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Leica Q3ついに日本国内発表!その1

 2023年5月26日、ライカカメラジャパン株式会社から新型フルサイズコンパクトカメラ「Leica Q3」の発売が発表された。本項ではこのカメラについて語っていこうと思う。

カメラの元祖「Leica」の最新カメラ「Leica Q3」誕生!

 まずは「Leica Q3」に触れる前に簡単に基礎知識をおさらいしたい。
 まず、真っ先に知っておかなければならないことは「持ち運び運用可能なポータブルカメラの元祖はLeicaである」という事だ。35mmフィルムやそのサイズのセンサーのことを「ライカ判」と呼ぶが、これは、それまでの大きな撮像サイズを35mmにまで縮小し、カメラの常時携帯を可能にした1913年の「ウル・ライカ」やそれに続く「Leica」と名付けられたカメラの衝撃があまりにも大きかったためだ。この「35mmフィルム」の誕生によって街中の風景や人々の生の生活を撮影する「スナップショット」というジャンル自体が誕生したのだ。
 その後、普及版名機である「Leica III型」の爆発的売上によって世界に35mmフィルムが浸透し、他社もこの規格に倣うことで「カメラマンはカメラを常時持ち歩き、常に撮影ができるようにしておくもの」という新しい常識が誕生した。
 2023年現代において、Leicaなどのカメラ機能しか持たない撮影機器は完全にプロ向け、あるいは趣味的なものとなってしまい、普通人々によるごく一般的な撮影は常時携帯をしているスマホのカメラで行うのが当たり前の常識だが、Leicaはそうした全ての「常時持ち歩くカメラ」の元祖なのである。
 とはいえ、フィルムが過去のものとなった現代においてもこうしたスマホではない「カメラ機能しか持たないカメラ」には、その撮影成果のクオリティの高さという1点において、スマホには決して追いつけない圧倒的なアドバンテージがある。それはスマホには入りようもないライカ判の巨大なセンサーサイズであったり、高額なレンズ群を用いた大口径レンズであったり、あるいはそれらを完璧にコントロールする専用の制御機器群であったりと、いう「全てが撮影のため」に用意された圧倒的な機械の力だ。
 Leica社でも、こうした高度な撮影要求に対応するために、いくつかのカメラ機器群を用意している。元祖Leicaの血を引く小型最軽量のレンズ交換式35mmセンサーカメラ「Leica Mシリーズ」、Mシリーズを超える光学性能にさらに多くの撮影機能を付加したプロ向けカメラの「Leica SLシリーズ」、プロ向け大型センサーを使った大型反射板カメラの「Leica Sシリーズ」、そして、Mシリーズサイズのボディとセンサーに固定式の28mmレンズを埋め込むことで、最新の撮影機能と携帯性を両立させた「Leica Qシリーズ」である。
 今回はこの「Leica Q」の最新作「Leica Q3」が発売されたので、ライカプロフェッショナルストア東京の協力を得て、実機を触らせてもらいつつ、その情報をまとめたい。

Leica Q3はプロ用途にも耐えるハイエンドコンパクトカメラだ。

コンパクトボディに最新機能を詰め込んだLeica Q3!

 最新作である「Leica Q3」は、最新のフルサイズ(35mm ライカ判)センサーにSummilux 28mm F1.7 ASPH.ライカレンズを固定式で搭載し、6239万画素/6030万画素(総画素数/有効画素数)の広大な裏面照射センサーサイズを生かすデジタルクロップの切り出しズームによって35mm、50mm、75mm、90mmでの撮影に対応する。オートフォーカスには位相差方を採用し、また、センサーからのデジタル処理には新型エンジン「MaestroⅣ」を搭載した、最新鋭のカメラだ。インターフェイス部分も刷新され、Leicaでは初となるチルト機能付きタッチパネルと576万ドット、120fps、倍率:0.79倍のEVFを搭載した。

