑っておけばいいみたいな考えがあった。それで流して済んできたから。
でもここではそうはいかない。笑っているだけではごまかせない。
初日はただ子ども達を眺めていただけで、そんな自分が不甲斐なかった。

でも、毎日子ども達と会って接していると見えてくる物があった。
私は自閉症、ダウン症、発達障害など障害に関しての専門的な事はほとんどわからない。
だからといって、施設にいた子ども達の事が何もわからないのかと言ったらそれは違う。
確かに万が一の時のためにも、専門的な知識は絶対に持ち合わせておくべきだろう。
でも“障害を持っている子”として接するより先に、一人の人間として心と心で向き合う事がまず第一だ。
ダメだと決められている事や危険な事、誰かを傷つける事をしてしまった時はちゃんと叱る。
でも、できなかった事ができた時や、思いやりのある行動ができた時はもう褒めちぎる!
それは障害を持っている、持っていない、子供、大人に関わらず、みんな一緒なのだ。
これは子ども達が教えてくれた事だ。

印象的だった出来事がある。
ある男の子(A君)と話している時に、「A君の癖は何?」と尋ねた事があった。
するとA君は「僕の癖は、多動とチック!(多動性障害とチック症)」と言った。
驚いた。今まで私は、“癖”とはよくやってしまう言動と捉えていた。でもA君の中の“癖”の認識は、私が思う“障害”であった。確かに“障害”を持っていてもそれはその人が持つ個性であって、“癖”となんら変わらないのではないか。私にも“癖”はある。それだって個性だ。
“障害”という言葉だとなんだか重たいが、“癖”と言い換えればA君の心のような優しい世界に包まれる気がした。
ここでもまた、子どもから教えられてしまった。

最後に__________________________

緊急事態宣言が発令され、施設の子ども達に入所制限がかかり、私のアルバイトの役目も終わった。
放課後デイサービスの子ども達は変化を嫌う子が多い。施設に来て家族以外の人との交流があることで、心のバランスが取れていた子もたくさんいるはずだ。そういった子たちが、この生活で今まで築き上げてきた物を失ってしまわないかが心配だ。
また、子ども達を毎日そばで支えているご家族も、計り知れない苦労があると思う。

一刻も早く収束して、元の生活に戻れますように。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?