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010/100「ルンダン(カリオ)」#カレーレシピ100チャレンジ

スパイスカレーのレシピ本買ったけど、全部は作らない、眺めるだけのレシピがある。何ならいつも作る自作スパイスカレーにブレイクスルーが欲しいため、この際100皿作るチャレンジ企画。

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つい先日、2011年にCNNで「世界一美味しい料理」に選ばれたマッサマンカレーを調理した。そして今回は、「世界一美味しい料理」発表直後に読者投稿で集計しなおした結果、1位に輝いたルンダンを調理する。

ちなみに3位寿司、2位ナシゴレン、1位ルンダンという結果になったようだ。
https://web.archive.org/web/20121108073329/http://www.cnngo.com/explorations/eat/readers-choice-worlds-50-most-delicious-foods-012321?page=0%2C2

以下のレシピをベースに調理していく。

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アレンジとして、ペーストの生姜はガランガルを使用し、バイマックルー(コブミカンの葉)も一緒にペーストにした。

スパイスのいくつかは乾煎りして粉末に。

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肉は大きめに切ってフライパンで表面を焼き、煮込み時間を伸ばすことで柔らかく仕上げた。本物のルンダンの肉質は硬く、3cm角で切られる。家庭によってはサンバル(辛い調味料)とペーストでマリネする場合もあるようだ。

そういえば西ベンガル州の名物料理、「コシャ」(コルカタのセンズキッチンというレストラン発祥で、州全域に広がったらしい)も似た料理だ。
ルンダンが水分が飛ぶまで煮詰め続けるのに対し、コシャは焦げないよう水を加えながら食材やマリネしておいた肉を炒める。食材が違うので味わいも全く異なるだろうが。こちらも魅力的な料理だ。

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ルンダンの種類と加熱時間について

さて、ここでルンダンの煮込み時間について言及しておく。
肉に火が通る程度で仕上げた場合、現地では「グライ(Gulai)」というカレー料理として認識される。別にそれでも美味しいとは思う。

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(チキンレッグのGulai)

また、今回はトータル2時間15分煮込むことで、ココナッツミルクが程々に蒸発し、全体的にやや褐色化させた。だが汁気は割と残っており、これは「ウェットルンダン」や「カリオ(Kalio)」として区別される料理だそうだ。マレーシアや植民地支配をしていたオランダで提供されるのはこのタイプが多いらしい。これはこれで美味しいが。

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Kalioの写真)

そして本当のドライなルンダンは、このカリオの状態からさらに1時間煮込むことで、褐色化(メイラード反応)が進み、ココナッツミルクの水分が蒸発し、まるでオイルで肉を揚げる状態まで至る。よってカラメルの香りとスパイシーな香りが立ち、肉は硬くなっているのが本物だそうだ。

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今回は手間を惜しみ、肉の柔らかさを追求したく、カリオとして仕上げた。

その肉の仕上がりだが、スプーンでしっかり押せば繊維が切れる程度の柔らかさだった。80~100℃で加熱したため、ホロホロとまではいかないが、コラーゲンはゼラチン化した。
もう一時間ほど蓋をして煮込み時間を増やせば、さらに柔らかくなったろうが、調理時20時を過ぎていたので切り上げた。

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関西食文化研究会より)

コラーゲンは、牛の場合、肩、ネック、すね、テールに豊富に含まれる。これらの部位はじっくり柔らかく煮こんでいきたいものだ。

逆に筋繊維が多い部位であれば、圧力鍋での調理で繊維をほぐす効果を期待するのも良いと思う。焦げ防止のため、一定以上の水分を保持する必要があるが止む無し。

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出来上がり

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そんなこんなで出来上がったルンダン。肉の仕上がりも上々、ココナッツとスパイスの香る仕上がりに落ち着いた。そして噛みしめれば肉の旨味が広がる。

ただ、ココナッツミルクとカシューナッツなどの脂質が多めでスプーンが進みにくい、完食には気合が必要そうだ。

そんな時の付け合わせとして、「サンバル(Sambal)」というチャベ(唐辛子)、バワンメラ(赤玉ねぎ)、バワンプティ(ニンニク)を主体に、トラシ(カピ)、トマトなどペーストにした辛味調味料が役立ちそうだ。
この辛味が食欲を増進させてくれるのだろう(作っとけばよかったな)。

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また、今回は長米で食べた。日本米も勿論おいしいだろうが、その場合米を研がずに炊けば粘り気がでにくい。これは炊いた米でリゾットを作る時にも使えるテクニックだ。
ココナッツミルクを混ぜた水で炊けば、かなり雰囲気も出るだろう。

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おすすめ店舗

「こんなガチ寄りのルンダン、よう作れん」と思った方のための店舗を見繕った。「バグース インドネシアン キッチン」だ。インドネシアのシェフが営む、外国人も来店するタイプの割とガチなやつだ。

今回の調理のために予め入店しておいた。世界一位のルンダンも置いてあり、世界二位のナシゴレンも食べられる。

ルンダンはランチメニューになかったので注文は断念し、代わりにナシチャンプルーという、ご飯(ナシ Nasi)に複数種のおかずを加えたプレートを注文。

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写真左下がルンダンに近い代物だった。ココナッツとスパイスの香りに噛み応えのある肉質。他にもテンペの揚げ物や海老せんべい、玉子カレーなどこの店舗の代表メニューが集まるプレートだった。

全体的にそんな辛くなかったので、苦手な人も安心して入店可能だ。

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パダンの定番食「ルンダン」のアレンジ

さて、料理については以上だが、情報を集める中で気になるものがあった。現地ではルンダンバーガーや、ルンダンスパゲティが存在するらしい。

バーガーキングはかつて、限られたプロモーション期間中、シンガポールとインドネシアのチェーンでルンダン風味のハンバーガーを提供していました。
ルンダンのスパゲッティは、インドネシア全土のセブンイレブンにもあります。
ルンダンは、インドミーゴレンルンダンなどのインドネシアのインスタントラーメンのバリエーションでも人気のあるフレーバーです。
wikipedia英語版:https://en.wikipedia.org/wiki/Rendang

バーガーキングのルンダン味というのはこちら↓。

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https://www.burgerking.com.sg/Menu/Item/%2076

こちらがセブンイレブンのルンダン

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実物を見たわけでないので不明だが、ひき肉ベースのココナッツスパイスソースといった具合だろうか。インドのマクドナルドにも簡易ビリヤニ野菜コロッケバーガー(ベジタリアンに配慮して)なんてものが存在するのだが、現地の魔改造というのは実に魅惑的だ。

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■レシピ候補たち
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1AB8VBNvV0SS1lCu_V0tgWenaZm_GQzibCh78QXiTX_A/edit?usp=sharing
『関西のスパイスカレーのつくりかた2(LLCインセクツ)』を中心に。
■レギュレーション
・副菜類も作るが、基本カウント外
・期限はとくに無し。
・飽きたらフレンチ、イタリアン、中華、自家製ラーメンに逃げる。

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