Leica Qシリーズの特徴であるデジタルクロップズームは健在だ。

 以前、Dr.アンドレア・カウフマン社主は、Leica MシリーズやSL2の発表イベントにおいて「最も優れたLeicaは最新のLeicaである」と述べたが、この法則は今回発売された「Leica Q3」にこそ当てはまるものだろう。
 SL2などに代表される最新最先端の撮影機能は、Leica Mシリーズのコンパクトなボディには当然に入り切らない。シネマティックな動画機能などはもちろん、シンプルなオートフォーカス1つとってもMシリーズのコンパクトなボディには入れる方法がない。もちろんそれはそれでとても意味のある撮影が可能になるのではあるが、それでも「気楽に携帯し、いつでもどこでも特に気負うことなく自在に撮影する」というウル・ライカから脈々と受け継がれてきたLeicaの本質はとても重要なものだ。この両立を目指すために「レンズ交換式」という利点を捨て去った「コンパクトカメラ」として誕生したのが「Leica Q」シリーズだ。レンズ交換のためのマウントと各種既存レンズへの対応機能を省いて、そのスペースに最新のカメラ機能を詰め込んだのが「Leica Q」なのだ。

充実したオプション

 「Leica Q3」の魅力のひとつが充実した周辺パーツやオプションだ。
 まず、標準装備のレンズキャップは、材質変更によって抜け落ちにくくなり、安定した運用が望めるようになった。

レンズキャップは材質変更で抜け落ちにくく改善された。

 さらに、オプション群も充実し、ブラック、ブラス、シルバーの3色の「サムレスト」「レリーズボタン」「レンズフード」「ホットシューカバー」が用意された。このいずれも本格的な仕上げで、例えばブラスは本物の真鍮を使っている。

オプション群も魅力だ。

 サイドグリップ付きの無線充電オプションも追加され、帰宅してただカメラを置くだけで充電が可能となるのも魅力的だ。ただしこのグリップはそのままでは3脚シューにはならない上、3脚穴がセンターからズレてしまうため、使用時には注意がいるだろう。

オプションの無線充電グリップは魅力的だが、そのままでは三脚シュー機能はなく、ネジはオフセンターになってしまうのが少し残念。

 無線充電に頼らない場合でも、バッテリーの使用時間も1~2割ほど増えたので安心して使用出来る。

動画機能が充実!HDMIやUSBで外部にも出せる!!

 さらに「Leica Q3」では動画機能が充実し、HDMIやUSBで外部機器に出力ができるようになったのも魅力的だ。
 動画は、本体内収録だとMOVで4:2:2 10bit での119.88fpsまでのフルHDもしくは、59.94fpsまでの4K、C4K。あるいは4:2:0 10bitの色域の場合には C8K(8192x4320) 29.97収録まで対応。外部収録だとProResHQでC4K 59.94fpsまで収録可能だ。カタログスペックにあったHDMIでの8K外部収録は現状確認できず、また、噂になっていたProResRAW収録はそもそも対応そのものが存在していなかった。

LeicaQ3は動画機としても非常に優れる。ただし現状はC4Kまでしか確認できていない。また、RAWも現状非対応。

 とはいえ、このコンパクトサイズで内部収録シネマサイズ8Kというのは大変な魅力であり、プロユースのサブ機として充分以上の性能だと言える。
 また、恐ろしいことに、デジタルクロップは動画でも有効であり、1度設定すれば静止画と動画を同じクロップで往復できる。また、動画と静止画それぞれに設定が必要だが、Leica Fotosからルックデータのダウンロードが可能で、簡単なグレーディングがカメラ機体内でできてしまうのも素晴らしい。

 価格は税込¥902,000。発売日は2023年6月3日。
 非常に楽しみな1台と言えるだろう。

 下記は静止画のサンプルデータだ。
 この短い速報では語りきれないカメラなので、動画データや続報はまた後ほどアップしたい。

非常に美麗な写りだ。
デジタルクロップで簡単にズームインできる


チルトモニターで撮影が楽。

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