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コロナ禍終わった(ことになった)後のアメリカはどんな感じだった?

 日本も先日、2023年5月中旬にコロナ禍が終わったことになったが、それよりも一足先、2022年秋にコロナ禍が終わったことになっていたのがアメリカだ。先日参加してきたNABSHOW2023で見たアメリカの様子をご報告し、そこから、日本の今後の様子を予想したい。なおせっかくの米国なので、本記事のカメラは日本未発売のスマートフォン「Xiaomi 13 Pro」を主に使っている。

アメリカはノーマスクの国。だけど?

 アメリカに行って驚いたのはほぼ全ての人がマスクをしていない事だ。とにかくマスクを不健全と見なす宗教右派が闊歩していて、マスクをしてホテルの廊下を歩いていたら「Rabbit!」と罵倒された。新しいスラングなので正確な意味は分からないがRabbitとは穴うさぎのことなので「うさぎの穴に入って怯えてろこのマスク野郎」程度の意味らしい。筆者が日本人とわかったら「Rabbit」発言をやめたので、人種差別的意味合いは無く、あくまでも反マスクの発言のようだ(筆者は若干西洋的な体格と目鼻付きなので、帽子をかぶってマスクをすると黄色人種には見えにくい)。
 NABSHOWの会場でもマスクは歓迎されず、とにかく外さないと表情が見えないと嫌がられた。アメリカはあたかももう完全にコロナ禍から抜け切ったかのようだった。

NABSHOW2023の様子。見ての通りほぼノーマスク。

実はコロナ禍の真っ最中のアメリカがコロナ禍開け宣言した理由

 しかし、その実態はというと、コロナ禍から抜け切ったとは到底言い難いだろう。肝心のNABSHOWの人出はコロナ禍前の2/3程度だったが、これはコンベンションだけではなく街の全てがそんな感じであった。コロナ感染にハイリスクな人々は街に出るのを嫌がって家の中にいるのだ。実際、アメリカの病院占有率やコロナ死者は未だに高い状況で推移しており、単にコロナ禍明けを宣言して無理やりに社会を回している状況であると言える。
 ではなぜ米国政府がコロナ禍明けの宣言に踏み切ったのかと言うとこれはひと目でわかる。経済状態の悪化と、米国人の健康状態、特に肥満だ。米国人は元々肥満率が高い状態だったが、コロナ禍で外出が停止され、フィットネスクラブも停止された状況での肥満率の上昇は「コロナ禍で7割が体重増 平均18キロ重くなり、疾病率が42%上昇した」というとんでもないものであったらしい。この状況であるならば、コロナによる死亡率の上昇と大差がないので、だったら経済を回した方がまだマシじゃないか、ということでのコロナ禍明け宣言というのが本音であるようだ。実際街を歩いていてもコロナ禍以前よりもとにかくみんな太かった。特にラスベガス特有の各地域からやってきた薄着の人々の肉付きは強烈で、これは確かにコロナ禍明け宣言もやむを得ないと納得するものであった。

