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最近感じる楽天市場の変化

楽天市場の取材担当になって2年くらいが経過しました。EC業界を取材しているのでその前から楽天市場を見てきていますが、ここ最近、楽天市場の変化を感じているので、まとめてみました。

変化① 三木谷社長が楽天市場の弱みを語った

送料満足度調査によると他社に負けている。送料が原因で購入をやめたケースは、楽天市場が68・3%あったのに対し、アマゾンでは57・4%だった。送料についての印象もあまり良くない(新春カンファレンスでの三木谷社長のコメント抜粋)

以前の楽天であれば、他社に負けている部分を公に語ることはなかったと思います。アマゾンの台頭やゾゾタウンなどの攻勢もあり、新しい‟楽天らしさ”を作るために、出店者に危機感を共有するのが狙いだったと思います。


変化② 夏の出店者向けイベントを中止、地方で開催するタウンミーティングを強化

今年から毎夏に開催していた出店者向けイベント「楽天EXPO」を中止して、一般ユーザーも参加できる大型イベントを開催すると発表しました。

その代わりというわけではないかもしれませんが、昨年から実施しているタウンミーティングの地方開催を強化しています。タウンミーティングは100人以下の規模で開催する店舗と楽天がコミュニケーションを深めるためのイベントです。店舗との距離感を縮め、推進力を高めようと考えているようです。

変化③ 出店者の声に応じて有償化を延期

チャット機能「R-Messe」の有償化の開始日を4月1日から7月1日に延期しました。これはまだチャットを本格的に活用できていない企業が多く、有償化は時期尚早だと判断したようです。

楽天市場の担当役員がタウンミーティングで直接、出店者の声を聞いており、店舗のリアルな現状を理解したからこその判断だと思います。店舗の声に耳を傾けるスタンスは以前よりも色濃くなっている気がします。


”イケイケ”から”どっしり”

楽天が国内ECの圧倒的トップランナーで市場をぐいぐい引っ張っていた時は、もっと”イケイケ”だった気がします。楽天市場の成長率も高かったため、”守り”よりは”攻め”という形で、店舗の声も今ほどていねいにヒアリングしていなかったかもしれないですね。

今もEC市場の成長は続いていますが、以前よりは成熟してきた感もあり、楽天市場を追いかけるプレイヤーも増えています。楽天は安心・安全というサービスの品質にこだわりを見せつつ、確固たる優位性を築くべく、さらに変化を続けています。現在の大きな組織で変化をするのは以前よりも大変です。ですから店舗の声に耳を傾ける姿勢を示しているのだと思います。

楽天を見ててすごいなと思うのは、これだけの規模の会社になってもベンチャー精神を忘れていない点です。これはトップである三木谷社長が日本だけで満足するのではなく、海外も見つめ、まだまだチャレンジャーであると考えているからなのだと思います。しかし、大きい体を俊敏に動かすのは大変なはず。現場の社員さんの苦労は小さくないでしょう。

今後も国内ECの雄である楽天をしっかりとウォッチしていきたいと思います。



EC業界向け専門紙「日本ネット経済新聞」で記者してます。EC、通販、モノづくり、流通、マーケティングなど取材していく中で紙面には書かない自分の考えや疑問について書いていきたいと思います