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たのしい地方創生

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地域活性化の業界で働く筆者の、日常のささい気づきを、まじめ風味でお届け。
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#路上観察

#11 流行と定番

2022年12月某日師走の忙しさに心を亡くしていたら、新型コロナに感染してしまった。幸いにして症状は軽く、10日間ほど自宅で仕事や勉強しながら、少しじっくりと内省する機会を得た。思えば、新型コロナが日本で認知されたのは、2020年初頭頃だった。2022年末までのおよそ3年間で、彼らは『流行』から『定番』へのシフトしつつある。この時間の長さについて、『長い』か『短い』かと考えてみると中々判断が難しい。とはいえ、ビジネスのフィールドで考えてみると、自社商品をたった2~3年で、『定

#10 『わらび餅』のチャネル的変化

2022年11月某日 軽自動車でロードサイドを走っているとパチンコ屋の駐車場に人だかりを発見。出玉の換金の行列かと一瞬目を疑ったが違った。行列の先には「わらび餅」の看板があり、老若男女多くの来店者が。これはと思い、行列に並んでみることにした。 しげしげとメニュー表を眺めていると、どうやらただのわらび餅ではない。「チョコレート」「ストロベリー」といったフレーバーのラインナップに加え、「わらび餅ドリンク」として、ほうじ茶や抹茶のドリンクも提供している。嗚呼、これはタピオカ的な

#9 『アントレプレナー』と『虎』

2022年11月某日 ふと、地方ビジネス界隈でのロールモデル像の変化を感じた。筆者が就職活動に精を出していた頃(リーマンショック前)は、「IT、六本木ヒルズ」などのキーワードが憧れの象徴かのごとく存在していたように思う。その後、リーマンショックを経て、2010年頃からは「newspicks」などのメディアの台頭もあり、「社会課題の解決」みたいなキーワードを耳にする機会が増えた。 その過程での地方ビジネスの様子はというと、正直、2010年代半ばくらいまでは、都市的なビジネス

#8 『学ぶ知識』『教える知識』の価値の不等価

2022年11月某日 とあるまちづくりの会合に参加した。人口減少に歯止めをかけるために、エリアが一体となり、どんな戦略をたてたらよいか、知恵を出し合おうという趣旨のものである。参加者の年齢は様々であった。事務方の対応からすると、暗黙的なヒエラルキー構造があるようにも感じた。 意見交換野中で、とある『有識者』が突然、『SWOT分析』だの、『5フォース分析』だの、マーケティングフレームワークについて解説を始めた。私を含めた他の参加者はポカンとしてしまい、少々気まずい時間と空間

#7 尖りと無能力の違い

2022年11月某日:まとめることの良し悪し パワポと向き合う一日。とある会議の結果をまとめ、方向性を整理する作業だ。整理のフレームをこしらえ、情報をカチカチまとめていくのは心地が良い。しかし、パワポは、枠に合わせて情報を整理しようとしすぎる手前、安易な情報の捨象が生まれやすい。そもそも、『端的に』『シンプルに』伝えるためのツールだから、しょうがないのだけれど。 膝を突き合わせた議論を何時間もしていると、一つのテーマについて、様々な角度から言語化を試み、解像度が増していく

#6 路上観察について

2022年11月某日 赤瀬川原平の『路上観察学入門』に目を通した。超芸術トマソンが世に知られるきっかけとなった一冊だ。本書では、生活動線上にある路上を毎日観察する事で、その変化を感じ取ることができ、面白いことを説いている。なんとなく理解して、なんとなく疑問が湧いた。一体なぜ、変化を感じることが面白いのか。 知覚できる変化への直面とは、希少な体験なのだと思う。『知覚できる』というのがポイントだ。なぜなら、家の前の道路は日々摩耗しているはずだし、近所のお婆さんの背骨は日々曲が