街に漂う大麻の煙。飛ぶように売れる拳銃

 ではコロナ禍明け宣言をして実際にどうなったのかと言うと、筆者の見たところあからさまに治安は悪化した。
 NABSHOW2023の開かれた街ラスベガスは全米でもかなり治安の良い街で知られている。カジノという「罪」をテーマにした街だけにその治安維持には全力をかけており、そのために警察当局もマフィアまでもが全面協力して街の治安を守っているのだ。
 しかし今回は、空港を降りてすぐから異変に気がついた。それは街中を漂う大麻の煙だ。元々米国では大麻が解禁され、自宅内での使用が許可されていたが、当然に公衆の面前での大麻使用は御法度。増してやカジノでの大麻使用などは論外というのがコロナ前の状況だった。
 しかし、コロナ禍による長期の引きこもり生活は、米国人たちに大麻を蔓延させてしまったようだ。
 本来公の場では禁止の大麻でも、街の人々が皆吸っていれば捕まえる方法は無い。街には大麻ショップが溢れ、人前で堂々と大麻を吸い、そして気だるく意識朦朧で歩き回る人々がラスベガスの街には溢れていた。街は全体に大麻の鼻をつく特有の酸味のある臭いが蔓延し、非常に過ごしにくい空気であった。筆者は信教上の都合で大麻を含む薬物には強烈な忌避感があるので、非常にしんどい街となってしまった。
 また、当然にそうした薬物の蔓延は治安の悪化をもたらしたようで(少なくとも人々はそう感じているようで)、アウトドアショップでは拳銃が飛ぶように売れていた。筆者は映像作家であるが魚釣りの研究者でもあるので、米国に行くとバスプロショップに必ず寄るのだが、ラスベガスのバスプロショップの2階の拳銃コーナーに人が溢れているのを見るのは初めてのことだった。隣のナイフコーナーは廃れ、普段なら激混みの釣具コーナーもがら空き(釣具専門店なのに!)。人々は釣具を無視して真っ直ぐに2階に向かい、次々に拳銃を購入して店を去って行った。こんな状況は初めてのことで、本当に驚いた。
 ファーストフードも各所で食べたが、米国特有のかけ放題のソースやスパイス類は撤去され、なんとも味気ない食事となってしまったのも印象的だった。
 コロナ禍明け宣言の是非はともかく、コロナ禍は、明らかに今も尚強烈に米国社会に歪みを産んでいたのであった。

カジノホテルに堂々と大麻ショップがオープンしていた
BassProShopは拳銃コーナーが一番人気に。飛ぶように拳銃が売れている様は日本人の感覚では大変に恐ろしい
愛用する元祖サンドウィッチ伯爵子孫経営によるEarl of Sandwichもソースが撤去されて寂しいことに。
いつものフレンチマスタードがないので、しょうがなくパック入りの使い捨てマスタードで味付けされたThe original Sandwich。なんとも味気ない。

日本でのコロナ禍明け宣言後はどうなる?

 米国に比べると、日本人はコロナ禍による疾病率の上昇は低く、体感的にもさほどの治安の悪化は見られない。とはいえ代わりに長年の不況と消費税増税などの悪政に加えての今回のコロナ禍で、我が国の経済状態は最悪に最悪を重ねた状態であり、米国に遅れること半年でのコロナ禍明け宣言はやむを得ない面もあるのだろう。
 ただ、米国でもそうであったように、実際には新型コロナの感染率が下がったわけでもなければ死亡率がそこまで大きく下がった訳でもない。結果的に、感染ピークを迎える度に将来病院は逼迫し、コロナだけでなく他のあらゆる疾病や怪我ですらも治療が度々困難になる状況が予測される。当然に人出も以前のようには戻らない。米国のように、あらゆる施設での、コロナ禍前の2/3程度の利用状況が予想される。コロナが弱体化した訳ではなく、単に日本が経済的に限界だから解放されただけだというのは重々意識して行動する必要があるだろう。
 筆者は日本でもマスクをしっかりしてもうしばらくの間は「穴うさぎ」生活を送るつもりだ。

ざっくりと

・米国ではみんなノーマスクで反マスク圧力がすごいが、コロナが減った訳では無い。肥満が増えてやむを得ずのコロナ禍明けのようだ
・実際には結構な割合の人々は家にひきこもっていて、どこも2/3程度の人出
・治安の悪化は激烈で公衆の面前での利用は禁止なのにも関わらずラスベガスは街中が大麻に溢れていた
・拳銃が飛ぶように売れ、釣具屋のバスプロショップでの1番人気が拳銃コーナーという有様だった
・ファーストフードは米国特有のソースかけ放題が無くなり、日本同様のハインツの使い捨てケチャップとマスタードだけになっていた
・日本でもコロナ禍明けでコロナの度重なる流行が予測されるので充分に注意されたい。決してコロナの感染率や死亡率が下がった訳では無い
・Xiaomi 13 Pro の出来は素晴らしい!ぜひ日本でも発売して欲しいところだ

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