ロックバンドであるCreepy Nutsへの不満
ロックフェスでのCreepy Nuts
2017年2月リリースの「助演男優賞」で、蕎麦屋のカツ丼、ダークナイトのジョーカーらと並んで「時として主役を喰っちまう」「ロックフェスでのクリーピーナッツ」と自分たちのことをプレゼンしていました。
リリースから7年経った今もCreepy Nutsはロックフェスに出演し続けており、今年(2024年)もロックインジャパン(千葉とひたちなか)、サマーソニック、スウィートラブシャワーへの出演が決まっています。
常連になってしまったCreepy Nutsの出演が各フェスからアナウンスされてもインパクトはありません。
ラップフェスに呼ばれないCreepy Nuts
その一方で「POP YOURS」、「THE HOPE」といったラッパー中心のフェスにCreepy Nutsは呼ばれません(今年、「ラップスタア」(Abema)から派生した「STARS」にラインナップされましたが、それは審査員枠としての出演です)。
ラップ代表としてロックフェスに乗り込んでいったCreepy Nutsですが、ロックフェスの常連になった途端、ラップのフェスに呼ばれないのは何とも皮肉なことです。
Creepy Nutsはなぜ、ラップのフェスに呼ばれないのでしょうか?
ヒップホップのマナー
他のラッパーがしていて、Creepy Nutsがしていないこと。
それは、客演で他のラッパーを呼ぶこと。
ヒップホップには、フックアップという習慣があります。
もともとは有名なラッパーが無名の新人を自分の曲に客演させて無名の新人を世に紹介する、という意味でした。
今は自分よりキャリアのある人が客演することも多々あるから、「フックアップ」という言葉で済ませると語弊を産むようになりました。
誰かが作品をリリースすると聞けば、トラックリストを見て、客演のメンツにワクワクします。
直近でいうと、LEX「力をくれfeat. ¥ellow Bucks」やBIM「DNA feat. Kohjiya,PUNPEE」のように。
普段、個人で活動しているからこそ、作品にケミストリーを産むために、客演を必要とするのでしょう。
誰かを客演に呼ぶことで「この人とつながりがあるのか!」とヘッズはワクワクするのです。
他のラッパーを呼んで、客演の曲をセットリストに組み込むのはキャパの大きい公演でないとできないことです(ZORNのここ数年のワンマン、Awichの横浜アリーナ、BAD HOPの東京ドーム、、、)。
費用やスケジュールの問題に一括で正解を出したのが、ラップフェス。「POP YOURS」や「THE HOPE」で客演含め複数のステージに出演していることも話題になります。
ラップフェスには、ゲスト出演するクラブでのイベントと異なり、客演している曲もやるかもしれない、という期待が寄せられます。
Creepy Nutsはロックバンドである
Creepy Nutsの場合はどうでしょうか?
そもそも、Creepy Nutsの曲に客演したのは誰がいるでしょうか?
菅田将暉(「サントラ」、「日曜日よりの使者」)と幾多りら(「ばかまじめ」)の2人で、いずれもラッパーではありません。
誰かにフックアップされ、誰かをフックアップすることでヒップホップの精神がリレーされ、歴史となっていきます。
日本のヒップホップの紡ぐ精神のリレーにCreepy Nutsは関与していないのが不満です。
「俺のトラックにはRのラップしか乗せたくない」、あるいは「松永のトラックに乗れるのは俺だけ」という主張があるのでしょうか?
Creepy Nutsを呼んでも、結局自分たちの曲しかやらないのだから、主催者も呼ばないし、ファンもワンマンライブに行くでしょう。
(R-指定のみなら、「THE HOPE」でDJ RYOWの「Osanpo(Remix)」に客演しています)
ラップフェスに呼ばれないのはCreepy Nutsがセルアウトしたからではなく、縦にも横にも繋がりがないからです。
Creepy Nutsは、ジャンルとしてはラップだけれど、メンタルはロックバンド、と仮定すれば腑に落ちます。
ロックバンドだからロックフェスに出るし、ラップフェスには呼ばれないし、客演も呼ばない。
R-指定個人での活動は梅田サイファー(新曲「Odd Numbers」には不参加)と、ごくたまに誰かに呼ばれるくらい。
R-指定のソロ活動が活発なら「ラップスタア」に出ていたTOKYO世界をフックアップする世界線もあったかもしれないのだから、寂しくなります。
客演を招いた作品が出るとすれば、2025年2月の東京ドームを経て以降でしょうか。でも、きっとないだろうな。
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