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楽天市場が沖縄・離島向けの送料無料ラインを9800円に変更したワケ

「共通の送料無料ライン」のガイドラインを配信

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楽天から本日、「楽天市場」の出店者向けに「共通の送料無料ライン」のガイドラインが案内されました。「共通の送料無料ライン」とは注文金額に応じて購入者の送料負担を0円にする送料無料サービスを全店舗で統一する施策のこと。今年1月の新春カンファレンスで三木谷浩史社長が「送料無料ラインを統一する」と発表し、8月に具体的な設定金額を「注文金額3980円以上」にすると発表しました。実際の導入は来年2月以降の予定としています。

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この「送料無料ライン」ですが、発表時には配送先が全国どこでも「注文金額3980円以上」にすると説明していましたが、今回のアナウンスで宅配運賃が高い”沖縄・離島向け”は「注文金額9800円以上」にすると変更しました。

なぜルールの一部を変更したのか?

「共通の送料無料ライン」の導入は、ユーザーにとって『店舗ごとにバラバラだった送料規定が統一され、分かりやすい』という大きなメリットがあります。しかし、店舗にとっては『送料無料ラインを独自に設定することで購入単価を上げていたのに・・・』だったり、『商品価格に送料を上乗せしろと言われても、価格競争力が落ちると売れなくなるのでは・・・』といった不安要素があり、『「共通の送料無料ライン」の導入は困る』といった店舗の声も聞かれました。

楽天としても今回の「共通の送料無料ライン」の導入については、慎重に進めています。タウンミーティングやECCからの直接連絡により大手から中小まで幅広く店舗の声を吸い上げています。その中で特に声が多かったのが、『”沖縄・離島向け”の商品で3980円の送料無料ラインは厳しい』という声だったようです。楽天としても声が多かったから即変更というわけではなく、声の多かった案件については再検討を進め、その中でも”沖縄・離島向け”の送料無料ラインは変更した方が良いだろうと判断したようです。

今後もルール変更はありえる?

楽天としては「出店者さまとは継続的に対話したり、さまざまなチャネルを通じていただいた声を参考にさせていただき、店舗・ユーザーの双方にとってより良い施策となるよう、細部の検討を重ねていく」と、今後も慎重に検討する方針を説明しています。

ただ、むやみに変更する可能性は低いのかなと感じています。今回のルールの調整をもとに、「共通の送料無料ライン」はスタートし、その反響をもとに調整する可能性はあると思います。

完全導入までの猶予期間を設定か!?

「共通の送料無料ライン」のガイドラインには、違反店舗に対する罰則規定は書かれていません。現状で書かれていないだけかもしれませんが、「商品画像登録ガイドライン」の改訂の際も、18年1月にガイドラインを制定し、同10月から必須化したものの、違反店舗への違反点数の加点は19年1月以降にしました。

ガイドライン制定から罰則規定の設定まで猶予期間を設け、出店者がスムーズに新制度に対応できるように配慮していました。今回の「共通の送料無料ライン」においても開始当初は罰則を科さず、猶予期間を設ける可能性は高いと見ています。いずれにせよルール化されるのは間違いない方向ですので、出店者は対応方法を早急に固める必要があります。

EC業界向け専門紙「日本ネット経済新聞」で記者してます。EC、通販、モノづくり、流通、マーケティングなど取材していく中で紙面には書かない自分の考えや疑問について書いていきたいと思います